- ベストアンサー
マルホランド・ドライブについて
先程マルホランド・ドライブを見たのですがいまいち内容を理解できないまま終わってしまいました^^; 最初の方で刑事?と男のレストランでのやり取りは一体なんだったのか? 青い鍵と箱は一体なんだったのか? 部屋で見つけた死体は結局誰だったのか? 結局のところどこまでが妄想でどこからが現実だったのか? など分からない事だらけですが、もう一回見直すのはちょっとつらいので内容を分かりやすく説明できる方がいましたらお願いします。
- みんなの回答 (3)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
- ベストアンサー
こんにちは。 「マルホランド・ドライブ」は現時点で私の最も大好きな作品です。 でも私も質問者様と同じく最初に観た時はサッパリ意味が解らなくて その後、何度も繰り返し見る羽目になってしまいました・・(笑)。 どうしても全ての謎を解こうとすると、そうなってしまうんですよね。。 ただ、殆どの謎が解けてから解ること それは、この作品で監督が最も伝えたかった事というのは実は単純で そんな面倒な謎解きをしなくとも 主体となって進行されて行く2人の女性の愛憎劇を見るだけで シッカリと監督の思いが感じ取れる物だったのです。 監督が公開前にインタビューで言っていた 「音楽を聞く感覚で(音楽を楽しむ様に)この映画も楽しんで欲しい」 とは、この事を意味していたのではないかと今になって感じています。 ”リズムに乗って主体となって流れて来るメロディーに酔って欲しい・・・” そう言いたかったのではないでしょうか。 ですので私自身としては、これからこの作品を観ようとする人には 謎解きに夢中になるよりも主体となっている2人の女性の物語に 先に目を向けて見る事をお薦めしたいです。 それをシッカリと見るだけでも充分と監督がこの作品に込めた ハリウッドへの複雑な思いが感じ取れるからです。 謎解きは、その後でも充分に楽しめますし また監督が本当に伝えたかった事を 主体のストーリーから先に感じ取っておく事で 謎解きの段階で更に深い味わいも出るのではないかと思うからです。 ******* ただ、質問文を拝見すると 質問者様は、この作品をもう一度見る気はないみたいなので(笑) もし本当に見る気が無いのであれば・・・ という事で、その疑問の部分に関して少しだけ書いてみたいと思います。 まずややこしくならない様に始めに整理しておきたいのが 主人公でもある2人の女性の名前 ・前半「ベティ」と名乗っている金髪の女性は現実では「ダイアン」 :前半「リタ」と名乗っていたブルネットの女性は現実では「カミーラ」 これから説明して行く中で前半であろうと後半であろうと 私は現実の名前の方を使いますので、この辺よく御注意下さい。。 質問者様の疑問点を1つ1つ解いてみたいと思いますが 先ず ◆「結局のところどこまでが妄想でどこからが現実だったのか?」 これは妄想と現実いうよりも全てが「夢の世界」だと考えた方が辻褄が合います。 そしてその「夢の世界」の中で妄想と現実との2つに分かれている事。 それを誰が主導権を握り見ているのかと言えばナオミ・ワッツ演じる「ダイアン」である事。 この夢を見るダイアンは既に亡くなっていて「死者が見る夢」だと考えて下さい。 また彼女の愛するカミーラも同じく既に亡くなっているという設定で ダイアンの夢に迷い込み一緒に夢を見ている状態です。 前半の夢は現実をよく思い出せないままに見ている夢 なので登場人物の立場や名前もゴチャゴチャになっています。 しかし、一応は現実とは少し違えど朧気に残る記憶を辿りながら見ている夢なので 後半に出て来る現実での出来事や台詞、小道具などが 形を変えながらも色々と前半の世界では再現されています。 これを1つ1つ一致させながら見て行くのもまた楽しかったりもします(笑)。 これは先ず2人の女性の間に、 「ある事件」が起こった事が前提として 物語が進行されているという事を頭に入れて見て頂いた方が良いです。 その事件とは何かと言えば、後半の世界からも読み取れると思いますが 主人公のダイアンとカミーラは共に女優 オーディションで知り合い恋仲になり半同棲的な生活を送っていましたが 2人の女優としての地位は正反対な物 汚い手を使ってでも役をモノにしてのし上がって行くカミーラと そのカミーラのコネでお零れ的な役を貰う事でしか映画に出演出来ないダイアンは カミーラへ愛情を注ぐ事が生き甲斐となり彼女への愛情は深まるばかりです。 しかし、カミーラは自分の出世の為には何でもする女。 一心に愛情を注いでくれたダイアンをも簡単に裏切り捨ててしまいます。 裏切られ失望し憎しみを覚えたダイアンは 殺し屋を雇いカミーラに復讐する事を決意するのですが ダイアンが依頼した殺し屋の男は契約の席でこう約束します。 「殺しが成功したら青い鍵を渡す」と・・・ 後半の夢の世界を見れば「青い鍵」が家に届けられていた事が判りますよね。 カミーラ殺しは成功したのです。 殺したとはいえ心から愛していたカミーラを失ってしまった悲しみや 罪の重さ、堕ちてしまった自分の姿に耐えきれず ダイアンは「青い稲光に照らされた部屋」で自殺を遂げるのです・・・・。 前半の夢の世界が何故あの様にややこしくなっているのかと言えば 夢を見ているダイアンの記憶がハッキリとしない中で見ている物だからなのと その為に誰かの力を借りて見せて貰わなければイケない世界だからです。 それを誰に見せて貰っているのかと言えば、 あの赤いカーテンの裏に居た小人達ですね。 彼等が夢の演者を使いダイアンが思い浮かべる通り演じて見せる事で ダイアンの記憶も徐々に鮮明になって行くのです。 そして彼女が記憶を全て取り戻そうとした瞬間に 夢の世界は次の舞台へと切り替わり 厳しい現実を思い出して行く夢の世界へと入って行くのです・・・。 何故その様な展開になっているのかと言えば この映画の世界自体が ハリウッドの犠牲者達の魂を静め鎮魂する事を目的とした場所であり あの様な事件を起こしたダイアンとカミーラも またハリウッドの犠牲者ではなかったのか・・・との訴えから (これが誰が訴えたものかは部屋に飾られている絵にヒントが隠されています) それを見定める為の夢の舞台を用意し 彼女の本心を探りながら事件の真相そしてその背景にあったものを鑑み 裁定を行う為だったからなのです。。 その裁定結果がどうだったのかは 最後の方で一瞬ウッスラと浮かび上がる2人の幸せそうな姿と 舞台上に残った女性が話す「お静かに・・・」 という言葉が物語っています。 ◆「青い鍵と箱は一体なんだったのか?」 これは先程の夢の世界を説明する中でも出て来た様に ・「青い鍵」とは「カミーラ殺しの成功の証」 つまり「カミーラの死」を意味するものであり カミーラが既に亡くなっている事を教えると同時に 「カミーラ自身」をも意味します。 そして ・「青い箱」とは 「青い稲光に照らされた部屋で最後(自殺)を遂げたダイアン」を意味するものであり これもダイアンが既に亡くなっている事を教える物であり 「ダイアン自身」をも意味します。 夢の世界を通して段々と現実へと近づこうとした瞬間に 現れる「青い箱」 「青い箱」はダイアンの現実を知らせる物 前半ずっと謎だった「青い鍵」と出逢う事で ダイアンは本来の世界(最後を遂げた場所)へと引き戻され 厳しい現実を思い出して行くのです・・・ 途中に出て来るカウボーイが 死体のダイアンに目覚めを教えに来ますが 未だ彼女の魂は前半の夢の世界から帰って来ておらず 暫くしてから出直し、ようやく戻って来た事を確認し 後半の現実を思い出して行く夢の世界が始まります。 ここで前半の夢の世界への扉が完全に閉じられ 後半の夢の世界への扉が開かれたと考えて下さい。 前半とは一変する夢の世界ですが ここにも彼女が現実をシッカリと思い出せる様に(リアルさを出す為に) 夢の演者が少しだけ使われては居ますが 殆どは彼女が自力で思い出している映像だと思って下さい。 ◆「部屋で見つけた死体は結局誰だったのか?」 これは本来あの場所で眠っている死体は「ダイアン」なのですが 夢を見ているダイアンが未だ自分が死んだ現実を忘れている状態なので 映像的には「カミーラ」の死体の様にして映し出され それを発見した「カミーラ」が発狂したかの様になってしまうのです。 しかし「カミーラ」も自分が死んだ現実を忘れている状態のまま夢を見ています。 もしかしたら彼女の目には「ダイアン」として映ったのではないでしょうか。 その直後に髪を切るのも「あの死体は自分では無い」という為ではなく 「ダイアン」の死を知ったショックから 「自分の死体であって欲しい」という混乱が現れたものだと思います。 ここでカミーラは、ハッキリとは思い出せないけれど ウッスラとダイアンが自分のせいで死んだのではないか・・・ という現実を思い出しかけている事が感じられます。 だから、その直後に徐々にダイアンの気持ちを汲んだかの様に優しくなり 前半の夢も終わりに近づこうとするのです。 後半へと切り替わる前に出て来た不思議な舞台「クラブ・シレンシオ」 あの部分だけはダイアンが主役になって見ている夢ではなく カミーラが主導権を握る夢の世界へ連れて行かれた物と思って下さい。 この場面でそろそろ夢の世界の終わりが近づいている事を教えているのと同時に カミーラが知った「夢の世界のカラクリ」をダイアンに教えようとする為のものでもあります。 舞台上では、ダイアンの夢を思い通りに見せて来た演者達のカラクリが披露され 泣き女はダイアンの悲しみを歌い上げます。 ここで充分過ぎるくらいダイアンの悲しみを味わった2人は それぞれの場所へと戻らなければいけない時を迎えます。 ◆「最初の方で刑事?と男のレストランでのやり取りは一体なんだったのか?」 この場面は後半の夢の世界に出て来る 「ダイアンが殺し屋にカミーラ殺しを依頼している時の記憶」が この様な形となって現れてしまっているのです。 この時、男と話している青年の顔をよく見て頂ければ解りますが 後半の現実の世界で、ダイアンが殺し屋に依頼をしている時に ふとレジのカウンターの方に目をやる場面があり この時にレジで会計をして貰っていた客の青年と目が合うのですが その青年こそが前半の夢の世界で男と話していたあの青年だったのです。 この時ダイアンと目が合った青年は ダイアンの殺気立った表情に一瞬ひるんだかの様にも見えます。 きっとこの時にダイアンの中には 「殺しを依頼している自分の恐ろしい顔を見られてしまった・・・」 という思いが強く残ってしまったのではないでしょうか。。 それを前半ではあんな形で再現されてしまっているので 解り難くなってしまっているのですね・・・^^; あの場面での男と話す青年の台詞をよく聞いてみると解りますが 彼の話す記憶はダイアン自身の記憶であり 2人の会話は青年の立場に立って思い出しているダイアンの記憶でもあるのです。 この辺かなりややこしいのですが、 それが、あの青年が「同じ夢を見た」という回数にも現れています。 (それぞれの立場から夢を見たという事です) ですから、あの青年は 見た目は(姿形は)ダイアンの殺気立った表情を見てしまった青年ですが 中身はダイアンだと思って下さい。 そして話している相手の男があの時の青年の役割を果たしています。 この辺もう人物は入れ替わっているは立場も入れ替わっているはで 大変混乱させられそうになるのですが、この辺キチンと頭に入れておくと 会話の内容もなるほど・・・と自然に入って来る様になります。 あと、食べた食事の減り具合でも 誰がどっちの役割を果たしているのか解る様に工夫されています。 青年が店の裏で見た恐ろしい顔の人物 それは、あの時のダイアンの殺気立った表情を物語る物です。 それを見せ付けられてしまった青年は実は夢を見ているダイアンでもありますので (ここら辺本当にややこしいのですが・・・^^;) そのダイアン本人の受けた大きなショックからココで音声が途切れて行き 夢は一時停止状態に陥ってしまいます。。 ここで夢が一時停止状態に陥ってしまった事から 夢の世界を作り出していた裏方達が大あわてしますが (一瞬、ここで彼女の魂を見失ったと考えて下さい・・) 彼女にしか思い出せない電話の映像により 再び彼女の魂が戻って来た事を知らせ 夢の続きが映像化されて行きます。 このダイナーでの男と青年との会話の場面だけではなく 他にも謎な場面が沢山あったかと思いますが その殆どが、この様な後半の現実を違った形で再現していた物であったり 夢の世界のカラクリを教えてくれたりしている物でもあります。 そしてそれを謎解きしやすい様に 「過去の作品への様々なオマージュ」「壁に飾られた絵や小道具」 「ハリウッドに関する歴史的な事柄」等々を織り交ぜながら 色々なヒントを盛り込んでくれているのですが 却ってそのヒントがこの作品を複雑に見せてしまっています(笑)。 見付けて行くと「色」や「数字」にまでキチンと意味が隠されていて 本当に「そこまでやらなくてもイイよ!」と思うくらい 謎解きの為のヒントが満載なのです・・・。 ******* 質問文に書かれていた謎の部分に関してはこの様な感じなのですが 恐らく一度(?)見ただけでは この文章すらも上手く伝わらない意味不明な物になっているのではないかとも考えられます。 本当はあと2回くらい見て頂くと大体の事柄は解るのでは・・・と思うのですけどね。 (もっと細かい部分の謎解きになると、もう少し見なくてはいけなくなりますが・・・) 私の率直な感想としては 監督のハリウッドへの複雑な思いが感じられるとても切ない作品。 しかし作品の中に織り交ぜられた ハリウッドへの批判とも取れる皮肉的な場面があまりに印象強い為に ただのハリウッド批判映画の様に紹介される事も多いのが残念・・・ といった感じでしょうか。。 取り敢えず、先の方が御紹介されている物と 私の書いた物を読んで頂けると 少しは何かが見えて来るのではないかと思います。 最終的な解釈の部分は見る人それぞれで違っていたりもするので この辺は、色々な人が書いているレビューを読んでみて 自分なりの解釈を見付けて頂くのが良いかと・・。 この作品を細かく分析したレビューは沢山存在しますが 私からのアドバイスとしては 出来るだけ後になってから書かれた物(日付の新しい物)から読んで行く方が より作品を理解して書かれている物が多いので 参考になるのではないかと思っています。 この様な難解な作品だと、どうしても公開直後に書かれたレビューや 早い時点で書かれた物ほど 早合点から来る見落としが多く、完全に解釈したとは言えない物になっているからです。 この辺よく注意して見定める様にして下さい。 以上ですが、大変長くなってしまい申し訳ありませんでした。 もし他にも疑問点や謎だった場面がある様でしたら 補足を頂ければお答え致しますので宜しくお願い致します。
その他の回答 (2)
#2で回答した者です。連続ですみません・・・ 昨日の回答では、質問者様の疑問の部分に集中してしまって 肝心の全体としての意味みたいな物を書き忘れてしまったので その点だけ再度失礼致しますね。 この作品を断片的に見た場合は ハリウッドへの批判が込められた痛烈な映画で有ったり 2人の女性の愛憎劇で有ったり するのですが 全体を通して見ると それ等は全て監督のハリウッドに対する かつて抱いていた夢であったり憧れや愛情であり 現実を知ってからの裏切りや失望、憎悪 等々・・・を表現していた物だという事が解ります。 どうしても批判的な部分が目立ってしまうので ただのハリウッド批判映画として捉えられる事が多いのですが この作品には、そういった批判的な部分だけではなく 監督のハリウッドへの愛情や映画に対する深い思い などもキチンと描かれているのです。 主人公のダイアンの様に 監督もかつて憧れ夢を見ていたからこそ 現実のハリウッドに失望し憎悪を覚えて行った経緯が 主体となっているストーリーだけではなく 全ての場面に散りばめられているワケなんですね。 どうしても謎解きに夢中になってしまうと この辺の監督が映画に込めた「切なさ」みたいな物を 見失いがちになってしまうので もし質問者様が次に作品を見る機会がある様でしたら そういった監督のハリウッドへの 愛していたからこそ・・・の思いみたいな物だけでも 感じ取ってあげて欲しいななんて思います。 ハリウッドの街を見下ろす道路「マルホランド・ドライブ」 というタイトルからも 監督のハリウッドを眺めながらの雑感・・・ みたいな事を物語っている様に感じます。 (この映画のねじ曲がった世界を意味するものでもあるのでしょうが・・・) とにかくこの辺の監督の複雑な気持ちを頭に入れてから見ると また深い味わいが出て来る作品なのではないかと思います^^ 以上、2度も失礼致しました。 もし何か疑問点がありましたら、また補足でお願い致します。
お礼
監督のハリウッドに対するかつて抱いていた夢であったり憧れや愛情であり 現実を知ってからの裏切りや失望、憎悪等々・・・を表現していた物だという事が解ります。 なるほど・・・この映画にはこういう意味がこめられてたのですね。 どうしても謎解きに夢中になってしまうとこの辺の監督が映画に込めた「切なさ」みたいな物を見失いがちになってしまうので・・・ 確かに自分も謎解きに夢中になっていたので監督が映画に込めた思いなどを感じ取る事が出来ませんでした^^; 回答者様が説明していただいた事を頭に入れて今からもう一回この映画を見たいと思います^^ありがとうございました。
- Frock04
- ベストアンサー率32% (85/262)
あれは難しいですねえ。 こちらをどおぞ。 (禁止かな?)
お礼
ご解答ありがとうございます。とても分かりやすかいてあったので助かりました^^
お礼
ご解答ありがとうございます^^ 分かりやすく書いていただいたのである程度は理解する事が出来ました。 それでもまだ分からない事がいくつかあるので、やっぱりもう一回見てみたいと思います。 この映画の謎が解けたとき、この映画がなにを伝えたいのか?というのが見えてきたときにこの映画の面白さが分かるんでしょうね^^ 頑張ります!