- ベストアンサー
ミャンマ軍の圧政と仏教
ミャンマの国民は敬虔な仏教徒でとてもおとなしく、控えめな人たちと聞きます。メディアの報道などを見ている限り、そのとおりのように見えます。ミャンマ軍も仏教徒で、国民と同じ人種ですよね。何が軍部をあんなに国民を抑圧して勝手なことをさせるんでしょうか。キムジョンイルの独裁国家の北朝鮮はわかりやすいんですけど、ミャンマの軍事政権は何であんな行動をとるのか、よくわからないんですが、教えてください。 よろしくお願いします。
- みんなの回答 (5)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
ミヤンマーに1年以上生活していたことがありますが、外から見て簡単に民主化すればいいとは、とても言えない現実の状況があります。 ミヤンマーは、基本的な教育レベルはかなり高いのですが、経済は農業などの一次産業中心で、二次・三次産業はほとんど個人企業レベル(社会主義政権だった頃の軍政と連続性があり、大きな会社はほとんど国営。)です。 そのため、民間に組織運営ということを、体験で知っている人材がほとんど居ないのです。 更に、敬虔な仏教徒が多く、言い争いや責任追及をすることを、礼儀に反すると捉える人が極めて多いのです。(報道で見るように、大変紳士的で、私はビルマ大好き人間です。)ですから、約束の時間や期日はほとんど守られないし、期日が遅れたことの責任追及は、する方が常識はずれと言う感じがあるのです。(この点で、大嫌いになる日本人も居ますね。会社の業務で派遣された人が、そうなることが多いようです。嫌いになる人は、少数派だと思いますよ。) 国内にある組織で、時間・期限を守り、約束を果たし、駄目な時は責任を取る習慣を、徹底して教育しているのは『国軍』、只一つです。 また、経済開発の進んでいない国(ミャンマーも例外ではありません。)では、大学を出ても民間企業が育っていないため、就職できないことが多いのです。(家庭が豊かであれば、とにかく大学を出ておくという人も多いのですが。) それに対して、卒業後は「国軍将校」という確実な職に就ける「軍の幹部養成学校」というのは、ヤンゴン大学以上のエリートコースで、金持ちでなければ、こちらを選ぶ方が普通と思います。 そして、政府内部の省庁トップ・次官他、管理職の相当数が国軍出身者で、そのおかげで行政が機能しています。 ですから、民主化して民間人が政府高官となっても、行政・経済運営が動かなくなってしまい、諸外国の援助の下で、外国の利権獲得競争の舞台と化してしまいます。 もう一つの問題は多民族国家(主な少数民族でも、カレン・カチン・シャン・モン・アラカン・・・・などなど)で、現在も分離独立を目指す民族が国内にあり、行政・経済運営が滞ると、ほぼ間違いなくこの問題が再発するのです。(最近は、国軍が他民族の独立の動きを、やっと抑えきった状況になりました。) ミヤンマー政府が民主化すると、少数民族も民主的に扱うべきということでの独立の動きが活発化します。 連邦を維持するために軍事力で少数民族を抑えるなら、前線に確実に軍需物資が届かなくてはなりません。民間人主体の政権で軍需物資が前線に届かなければ、命が掛かっている軍人は、必ずクーデターを起こします。 結局、軍政から民政にしても、また軍政に戻るなら、軍政のままのほうが政治・経済が混乱しなくて良いという状況が、軍政が続く裏には隠れています。 民主化路線の元で連邦を解体し分離独立を行うというケースも、可能性は低いですがあるかもしれません。 出来た弱小国はミャンマー以上に経済基盤が弱く、軍事力も弱く治安維持が困難で、諸外国の利権獲得競争の場となり、地域の不安定要素となります。(外国の援助がなければ、歴史の古い麻薬栽培が復活するでしょう。) 軍事力で治安維持を回復できるほど強い政権が、これらの国に誕生するならば、民主化によって別の複数の軍事政権が誕生することになります。 国土は広く、資源もそこそこある国なのですから、上手く外資を導入して民間の大企業が運営され、民間の組織人が育ってくれば、民政移行は可能だと思うのですが。 民間の組織人が育つには、外国の援助で経済を活性化し、民間の会社が運営されるのが近道ですが、欧米諸国は「軍政」を理由に経済制裁を続けています。 欧米が軍政下のミャンマーに経済制裁をする中で、今まで日本政府は欧米と異なる路線(日本には珍しいことです。)を取って、アセアン(東南アジア諸国連合:東南アジアの10カ国で構成。ミャンマーもその加盟国。ミャンマー問題は、他の9カ国にとって、頭の痛い問題となっています。)の方針をバックアップする形を見せていました。 アセアンの方針では、ミャンマーを国際的に孤立させないことで、東南アジア地域の安定とミャンマーの漸進的な民政移行を期待していました。 ミャンマーが小国に分裂した場合、山間部の貧しい地域(=昔の魔のゴールデントライアングル:1980年代まで麻薬地帯です。)には弱小政権が出来、麻薬栽培が復活の恐れもあるので、隣接国も効果的な対応策を打ち出せずにいます。 北朝鮮のような単一民族ではなく、多民族国家であることが問題の原点で、北朝鮮のような独裁者に対する個人崇拝などの問題はありません。 尚、No.2の方のご指摘のように、軍の主力はミャンマー人(ビルマ人)で、仏教徒です。 キリスト教徒が多いのは、カレン族であることもご指摘の通りです。
その他の回答 (4)
- sudacyu
- ベストアンサー率35% (687/1961)
他の方の同じような質問に対する参考で記載した文章です。参考にしてください。 ・日本政府の独自路線 日本政府が単独で独自路線を取っているのではなく、アセアン:東南アジア諸国連合(ミャンマーの他に、タイ・ラオス・カンボジア・ベトナム・マレーシア・シンガポール・インドネシア・ブルネイ・フィリピンの10カ国)の方針を支持しているという解釈のほうが良いでしょう。 日本ではほとんど報道されませんが、アセアンのミャンマーに対する外交姿勢が、日本の態度を決める大きな要素となっています。 ミャンマーと最長の国境線を持つ「タイ」は、過去にミャンマーからの難民の流入や麻薬問題などで多大な影響を受けてきました。 『ミャンマー情勢の安定』が大きな国益であるタイにとって、民主化激化によるミャンマー政権の不安定化も、国軍による民主化抑圧による政治難民発生も、どちらも困るのです。(タイにとって、ミャンマー問題は日本の何倍も深刻な問題です。タイは多くの日本企業が進出し、世界でも一二を争う親日国ですから、日本政府はタイの国益を無視できません。ミャンマー経済が崩壊したり、政治混乱がおきて、タイに大量の難民が流入する事態は起こせません。) タイに限らず、アセアン諸国にとって地域の不安定化は、軍事費の増額や外交路線の変更など多くの政策変更を余儀なくされます。 結局、アセアン諸国は経済制裁をしないまま、軍事政権には民主勢力の抑圧をしないように勧告する状況が続いており、日本もその路線に従っています。(完全に、手詰まりの感を逃れませんが・・・) アセアン諸国は、過去の経験から政治の安定が経済発展につながることを良く知っており、自国の経済発展のためにも近隣諸国の政治的安定を求めており、軍事政権であっても内政が安定していれば良いとの考えです。(これらの国のいくつかでは、軍政の経験があり、民政移行も経験しています。軍政下で経済発展して民主化した国もあります。アセアン諸国は、民主化・民政移行が成功するその前提条件が何かも十分かっているでしょう。) ミャンマーに対する日本政府の外交方針を判断する時、アセアン諸国がどういった方針・行動を取っているかを見ないと、誤解する恐れがあると思います
お礼
アセアン諸国のミャンマとのかかわり方、そのアセアン諸国と経済的に結びついている日本の対ミャンマ政策のこともよくわかりました。 今回、軍部の国民に対する弾圧に対する単純な疑問と怒りから、もっと深い、多くの国々の利害関係やつながりを学ぶことができました。 どうもありがとうございました。
- kantansi
- ベストアンサー率26% (658/2438)
ミャンマーの軍政の実情は、まさにNo.3の方の回答通りだと私も認識しています。 英・米は「民主化・民主化」と騒いでいますが、連中の魂胆は、ミャンマーを資本主義化させて、天然ガスを初めとする資源の利権を得ようというものです。 それに対抗して、中・露はミャンマーの軍事政権に肩入れしています。 アウンサンスーチーさんも民主化の旗印のように言われていますが、彼女が英国留学時代に知り合って結婚したご主人は英国の情報機関の幹部でした。 彼女自身が意識しているかどうかは分かりませんが、彼女は英国がミャンマーの政権転覆を目論んで送り込んだいわば工作員です。 彼女にもし何かあれば英米はそれを口実にミャンマー政府に対して強攻策に出る可能性も有り、ミャンマー政府としては彼女の政権転覆工作を阻止すると共に、彼女を厳重に保護していると言うのが実態です。 また、北朝鮮とは全く異なり、ミャンマーは古くからの大変な親日国です。 日本の外交政策で感心することは少ないですが、ミャンマーに対しては英米に同調せず、独自の外交方針を今のところ貫いているのは評価で来ます。
お礼
ミャンマに対する日本の政策、勉強になりました。No3さんもありがとうございました。 アンサンスーチーさんは軍事政権側から見れば英国が送り込んだ工作員と言うことですね。 とても参考になりました。 どうもありがとうございました。
- tanuki4u
- ベストアンサー率33% (2764/8360)
軍が国民を抑圧している点 軍事政権だからといって、必ずしも抑圧するものでもない。 ただ、単純に日本人が殺されたので、今メディア露出が多いだけ。 アフリカの諸国での抑圧はものすごいです。ミャンマーで数万人が殺されたと言うことは起きて無く報道されていませんが、アフリカでは、数万単位の虐殺がしょっちゅうです。 軍が主導権を取る理由 ビルマ型社会主義の失敗です。ネウィンの政権下で、経済成長もせず、貧乏のままだからです。国民一人あたりのGNPが上がると軍事政権が政権からおりるというのが、東南アジアでは多いです。 ネウィンの独裁が30年続いて1988年に軍事クーデターでネウィン政権が倒されて、そのままというのが現状。 この88年は、ソ連がアフガニスタン撤退、翌年89年には東欧の民主化が開始と、だれもミャンマーに注目していなかったというのが、軍事政権がそのまま居座れた理由ではないかと思います。 宗教問題 ミャンマー軍が創設以来、主なる敵として戦ってきた相手は「キリスト教徒が多い」カレン族などの少数民族ですので、軍の主体はミャンマー人の仏教徒です、念のため。
お礼
ご回答ありがとうございました。 特に「軍が主導権を取る理由」は参考になりました。 >軍の主体はミャンマー人の仏教徒です テレビで僧侶がデモで托鉢の鉢を逆さにして見せながら、軍人たちに抵抗を示していたので、軍人たちも仏教徒だと思っていました。よくわかりました。どうもありがとうございます。
- wasuregai
- ベストアンサー率47% (149/315)
ミャンマーの国民は大多数が仏教徒ですが、少数民族もたくさん居ます。 国軍の兵士はカトリックを信仰している少数民族です。 少数民族を敵対させたり取り込んだりして分断して統治するのは為政者の常套手段です。 ミャンマーの国軍は自国の国民を制圧するには十分な武力を持っていますが他国を侵略するには貧弱です。 また、そんな意図も全く持っていません。 近年ミャンマーには豊富な資源が発見されました。 中国・ロシア・印度などの近隣諸国は資源目当てにミャンマーの軍政にすり寄っています。 ミャンマー国軍が自国に脅威とならない以上、ミャンマーの民主化などどうでも良い事なんです。 国民から信頼され、あがめられている僧侶を弾圧する事で軍政の力を国民に知らしめ民主化の動きを封じたのでしょう。 アウン・サン・スー・チーさんが民主化のシンボルとなっていますが、軍政が倒れ民主化したとしても、スー・チーさんがロシアのプーチンさんや中国のコ・キントウさんと対等に渡り合って自国の国民と主権を守れるなんてとても思えません。 軍政はスー・チーさんを抹殺して世界から非難を浴びるのが良いか、影響力を封じて生かしておく方が良いか?天秤にかければ結論は明白ですね。 ブッシュ大統領が軍政への懸念を表明しましたが中国やロシアに配慮し形ばかりです。 大国やアジアの情勢を細かに分析したミャンマーの軍政の思惑はキム・ジョンイル以上に巧妙です。 民主化は国民が蜂起し多くの犠牲を払った上で獲得しないと意味が無いです。 強大な国の後押しで勝ち取っても、その国の影響下に従属しないとならないし自意識も無いですね。 アメリカが介入した後のイラクの混乱を見ればお分かりでしょう。 また、我が国も戦争に負けた結果アメリカ主導で民主主義国家になったので選挙の投票率は低いですね。
お礼
>国軍の兵士はカトリックを信仰している少数民族です。 キリスト教徒もいるんですか。しりませんでした。 >大国やアジアの情勢を細かに分析したミャンマーの軍政の思惑はキム・ジョンイル以上に巧妙です。 なるほど。そういえば昨日のニュースで国連安保理の議長声明が、ミャンマの反政府デモ弾圧を「非難」するから「強い遺憾の意を示す」と修正されたと言っていました。中国やロシアの影響なんですね。 >強大な国の後押しで勝ち取っても、その国の影響下に従属しないとならないし自意識も無いですね。 英仏米がアウン・サン・スー・チーさんの開放や、軍に対する弾圧強化で「民主化」を進めようとしても、ミャンマの将来のためになるかは疑問なわけですね。 くわしいアドバイスありがとうございました。とても参考になりました。
お礼
ミャンマが多民族国家だということは知りませんでした。民主化によって少数民族が独立を言い出したら、国の統一や経済問題など、今よりもっとひどいことになるかもしれないのですね、その国の成長段階において、強い軍部による統制に頼らざるを得ないこともあるかもしれませんね。イラクのことが思い出されます。 ミャンマ国民がまだ、自由経済や民主化を受け入れるまで育っていないと言うこともよくわかりました。他国の介入によって民主化しても、国民がそこまで育っていなければ不幸になりますね。 とても参考になりました。ありがとうございます。