これは使用の目的が全く異なります。
556というのは一般的には浸透潤滑剤と呼ばれるもので、粘性が非常に低くサラサラした性状のもので物で細かな隙間にも浸み込んでいく性質を持っていますので、錆び付いたネジや固着してしまった機械部品など修復用に用いることが多いでしょう。浸透性が強いので錆びてしまったり固着してしまったりした部分でも強力に浸透していくので、吹き掛けた後しばらく時間をおいて十分に浸透したところでネジを弛めるとか固着した部分を動かすなどしてやると、部品を破損させることなく作業を進めることができるという便利なものです。ワイヤーブラシなどを使って錆やスラッジなどを落とす際にも使えます。ただし、永続的な潤滑材としての性能は持っていませんし、大きな荷重が掛かる部分の潤滑にも全く適しません。
一方グリースメイトというのはいわゆるグリース(かなり粘度の高い潤滑剤でで、通常常温では流動しません。ソフトマーガリンのような感じ)をスプレーでの使用が可能としたもので、こちらは永続的な潤滑に使用できますし、比較的大きな荷重で低速で動く部分に使用することを目的としています。グリースメイトの場合は潤滑性分以外の溶剤を含むため噴射した直後は比較的粘性が低く浸透性があるのですが、時間をおいて溶剤が飛んでしまうと高い粘性のグリースになります。
潤滑剤を選ぶ時のある種のセオリーというか目途になるものに粘性というのがあります。一般に粘性の低いものは高速動作で荷重の小さな部分に、粘性の大きなものは大きな荷重で低速動作にというのあるのですが、もちろんこれが全てははなく、潤滑剤に加えられる各種の添加物によっても異なります。例えば自動車用のエンジンオイルなどはかなりの高速での潤滑を求められる上に大きな荷重が掛かる部分もあり、それを一種類のオイルで満たすために基本的には高速での潤滑性を満たす素材に局圧下での潤滑性を保つための添加物を加えたものが使われています。場合によっては二硫化モリブデンのような個体の潤滑剤(個体であり粉なのですが非常に滑りをよくする性質がある)を加えることもあります。これは、ものすごく強い圧力が加わると油の幕が切れてしまい役割を果たせなくなる場合があるのですが、その際に混ぜられた二硫化モリブデンの粉が間に挟まって滑らせることで潤滑を保つためです。
556はウレタングリースではありませんしグリースですらありません。あくまで一時的に滑りをよくしてやるためのものです。また、いわゆるウレタングリースというのは一般にウレタンエラストマ(ウレタン樹脂をゴムのように弾力のある状態にしたもの)などの表面に塗布して潤滑性や気密性を保つためのものですが、ウレタン樹脂に対して556を使ってはいけません。ウレタングリースとしての役割を果たせないだけではなくウレタン樹脂そのものを侵してしまいます。樹脂部品には耐油性が低いものが多くあり、不適当なものを使用すると樹脂素材その物が変質してしまう場合が結構あるのです。ウレタングリース(一般にはラバーグリースと呼ばれる場合が多い)は基本となる油脂自体が通常のグリースやオイルとは全く異なりますので、シリコーン系やフッ素樹脂系・植物系の油脂を使うのが一般的です。鉱油(石油)系の油脂はそのほとんど(全部ではない)が使えないと思ってください。
どのような部分に使うのかわからないので的確な回答はできませんが、場合によってはワセリンなどでもよい場合もありますし、個体潤滑剤として雲母の微粉末やグラファイト(炭素の一種で鉛筆の芯などに使う)の粉でもいい場合もあります。
まぁ、いずれにしてもウレタン樹脂でできている製品に556はだめですし、556は浸透潤滑剤(ルーセンともいう)でグリースですらありません。
お礼
ありがとうございます