共産党は、社会主義・共産主義社会を目指す政党です。
資本主義が私的利益の追求を経済の基本原理としていることが、多くの人々を抑圧し、経済の非効率を招いていると批判し、生産手段を社会化することによって、その弊害を取り除くことを目指す思想・運動・体制のことを社会主義・共産主義と呼びます。生産手段とは、工場などの設備と原料のことを指します。社会化とは、この場合社会(人々の集まり)の所有に、つまり「みんなのものにする」ということです。その際、共産主義をめざす勢力が国家権力を掌握し、漸次的に計画経済を導入して不況、失業、貧困などをなくす(最近では環境問題への対処も重視されています)という方向をとります。
社会主義という場合は、社会民主主義の思想と運動をさす場合がありますが、共産主義という場合にはそうではありません。社会民主主義は、社会主義体制というようなものをつくることはめざさず、人々の生活を少しずつ改善していくことを社会主義の要素とします。一般的には、福祉国家政策が社会民主主義の特徴とされることが多いですが、欧州の場合、高度経済成長期には保守政党も福祉国家政策を採用しましたし、低成長期には、社会民主主義政党も市場原理を重視する政策をとっています。新聞等で「中道左派」と表現されるのは社会民主主義の勢力です。
日本共産党の場合、すぐに社会主義・共産主義をめざすのではなく、まずは資本主義の枠内での民主主義革命を行うことを綱領に掲げています。民主主義革命の内容は、アメリカへの従属を打破することと独占資本に民主的規制をくわえることとされています。
日本共産党のホームペ-ジ(http://www.jcp.or.jp/)によると、党員数40万、国会議員数は衆議院9人参議院9人、最近の国政選挙での得票は4百数十万、地方議員数約4,000人(今年2月現在。「平成の大合併」で地方議員総数が減るのに伴って、共産党議員の数も減っているようです)とされています。他の政党との違いでよく言われるのは、地道な日常活動を重視し、そのための組織をつくることに力を入れていることです。職場や地域などの生活単位に支部を組織し、全国に2万5千の支部が作られているとホームページでは公表しています。党と大衆の結びつけるものとして機関紙「赤旗」を日刊紙だけでなく、週刊の日曜版を発行し、部数は一時よりはだいぶ減っていますが、両方あわせて173万部としています。また、党員や議員は身近な生活相談活動にも力を入れています。生活に困ったら相談してみると、何らかの努力はしてくれますし、行政などでの支援制度も紹介してくれますし、法律が守られていないために生活に支障をきたしているような場合には法律の内容も教えてくれます。そういうことで、支持者を確保する努力をしています。
規約では、派閥を認めない規定を持っていて、党外からは「党内に自由がない」と批判されることも多いのですが、共産党側は「党の団結を守るために必要」「党内での指導部批判の自由は保障している」と反論しています。
ソ連崩壊前は、世界の共産党のほとんどが、旧ソ連派や中国派のいずれかに分類できたのに対し、いずれにも属さない自主独立の立場をとったのも、日本共産党のユニークさで、そのため、ソ連崩壊後も一定の勢力を保ち続けていますが、旧ソ連のイメージで見られることも多いのは、今なお大きな悩みです。
90年代後半には、旧社会党が政権参加し、他の政党も離合集散を繰り返す中で、その頑固さや愚直さが受け、得票を増やしましたが、最近は小選挙区制中心の総選挙が重ねられることで、2大政党化の流れが強まり、得票を減少させています。
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