特殊効果を駆使した戦闘シーンの迫力や俳優陣の見事な演技など、目で見てはっきりわかることもいいんですが、ここはやはりピータージャクソン監督の、作品と母国ニュージーランド(以下、NL)に対する愛と情熱を感じながら見てもらいたいですね。
この人はもともと「バッド・テイスト」や「ミート・ザ・フィーブルズ:怒りのヒポポタマス」「ブレイン・デッド」といったカルトなスプラッター系の映画を取っていた人なんです。
その後、実際にあった少女による母親殺しを基にした「乙女の祈り」という作品が批評家に絶賛され、数々の賞を受賞したのですが、ハリウッドデビュー作となった「さまよう魂たち」の興行的失敗の後はあまり名前を聞くことがなかったのです。
そこに突然「ロード・・・」を映画化するという話が出たときには正直不安でした。彼の作品はばかばかしくて好きだけれど、「ロード・・・」の世界観にあう演出ができるのだろうか、と。
ところがどうでしょう、ふたを開けてみれば誰もが予想していた以上の完成度の映画に仕上げてしまったのですから。
それもハリウッドの力をほとんど借りずNL国内での撮影にこだわり、その雄大な自然をフル活用して架空の世界を作り上げ、WETA社という自分が設立した特殊効果会社に世界中から才能ある若者を集めて、問題を一つ一つクリアしながらハリウッドの特殊効果会社にも負けない映像を作り上げてしまったのですから、その才能には脱帽するしかありません。
そしてその情熱が観客にも伝わったからこそ、日本以上に原作の熱心なファンが存在する欧米において、批評と興行の両面で成功したのだといえるでしょう。
もしDVDで鑑賞するのであれば、得点映像も含め時間をかけてじっくり楽しんでほしいと思いますし、劇場版のみならず、スペシャル・エクステンデッド・エディション(以下、SEE)もぜひ見てもらいたいと思います。
ちなみに、「王の帰還」のSEE版が日本のみ一部劇場にて公開されます。もしお近くで上映されるようでしたら、ぜひ劇場に足を運んでいただきたいですね。
(でも、上映時間が4時間近くあるらしいんですけど(笑))
お礼
参考にさせていただきます