世界最強である米軍でさえ、その能力が何でもかんでも対応できるわけではなく、その戦力は相対的に最強であるに過ぎません。もっとも、その軍事力に対抗することは世界のどの勢力も困難至極ですが。
戦力同士の比較というものは、どの戦域や地域においてどのような条件で勝敗を決するかによりまったく異なった結果がでてきます。どういうことかといいますと、たとえばどうしても守らなければならない都市があるとします(高価値目標などといういい方があります)。そこをA国の攻撃部隊が空襲を仕掛けようとしています。対してB国は地対空ミサイルや要撃戦闘機部隊をもってそなえているとします。A国はB国の弱点を探し、もっとも被害の少ない方法で攻撃しようと考えていますがなかなかうまくいきません。
実はこの時点で、B国はA国に勝たないまでも事態を優位に進めたことになります。これを抑止力といいます(厳密には違いますが)。
このようなことがあるため、どこまで戦えばいいのか、どう戦場を設定すればよいのかで答えは異なります。
もし日本本土防衛戦が発生したとして、ヤマサクラ37などでは二ヶ月間に渡り最大五個師団の赤軍を本土から追い落とすことに成功しているといいます(秘じゃないですよね、これ?)。自衛隊単独でも、本土に攻めてくる敵を追い落とすことは可能だと言うことです。
ところで、正規戦においてでさえ、勝利条件は変わってきます。民主主義国家の場合、兵員に多数の死傷者が発生すれば世論が耐えられなくなり敗戦するかもしれませんし、独裁国家の場合は権力機構に対する強制措置がなされれば(暗殺でも空爆でも)国家機構そのものが崩壊し敗戦するかもしれません。もちろんそれとは異なる場合が多々あります。
戦争をおっぱじめる際、最近はやりの絵本などでは権力者が武器をうっぱらいたいとか石油がほしいからという実にシンプルな理由で戦争をはじめることになっていますが、その目的はともかく(そんな単純な戦争はありません)、まず勝利条件を設定しないと軍隊を動かせません。とにかく敵をやっつけろ、と言われても指揮官は困るでしょう。まず作戦目的ありきなのです(戦略はこの際はぶきます)。
長くなりましたが、軍隊の強さを単純に比較するということは実に困難、というよりナンセンスということです。
じゃあ最強の軍隊ですか? それは多分、米国人の将軍、英国人の佐官、ドイツ人の参謀、日本人の下士官、イスラエル人の兵隊で構成され、イタリア人の慰問担当とフランス人のコックがいる軍隊じゃないでしょーか(笑)。
お礼
難しいお話有難うございます 勉強になりました。