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樹脂の膨潤とは?要約
- 樹脂の膨潤とは、高分子材料を有機溶媒中で使用するデバイスの開発において問題となる現象です。
- 膨潤した樹脂の内部には溶媒や特定のイオンが含まれている可能性があります。
- 機械系としては、スポンジのような多孔質な物質の中に液体が保持されているイメージです。
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ポリマーには結晶性ポリマーと非晶性ポリマーがあります。 結晶性ポリマーは通常の熔融成形で結晶化度を100%にするのは実質上不可能です。高密度ポリエチレンはデカリン/テトラリン等の溶媒で加熱溶解して融点付近で“伸びきり結晶”を作成すると単結晶を作ることが出来ます。 非晶部には小さい分子が入り込む空隙があり、気体や水蒸気の通り道にもなります。ここに溶媒が進入すると非晶部は溶解しかかった状態になって容積が増大することになります。これを膨潤と言います。 物質は“似たものは良く溶ける”と言われています。科学的に言い換えるとSP値(ソリュビリティーパラメーター)が近い溶媒にポリマーは溶解しやすい、と言うことです。 膨潤を避けるには、可能ならSP値の離れた高分子材料と有機溶媒を使用することが望ましいと考えます。 SP値は検索で出てきます。 膨潤とは一般的に固体の形状は維持し、溶媒が浸透して体積膨張している状態を指すと考えます。 結晶表面が溶解し掛かる状態は即ち表面付近が非晶になったと理解します。 結晶性ポリマーの結晶部が溶解しかかる、と言うことは膨潤の範囲を超えて溶解していることになります。当然単結晶も溶媒の溶解性が強ければ膨潤を超えて溶解します。溶解度以上の濃度であれば、溶液と結晶が混在することになります。 基本的に結晶状態である限り、その内部には何者も浸透しません。
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ポリマーと溶解力のある液体が接触したとすると、相互に拡散し合う、ポリマー分子は溶媒へ溶媒はポリマー中へ。しかし、溶媒の拡散速度は、分子量が小さいので、ポリマーのそれよりずっと速い。それで、暫定的に、ポリマーが実質的に溶媒として働く。これを膨潤現象という。ガラス状ポリマーなら、溶媒は可塑化作用をなし、ポリマーの分子運動が増す、ガラス転位温度(Tg)が低下する。Tg以上での拡散速度はTg以下より遥かに大きくなる。拡散速度は溶媒の種類、濃度による。
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解説ありがとうございます。 ポリマーが溶媒とみなされるという表現も理解しやすいですね。 厳密には樹脂も流体ですし、機械系としては非常に納得のいく 解説です。
膨潤とは冬の定番、鍋物に入れる「くずきり」みたいな状態、水(湯)を含み体積が膨張することです。 膨潤は溶解の一歩手前という感じです。 膨潤云々は他の回答者が記載しているようにSP(溶解度パラメーター)の数値に関係します。
お礼
ありがとうございます。 やはり「溶ける一歩前」が一番しっくりしますね。
>>機械系としてはスポンジみたいに多孔質な物質の中に >>液体が保持されているとイメージしてしまいます。 今日NHKでタイムリーなことをやってた 角砂糖を 水に入れたところを 想像するといいですよ
お礼
ご回答ありがとうございます。 角砂糖も水の中で体積変化するのは知りませんでした。 表面から徐々に溶けているものと思っていました。
極端に解り易い表現をすれば、一般的には石油で樹脂が作られます。 その生成はネット等でも確認できますが、液体からある物を取り除き固体になるです。 その固体化した樹脂を、石油類に漬けますと取り除いた物質が樹脂に入り込み元の液体にして しまう。(分子の間に徐々に入り固くなくなり、徐々にゆるくなる、液体に戻ろうとする) 以上が、極端な記述内容です。 紫外線劣化とは異なります。
お礼
ご回答ありがとうございます。 樹脂が元の状態に戻りがるという表現はとてもわかりやすかったです。 戻りたいけど戻りきれない状態ということですね。
お礼
ご回答ありがとうございます。 わかりやすい説明で理解しやすかったです。 ひとつ気になった点があります。 ご説明に非結晶内部が溶解しかかった状態となる為体積膨張が 発生するとありますが、結晶部表面も同様に溶解しかかった状 態なのではないでしょうか。表面層のみの変化の為体積膨張は 見られないので単結晶の場合は膨潤しないという理解でよろし いでしょうか。 「固体の形状は維持し、溶媒が浸透して体積膨張している状態」 と自分の中で定義づけしておきます。 結晶表面が非晶となる状態では樹脂は溶解するということも 大変参考になりました。 丁寧な解説をしていただき、ありがとうございました。