今回の選挙の第一の争点として挙げられる「郵便局民営化問題」ですが、これは事前のアンケートなどを見られれば分かります通り、年金改革や雇用対策などと比べると一般の国民の関心は非常に低いものでしか有りません。
その一方で、小泉氏は他の政治的な諸問題についてはあえて言葉を少なくし、常に「郵政民営化はこの国にとって重要な改革で有る」とだけ連呼しています。
郵便局が民営化される…。その事を死活問題ととらえて本気で考えているのは、恐らく他に頼るべき金融機関の無い過疎地の方々と、この国の財政が不安定化する事を憂える一部の人だけなのでしょう。
逆に郵便局に特別な愛着も無く、周りに幾らでも銀行が有る地域に住まわれている方にとっては、これは別にどう転んでも大した事にはならない問題と捉えられているのではないかと思います。
そうしたタイプの方々が、元々カリスマ性も有り、信念に基づいて解散までも行い、そして必死で「改革をつぶすな!」と声高に叫ぶ小泉氏の姿を目の当たりにした時に…果たして彼の事をどう判断するだろうか?についてはほとんど自明の理なのではないかと思います。
アメリカの政界では、時折「小さい事は良い事だ」と言う言葉が聞かれるそうです。誰の関心も引かない様な、或いはどう転んでも大した事にはならなそうなタイプの問題の方が、むしろ賛成なり反対なりにその場の空気を持って行きやすい…と言う意味なのだそうです。
現在の小泉内閣の支持率上昇については、或いはこの原理が働いているからなのではなのではないかと考えられると思います。
元々小泉氏は、中央省庁の内でもとりわけ力をもつ財務系や外務系などの高級官僚には頭が上がらない事で知られていた人物です。
また郵便局を民営化する事になぜこれほど拘るのか?についても、彼自身が銀行族の族議員の一人で在るからともされています。
更に一部では、彼の目的は最終的に外資企業が進出し易く、収益を上げ易い構造に日本の金融界を改造する事が目的なのではないか?などと疑問視もされてもいるようです。
しかしこれら彼個人に対する冷静な評価については、現在のところ良くも悪くも意外なほど世間では知られていません。
ですので、もし纏めるならば、
1)内容以前に、まず「郵便局民営化 = 改革!」とイメージしてもらう戦略が成功。
2)郵便局民営化以外の論点が切り捨てられている。
3)彼個人の資質や力量に対する不安材料が広く知られていない。
これらの事が有るが為に、彼こそが「改革!」を行える唯一の政治化なのだろう…との印象を持たれていらっしゃる方々が多いのではないか?と個人的には考えています。