浸炭焼入れ処理の歪低減と硬化層深さ確保の両立
初めて投稿いたします。初心者のため的外れな質問かと思いますが、
量産部品の浸炭焼入れ処理における問題に対して、アドバイス頂きたく、
宜しくお願いいたします。
【状況】
熱処理後の部品の歪(円盤部の反り、うねり)が大きく、全数を3次元測定機にて計測して保証しなければならない状況です。OK率が20~30%と低く困っています。
【工程概略】
部品:材料SPH、直径約150mm、厚さ3mm
設備:バッチ式浸炭焼入れ炉
ガス浸炭工程:790℃、2H、キャリアガス15㎥/h、エンリッチガス2.0ℓ/m、NH3 2.0ℓ/m
焼入れ加熱工程:730℃、20分、キャリアガス15㎥/h、NH3 2.0ℓ/m
油焼入れ工程:40~60℃、15分
【直近のトライアル結果】
下記1)~2)全て採用の場合、OK率 約80~90%にはなりました。
1)浸炭温度 790℃→780℃: 硬化層深さが規格下限ぎりぎりとなり、規格割れのリスク有るため不採用とする。
2)焼入れ加熱温度(焼入れ前の温度)730℃→720℃:これを行なうと歪OK率 約40% となるので採用とする予定。
3)焼入れ油温度 50℃→60℃:MAX80℃仕様の油のため、劣化を懸念して不採用とする。(他にセミホット炉:油温80~100℃、ホット炉:110~130℃ などがある)
【質問】
?浸炭温度を下げると硬化層深さ(浸炭深さ?)が浅くなるものなのでしょうか?
?浸炭深さは、焼入れ歪に影響する(深いと歪が大きい?)ものでしょうか?
マルテンサイト変態の量が増え、体積変化が大きくなる?
?焼入れ加熱温度を下げる(今回10℃)と、歪が減るものなのでしょうか?
部品の表裏、各部の冷え方の差が小さくなるため?
?焼入れ加熱温度の720~730℃はA1変態点付近ですが、問題ないでしょうか?
もう少し上の温度、750℃ほどからの方が良い?
?油焼入れ時間(油内に保持)15分間 は妥当でしょうか? 冷やしきらずに短時間で油から引き上げて、空冷した方が、歪(変形)は少ないでしょうか?
焼入れは一気に進むので、保持時間はあまり関係ない?
?浸炭時間の延長、浸炭後に拡散期を追加 または カーボンポテンシャルのアップなどで、歪をあまり増やさないで硬化層深さ(浸炭深さ?)を確保できる方法はないでしょうか?
この状況で、硬化層深さを確保しつつ歪を低減するための妥当な対策案は、浸炭時間の延長と油焼入れ温度にUPではないかと考えていますが、いかがでしょうか?