スパイというと私たちは007やMIみたいな人を想像してしまいますが、現実のスパイというのは相当地味な存在のようです。
最も多いパターンは、情報員がある組織の人間を金で釣ったり弱みをゆすったりしてその組織の情報をスパイさせるというものです。
例えば、日本の公安警察が共産党の資金の流れの情報を手に入れたかったとします。共産党のある経理担当の人に近づき例えば弱みを握ったりしたら(例えば、使い込みをしているとか)それをバラすぞ、嫌なら情報を提供しろ、と迫ります。あるいは、情報を提供してくれたら金を払うということもあります。そして、一度スパイとして働いたら、おい、お前がスパイとバレたらタダじゃ済まないぞ、バラされたくなければ俺の言うことを聞け、となるわけです。
また多くのスパイはダブルスパイであることが多いそうです。ダブルスパイとは、両者に情報を提供するスパイです。オウム事件のとき、オウム内にいたスパイは警察にオウムの情報を提供しました。その一方、見返りに警察から捜査に関する情報を手に入れていたのです。地下鉄サリン事件が起きた直接の動機は「オウムに強制捜査が入る」とオウムが知りその妨害をするために起こしたものです。つまりオウムは警察の捜査情報を知っていたのです。一方、公安警察はオウムが地下鉄サリン事件を起こすのを知っていながらわざと放っておいたことがほぼ確定しています(もちろん公式には絶対認めません)。事件を未然に防ぐより、事件を起こさせたほうが世論を刺激して捜査がしやすくなり公安の発言力も大きくなるという政治的判断によるものです。
情報組織(CIAとか)の恐ろしいところはこういった「知っていたけどわざと知らんぷりをする」をしばしば使うことです。古くは、日本軍が真珠湾攻撃をする事をアメリカ政府が知っていたとか、9.11のテロ事件もCIAは情報を手に入れていたのではないかといわれています。
また戦争などになると自分の情報が漏れることに敏感になりますから、自分たちの組織にスパイがいないかどうかを調べねばなりません。もしスパイであることがバレたら・・・たいていリンチでむごい殺され方をします。もちろん、他に協力者がいないか本人に聞かなきゃならないですから、拷問で質問することも忘れずに。
ですので、現実のスパイというのは映画の世界ほど華麗ではなく、地味で、かつ陰湿な世界なのであります。
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ご回答ありがとうございます。 非常に参考になりました!