「本当の」脳神経外科医師です(笑)。
nyanski先生が回答してくださった通りで宜しいかと思います。
まず、EC-IC bypassについてですが、頭蓋内の内頸動脈あるいは中大脳動脈起始部に狭窄や閉塞があって、一過性脳虚血(transient ischemic attack;TIA)や回復性虚血性神経脱落徴候(reversible ischemic neurological deficits;RIND)を繰り返しているときに、浅側頭動脈(superficial temporal artery;STA)と中大脳動脈(middle cerebral artery;MCA)の吻合術を行います(→STA-MCA anastomosis)。
他にも狭窄・閉塞している部位によっては後頭動脈(occipital artery;OA)と後下小脳動脈(posterior inferior cerebellar artery;PICA)を吻合したり(→OA-PICA)など幾つかの方法があります。
バイパス術の有効性については色々と議論がありましたが、日本で行われたJET studyにおいて、脳血流量(CBF)が80%以下に低下していて、且つ脳循環予備能が10%以下に低下している例では、その有効性が証明されました(CBF、予備能についてはSPECTの検査を行って、Diamoxという薬を負荷して測定します。詳しく書くと長くなりますのでご自分で勉強してください)。JET studyについては現在さらに条件を絞ったJET study 2が進行中です。
要するに、以前よりはバイパス術の数は減っていますが、症例をきちんと選べば有効な治療法であるということです。
長くなりましたね。次にPTAについてですが、慢性期のものということで、おそらく頸部内頸動脈閉塞症に対してのものだと思いますのでそちらの説明をします。
脳梗塞の原因の一つとして頸部の内頸動脈狭窄症がありますが、これに対しての治療法は内頸動脈剥離術(CEA;手術で血管を切り開いて狭窄部分の血管内膜を剥がして狭窄を改善させる)があります。しかし、高齢者や全身合併症を有している症例では手術のリスクが高いので、代わりに血管内治療を行うことがあります(最近増えてきています)。
PTAは血管内治療法の一つで、心筋梗塞の治療のときのように狭窄した血管をバルーンで膨らませる治療を指します。しかし頭の血管の場合、そのような治療では血栓が先の方に流れていって脳梗塞を起こしてしまうことがあるので有効ではありません。したがって、純粋なPTAはあまり行われず、代わりにステントを閉塞部に留置して血管を拡張させるという治療が行われます。
以前はステントを内側からバルーンで膨らませていましたが、現在はバルーンを使わなくても広がってくれるself expandableのステントが主流になっており、血栓が先の方に流れないように狭窄部の末梢にprotect balloonを使用して安全に治療ができるようになっています。
急性期治療におけるPTAとしてはくも膜下出血の脳血管攣縮時に行いますが、これは純粋なバルーンによる拡張術です。
非常に長くなって申し訳ないのですが、こんな説明でいかがでしょうか。
お礼
ありがとうございます。 PTAの間違いでした^_^;失礼しました。 なるほど、心臓のところでも習いました。 血管が詰まっているところとかを、バルーンの付いたカテーテルで塞栓しているところをふくらまして・・・ってやつですね!分かりました。 ここまで詳しく教えていただけて、助かります。 早速ノートに記入しておきます。 ありがとうございました。 脳外科の先生の回答も出来たら見たいので、締め切らずにもう少しおいておくことにします。