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着物の着付けの違いは何?
- 明治~昭和初期の着物姿の女性の写真を見ると、着付けがゆったりとした柔らかな印象で、帯の位置も胸の上に乗っかる感じでした。
- 現代の着物着付けは「シャキーン!」とした感じで固く、四角いものにキリキリ巻き付けた感じがあります。昔の女性の写真と比べると綺麗に見えないと感じられます。
- 現代では若い世代ほど「シャキーン!」とした着付けが一般的になっており、80代以上の方は柔らかくゆったりと着ていることが多いです。
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お年寄りの着付けがゆったりしているのは、体形の問題が大きいと思いますが(若い女性よりは男性的な体形に近いので)、じっさいに着付けは変化しています。 戦前と比較しても、帯芯、帯板、帯枕などはあまり使わなかったようですし、いったいに昔の着付けは今のような体形の補正をしないことが多かったようです(これは、着物が普段着であったという理由が大きいと思います)。 また、襟のあわせも緩いのが特徴的で、さらに江戸期にさかのぼればいわゆる上前を現在のように右の腰までぐっと持ってこず、前の合わせかたがあさい着付けが好まれたようです。 女の帯については、娘時代は胸高に、年をとるとだんだん下にずらしてゆく(歌舞伎にはこの着付けがまだ残っています)というのが一般的な風潮であったようですが、全体に現在よりも低い位置で占めていました。これは江戸時代の女の人が下履きをしていなかったこともあるのでしょう。それが一転して高めになってゆくのは明治末から昭和初期にかけての時代のようです。 また、現在では下に肌襦袢と襦袢くらいしか着ませんが、昔は腰巻や二布といった下着を襦袢の下に着ていました。 衣紋を抜くのは、もともと江戸時代に、髷のタボ(うなじの上に張出した部分)が仰向いたとき着物に触れて髪油がつくのを嫌ったものですが、今ほどたくさんは抜いていなかったようです。また、年をとると髪が減ってタボが小さくなりますから、だんだん抜きかたも浅くなっていったようです。 江戸時代には、おはしょりはいつもはしょりっぱなしにしておくものではなく、屋内ではおろして裾を引くようにするためのものでした(ただし身分のある女性)。このため、今のようにきっちりとはしょってしまうのではなく、帯を解かずにすぐ裾を引けるよう、浅くつくっていたようです。 腰紐などもあまり使わないのが普通だったらしく、伊達〆とせいぜいおはしょりをするのに一本といった程度で、絞めかたもゆるかったそうです。明治中期の名優沢村源之助は、女形に扮するときちょっとつよく帯をしめると「バカヤロー、俵じゃねえんだ」と怒ったといいますから、ずくずくで、しかも着乱れない着付けだったのでしょう。現に歌舞伎では、今でも帯をしめた女形が肩脱ぎになり、それをもういちど元に戻す、ということが舞台の上で行われていますから、ぎしぎしにしめない着付けのコツがあるようです。 全体的に、着物が余所行きのみに偏して用いられるようになってから、きっちりとした着付けが中心になってきたようです。
お礼
御回答いただき、ありがとうございます。 とても詳しく教えていただけて嬉しいです。 やはり、着付けは変化しているんですね。 腰ひもや帯芯なども今のようにいくつも使用していたのではないのですね。 毎日着ていたのですものね。パッと着て、脱いで、誰でも自分で着ることが出来たし、現代の余所行きのみとは違いますね。 私は恥ずかしながら自分では着られないので、着付けは専ら美容院に頼みます・・・。 『名優沢村源之助は、女形に扮するときちょっとつよく帯をしめると「バカヤロー、俵じゃねえんだ」と怒ったといいます』 そう!まさに今の着付けは私には『俵』みたいに感じます。 今はもう昔のような着付けは望めないのかもしれませんね。 むかし着物、アンティーク風着物が流行っているのだから、『むかし着付け』が復活したら良いのにと思いました。 お忙しいところ、ありがとうございました。