こんにちは。
以前、行政で感染症の対策を担当していました。
結論から申し上げれば、日常生活では感染する可能性はきわめて低いです。例えば、汚い話になりますが、唾液にもHIVが含まれています。しかし、バケツ何杯分という単位を一気に飲まないと、感染しないといわれています。そのくらいHIVは感染力が弱いということです。
一番危険なのは、性交渉です。これは、赤ちゃんには関係ないですね。
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以下、基本知識です。興味があれば読んでください。
○通常の感染源は3つ
HIVは感染している人の体液に含まれていますが、人に感染させるだけの量のHIVが含まれているのは、血液、精液、膣分泌液、母乳、この4つです。ただし、母乳に関しては、身体の免疫機能がまだ大人のように発達していない赤ちゃんが、(主食として)大量に飲むため、感染源となり得ますが、通常は、血液、精液、膣分泌液の3つが感染源と考えてください。
この3つの体液のいずれかと、あなたの粘膜、あるいは傷口とが濃厚に接触した場合、HIVに感染する可能性があります。「可能性がある」という言い方をするのは、必ず感染するという訳ではないからです(例えばコンドームなしのセックスで感染する確率は、0.1~1%と言われています)。
ただし、血液などの感染源となり得る体液がかなりまとまった量、唾液の中に混じっているような場合は、これは唾液だけとは言えませんので、感染する可能性が出てきます。
この他、リンパ液や脳脊髄液にも人に感染させ得るだけの量のHIVが含まれていますので、血液に準じた取り扱いが必要となります。まー、日常生活では余り関係ないですが。
○何で感染するのか
以上のように、HIVに感染する機会というのは非常に限られていますので、「~では感染しない」と覚えるのではなく、「何で感染するのか」という基本をしっかり理解しておくことが大事だと思います。そうすればいたずらに怖がることなく、基本を応用してどうすれば予防できるかがわかると思います。
○日常生活での話
日常生活で気になるのは、食事、トイレ、歯ブラシなどだと思います。
・まず食器。
先ほども書きましたが唾液での感染はまずありません、ただ口内で出血されている場合は感染する可能性がないとは言えませんので、可能であれば、大皿の料理よりも、個人ごとに始めからわけてあった方がいいかもしれません。
・次にトイレ。
世界的にも、トイレの共用で感染した報告例はありません。
同じ便座を使うことに対してのご心配でしたら、もし同じ便座の上に座ったとしても、そこに感染源となり得る血液や精液、膣分泌液がまだ乾かない状態で目に見えるほど付いていて、その上に座り、なおかつそこに触れたあなたの皮膚に傷口がない限り、感染することはありません。
健康な皮膚に多少付いたぐらいでは感染しないからです。第一、目に見えてべったりと血液が付いているような便座にそのまま座るというのは、常識的にちょっと考えられないですね。
・最後に歯ブラシ。
まず歯ブラシを共用されることは無いと思います。
ただ、歯を磨いた時に歯茎などから出血することがありますね。したがって、歯ブラシなど血液が付くかもしれない日用品は、念のため間違って人のものを使わないような配置にされておけば、万全です。
これは念のためです、普通は水ですすいであれば、間違って使っても感染する可能性はきわめて低いです。つまり、血液が付いているかどうか、見た目では全くわからないようなごくわずかな量でしたら、そのような量では感染は成立しませんので、ご心配は無用です。
お礼
大変よく分かりました。 とても参考になりました。ありがとうございます。