もうずいぶん前のはなしですが、彼、ちょっとだけイケメンでスポーツ万能で、いつも仲間のリーダー格で、明るくて、それでいて思慮深そうで、テニスを教わりながらも、目を合わせるだけでももうドキドキでしたから、好きだなんて絶対口には出せないとあきらめていました。
彼の周りにはきれいな方がいっぱいいるだろうし、そうでなくてもだれもがあこがれているみたい。そんな彼にうっかり告白なんかして、もし「君なんか、ハハハ」なんて言われてしまったら、その彼とのことだけじゃなく、自分という女の存在を否定されて、それから先ずっとなにをするにも自信を失ってしまいそうで、それが恐くて。
でも、どうしても好きで好きでしかたがなかったから、そんな彼に思い切って帰りにちょっとお茶していきませんかとだけ言いました。それだけで精一杯、とても告白までは出来なかったけれど。
私だってそう悪いほうでもない、いいところだってたくさんあるじゃないかとひとりでカラ元気をつけて。こちらから誘って笑われてもいい、ばかにされてもいい、ほかの美人さんたちに知られてひやかされてもいい、いじめられてもいい、なにを失ってもかまわないと覚悟をきめていました。
あのお茶の時になにをどう言ったのかはすっかり上がってしまっていて覚えていませんが、でも彼はにっこり笑って「やっと君とはなしができましたね、前から君と一緒にいると気持がやすらいでいましたよ」と言ってくれました。それが嬉しかっただけでなく、その言葉で自分にとても自信が持てるようになりました。それから何度か絵の展覧会なんかにも誘ってくれました。
結局、やっぱり彼はすてきな方と結婚してしまいました。でも残念だとは思っていません。あのときの自分の度胸と勇気が彼のすてきな言葉を引き出したし、それがいまの自分の魅力の原点になっているように思えるからです。
お礼
はいわかりました。努力し、なんとか良い結果に結び付けたいと思います