理由は大きく2つあります。
まず、比較対照となる通勤定期そのものの割引率がJRと私鉄では多きく異なること、JRでは質問者様が示した例では10km160円の運賃に対し、通勤定期が5040円となっていますが、私鉄では150~160円の区間で5000円台後半から6000円台程度となっています。即ち、JRは通勤定期の割引率が高いのです。例えば小田急の場合6km150円の区間で5520円です。
そして、JRは質問者様が(大学生)と明示されていますように、基本の通学定期(大学生)に対し、高校生及び中学生はさらに割り引くという形になっています。例えば質問例では10km150円に対し、大学生4210円、高校生3780円、中学生2940円となっており、中学生用はかなり安くしていることがわかります。ちなみに小田急の場合6km150円の区間で2340円となります。
また、通常定期の割引率は普通運賃に対して表現し、「通勤定期の○割引」と表現することはありません。これは、通勤定期運賃自体の割引率が一定しているとはいえないため、一定でないものをベースに○割引と表現するのは意味のないことだからです。
普通運賃に対する割引率の計算は、30往復分の普通運賃と比較して、計算します。
これによると上述のJR10km、小田急6kmの場合以下のようになります。
JR通勤:47.5% JR通学大学生:56.1% JR通学高校生:60.6% JR通学中学生:69.4%
小田急通勤:38.7% 小田急通学:74.0%
(あくまでも上に示した例での計算であり、試算区間を変えると割引率は変動します。また、小田急は最初に定期運賃が見つかったので示しただけで、関東の標準的な運賃という意味ではありません。)
JRが通勤定期の割引率が高く、通学定期の割引率が低いのは、国鉄時代末期に毎年のように値上げを行っていた時期がありますが、その際、基本となる普通運賃を上げると共に、定期券の割引率引き下げも行いました。しかし、通勤定期はすぐに国鉄として目安にしていた割引率50%付近になってしまっため、以降は通学定期のみ割引率を引き下げていったのです。また、学校により割引率が異なるので、大学生用は割引率が低くてもよかろうという考えもあったのでしょう。
一方、私鉄は古くからあまり定期券の割引率をいじっていません。
以上の考え方の違いにより、通勤定期と通学定期を直接比較すると、JRの通学定期は大して安くないように見えるのです。キロ数による普通運賃がJRの方が安い例が多いことも考慮に入れると、同じ距離であればJRの通学定期が必ずしも高いとはいえません。