No.3でリンクを入れた大衆紙は日曜だけの発行なので、毎日出ている同系列の大衆紙を見つけて、その記事を見てみました。(参考URLの「WORLD CUP SPECIAL : START THINKING THE UNTHINKABLE - ENGLAND CAN WIN THE WORLD CUP」です。)
今回受けた印象は、前回よりネガティブです。「今や、暑さに耐え、好調さと気力を維持できるチームなら、どこにでも優勝のチャンスが出てきた。」と述べた後に、「つまり、他のチームと同様にイングランドも優勝できるかも知れないという事だ。スコットランドに住んでいる人の多くにとってはぞっとする話に聞こえるかも知れないが・・・。」とありました。(It means it could be England's year as readily as anybody else's, appalling though that may sound to the majority of people who live in Scotland.)
記事全体としては、他にこのような「感情」が入った部分はほとんどなく、そもそも「優勝するチャンスがある」「ベスト4の可能性は明らかである」と言っている以上、「支配者に対する怨念」のような強烈なものは(少なくとも表面的には)あまり感じられませんが、それでも「優勝してほしくない」というのは、前回よりもつよく明言されていると思います。
というわけで、今回は「大声で『負けろ!』とまでは言わないが、勝っては欲しくないな」といったところでしょうか。(それでも、イングランドの大衆紙の対アルゼンチンや対ドイツの試合の報道なんかとは比べ物にならないぐらい冷静ですが。)
参考までに、イングランド以外でのアイデンティティや独立に対する考え方に関する数字を挙げておきます。
スコットランド人・ウェールズ人のアイデンティティ:参考URLの後の方のNo.5をご覧ください。
同じく独立志向:UKからの独立を望む(3割/1割)、UKに留まり独自の議会を持つ(6割/6割)、UKに留まり独自の議会は持たない(1割/3割)左側はスコットランド、右側はウェールズです。
(元ネタは、アイデンティと同じ)
北アイルランドのアイデンティティ(1989年調査)
多数派であるプロテスタント:日本語でいうイギリス人=British(7割)、北アイルランド人(3割)
少数派であるカトリック:アイルランド人:アイルランド人(6割)、北アイルランド人(3割)
(但し、同じ北アイルランド人でもプロテスタントとカトリックそれぞれが持っているイメージは相当異なる可能性がある。)
過去の歴史や現在の状況から来る「情念」自体を否定する気はありませんが、「スコットランド・ウェールズ・イングランド・北アイルランド(Northern Ireland)ときれいに4つに分かれている」と割り切るには、状況は複雑・屈折しすぎている、という事ですね。