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ばね用りん青銅の耐力について
- ばね用りん青銅の耐力について知りたいです。メーカーのWEBサイトでは0.2%耐力値が載っていましたが、JISではばね限界値しか載っておらず、どちらを基準に判断すればいいのか分かりません。
- 鉄鋼金属では降伏応力の70%が望ましいと書かれていますが、ばね用りん青銅についての情報はありません。ばね用りん青銅の耐力値とばね限界値の違いについても分かりません。
- 調査によると、ばね用りん青銅の耐力値とばね限界値は異なる可能性があります。どちらを基準にして弾性変形の判断をすればいいのか、また、鉄鋼金属とは異なる考え方があるのか知りたいです。
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ばね用りん青銅を使ったバネの用途としては、高応力での厳しい繰返しは無く、そのような設計指針は求められないから設計指針も乏しいと思われます。 むしろ電気的特性を要求する、資料にあるようなコネクタ・コンタクトなどの用途が多いのでしょう。 これに耐力、バネ限界値の概略と材料別に値が併記されてます。 規定値と資料の実力値はかなり差があり、この辺も吟味が必要でしょう。 C5210P-H ばね限界値 390 N/mm2 以上の規定 引張強さ 65[kgf/mm2] 0.2%耐力 60~55[kgf/mm2] 実際にコネクタで挿抜何回といった規定では、バネ限界値をそのまま用いても問題ないように思います。この評価試験は短時間で容易です。 冒頭のように、イヤ何億、何十億回以上耐えなければ・・・疲れ強さはドウナンダ・・・とか五月蠅い用途との違いでしょう。 >50回未満 かなり、ばね限界値より上回っても充分満たすと思いますよ。ヘタリ前提で設計するのが一般的なはずです。 普通のコネクタは数百~千回というのが多く、メモリーカードなんかはその1桁上。
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ご質問・ご要求の背景をぼんやりと申し上げます。 ?疲労破壊は「永久ひずみ」と「不可逆な蓄積」に起因します。 ?ごくごく微小な永久ひずみの繰返しであれば、無限回数の繰返しでも破壊が生じない場合がある。耐久限度あるいは疲労限度と呼ばれる。 ?実用的で有限回数での疲労破壊限界を実用限界とか使用限界と呼ぶのでしょう。 ?ところで応力-ひずみ線図をもとに考えれば、耐久限界とは厳密な弾性限界よりも少し上です。実用限界は0.2%耐力よりも小さいと考えてください。確かに0.2%耐力とははっきりとした永久ひずみを与えるものですよね。
一般的な材料設計では応力基準値として 引張強さ(材料規格値=下限値)>材料降伏応力(0.2耐力)>設計許容値(短期) >材料疲労限>設計許容値(長期) の関係が有ります。許容値は適用環境や使用条件に応じてその安全率が変わ ります。ばねの場合は長期使用しても壊れない観点から設計許容値(長期) を採用すべきと考えています。下記サイトの疲れ線図などを参考にすると 良いでしょう。「降伏応力の70%が望ましい」と言うのはあくまで設計 許容値(短期)と等価であって、ばね設計では疲労限以下に設定すべきです。 過去ログを引用します(http://www.nc-net.or.jp/mori_log/detail.php?id=208675)。 【ばね限界値】と【応力限界】では微妙にニュアンスが違います。【ばね限 界値】は薄板ばね材料の長期クリープ変形量を推定するために短時間に所定 の永久たわみを与え,所定の永久たわみ(例えば 0.075mm 又は0.1mm)を生 じたときの表面最大応力値のことを言い,【応力限界】は熱処理を含む標準 ばね材料の最大許容応力値を意味します。 (参考)http://www.tokkin.co.jp/materials/stainless_steel/000099.php →ばね限界値は短期評価であり、ばねとしての最低必要条件です。このレベ ルに対し、どれ程安全率を取り長期使用に耐えるようにするかは、要求され る条件に因ります。参考サイト内にあるように、板材の場合は圧延の条件で ばね限界値が変わります。SUS板データから圧延率の変化とばね限界値 (~せん断強さ)はほぼ等価であることがわかります。圧延率のばらつきを 30%位見込めば75%ダウン位が適当かも知れませんね。 もう少し補足します。基準応力は薄板ばねのような純曲げ要素の場合は引張 強さ、コイルバネのようなねじり要素の場合はせん断強さになります。塑性 力学から得られる略式として、次式が有ります。 せん断(降伏)強さ=引張強さ/√3=0.58×引張強さ ばね限界応力=降伏応力の70%=0.8×0.7×引張強さ=0.56×引張強さ となり、概ね等価になります。JISの記述はこのことを意味しているように 思います。予め荷重要件を整理して論じる必要があります。 ばね設計には応力集中や環境による腐食など他の因子も含まれます。短期評 価だけでなく安全性の高い設計が望まれます。
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回答ありがとうございます。 応力基準値の大小関係がよくわかりました。 ただ、ばね限界値は試験で規定された永久伸びが発生する時の応力と 認識しているのですが、位置的にはどこに入るのでしょうか? (イメージ的には0.2耐力≒ばね限界値?) 今回は静的荷重の場合なので教えて頂いたサイトを参考に まずは引張強さの75%で検討してみます。 なるほど、耐力とばね限界値はどちらも弾性範囲内で、 応力が収まっているかの指標なので値は近いが、 試験方法や考え方が違うことから似て異なるものだということですね。 今回の件で塑性力学の分野にも興味が湧きました。 納得しました。ありがとうございます。
お礼
回答ありがとうございます。 今回使用する用途としては、コンタクトに近いです。 静的荷重で繰り返し回数は50回未満を想定しています。 (組立の際に板ばねに負荷がかかる程度です。) ちなみに今設計している板ばねの最大応力値が400[N/mm2] 今、?引張強さ下限値の75%→437[N/mm2] ?ばね限界値→390[N/mm2] ?0.2%耐力→539~588[N/mm2] なので、リスクも考え検討してみたいと思います。 JISに許容応力は引張強さの下限値の75%が望ましいという表記が あれば説得力があるのですが探しても出てきません… ありがとうございます。 今手元にある誰かが設計した板ばねを触っているのですが、 意外としっかりしていて必要以上に強く押しても 戻ってきているように感じます。 今回は組立後に一定以上の接圧があればOKなので、 とりあえずこれでやってみます。 ありがとうございます。