国会審議の時間的制約に対して「苦しくなる」ということだと思います。
与党がどんなに圧倒的多数であっても、何の審議もなしに法案を可決成立させることはできません。さらに日本の国会の制度的特徴として、
○比較的短い会期制、会期延長にも一定の制約
○会期不継続原則(審議未了なら次期国会でやり直し)
○二院制
などがあります。しかも内閣提出法案は教育基本法改正案だけではありません。その意味で議事運営と時間管理がとても重要になります。
一方、法律事項ではないのですが、
○委員会の定例日(曜日)の慣例
○議事運営の与野党合意などの慣例
という制約もあります。
このような制度的前提の結果として、野党は、マクラ(例:民主党が対案の法案をいくつか提出して審議を要求)、質問攻め(例:やらせ質問問題、履修問題)、不信任決議案の提出(例:麻生外相)、などによって審議を遅らせ、政府提出の与野党対決法案を廃案へ持ち込む戦略をとることがあります。
今回の野党の審議拒否も、議事運営の与野党間合意という「慣例」を政府・与党に破らせることによって教育基本法改正案の正統性を揺るがす、というものです。審議拒否がほかの法案審議に波及すれば審議未了の内閣提出法案が生じる恐れも出てきます。議席の過半数を占める与党とて、慣例を無視して単独審議を続けるわけにはいきません。
一方、野党も、いつまでも審議拒否を続けていたら有権者から見放されてしまいます。双方とも世論の動向を気にしながら方針を決め、折り合いをつけることになります。
試金石のひとつになるのが明日の沖縄県知事選です。地方選挙であっても、有権者は国政のことも念頭に置いて投票すると考えられます。福島県知事選を含めて2週続けて連勝となれば、野党は「世論の支持を得た」として強気な国会戦略を継続できるでしょう(審議拒否は続けられないとしても)。逆に、教育問題に敏感な沖縄で敗北したとなれば、野党の国会戦略もかなりの軌道修正を迫られると思います。