そりゃあ「清潔な生活をすると免疫力が落ちる」でしょうねえ。
コロナで世界中の人々がマスクをして除菌しまくる生活をしました。するとインフルエンザの患者数もほぼゼロになりました。「コロナ対策の生活をすれば、インフルエンザも防げるんだ」と世界中で話題になりました。
けれど、まずイギリスで「子供たちの免疫力が下がっている」ということが確認されました。除菌される生活を送っていたら、菌やウイルスに対する抵抗力が落ちてしまったのです。
やがて日本でも生活が日常に戻り始めると、凄まじい勢いでインフルエンザが流行しました。みんな免疫力が落ちていたのです。
当時日本ではお医者さんが盛んにテレビなどで「コロナが終わったと決して油断しないで、除菌生活を送ってください」といってましたけど、でもそういう生活をすればするほど免疫力が落ちて風邪をひきやすくなるという皮肉が発生してしまったのです。
コロナの流行は我々に「感染症の歴史」を学ばせるきっかけになりました。実は私、コロナが流行し始めた豪華客船でコロナが流行って乗客が下船できないとかで話題になっていたあの頃に過去の同じような事例、特に百年前に流行った「スペイン風邪」が気になってそれの資料を探したことがありました。けれど探しても全然そういう本がなく、ようやくスペイン風邪のウイルスをなんとか取り出そうとした人のノンフィクションの本を探し出しまして、しかもその本はとっくに絶版になっていたのでAmazonで古本を探して取り寄せて読んだことがありました。
その本の中でスペイン風邪については「忘れ去られた感染症」と書いてあったのですけれど、本当に当時世間は感染症を「大したことがないもの」と考えていたんですよ。けれどコロナの流行で、我々人類は感染症とどのように戦ってきたのかってことが再評価されるようになったのです。
そういった中でいわれるようになったのが「外部から隔絶された地域にずっといると、感染症に対する免疫力がつかなくなってしまうのではないか」ということでした。大航海時代の記録を調べてみると、ある島に着いて住民と友好的な交流をしたけれど、何年か経ってみてそこに来たら誰もいなかった、というような記録がしばしばあったのです。かつてはそれについて誰もあまり注目していなかったのですが、それは「隔絶した地域にいた人々は、その人たちにとっての未知の菌やウイルスに対する免疫をもっておらず、それが持ち込まれたら抵抗できなくて絶滅したのではないか」というものでした。
我々は適度にバッチイもんに触れて風邪をひいたりお腹を壊しておかないと、いざというときに生き残れないみたいです。
補足
「極めて稀」というよりも「一見関係なさそうな」「一般にはあまり知られてないような」などと言ったほうがよかったかもしれません。