>海外ではどうなのでしょうか?
文化という意味では引き継がれています。
ヨーロッパも第二次世界大戦で日本と同様に都市は破壊されましたが、復旧に当たり街並みなど建物の外観を破壊される前の状態に戻すということを積極的にやっています。
>海外では上手く後継者を作っているのでしょうか?
職人技というか技術の継承の仕方が日本と多少違います。
日本は生産する物品をそのまま継承しますが、ヨーロッパは技術を生かすために生産する物品を変えるケースが多く見られます。
現在高級ブランドとされる革製品のメーカーは以前は馬具を生産していました。
革を取り扱う技術を生かして売れなくなった馬具からハンドバックやカバンなどに製品を変えて技術を継承しています。
日本でも無い訳ではありません。
硬度の違う鋼材を積み重ねて作る日本刀の技術は包丁に使われています。
刃を研ぎあげる際にこの硬度の違いが刃紋として刃の表面に現れますが日本製の高級包丁にもあります。
欧米の包丁よりも十倍ほどの値段でも売れています。
この包丁目当ての来日する観光客も増えています。
>職人にお金がいくような構造をしているのでしょうか?
日本と同じようにケースバイケースです。
日本では寺院などの古建築物を解体修理するという方式が伝統的に行われてきていました。
現在も盛んに行われています。
解体修理をする際に建築当時の技術をそのまま再現するということで技術が継承されています。
木材の表面を仕上げる槍鉋などもこの為に復元されました。
ヨーロッパでも教会の修復では同じようなことが行われています。
スペインのサグラダ・ファミリア教会などは130年かかって新築を続けています。
完成まで300年かかるとされています。
外壁の装飾や内装には当時からの技術が継承されています。
東南アジア諸国に伝えられていた籠細工を輸出品にまで育て上げたのは日本です。
日本に竹細工の伝統があったからこそ見つけ出して育て上げることができました。
>伝統文化を受け継ぐ若者の減少が叫ばれて久しいですよね?
職人技を継承する際に制作する物品もそのまま継承しようとした結果です。
物品が売れなくなり職人の収入が減少してしまった結果です。
インドのサリーや中東諸国の男性の白い民族衣装に使われる布地は日本で手織りされたものが最高級品として珍重されています。
手懸けているのが家内工業のような企業だったこともあり日本人自身が知らないケースが沢山あります。
今後このような観点から積極的に販路を広げれば継承する若者も戻ってくるでしょう。
ヨーロッパではワインやウヰスキーの生産に当たり樽に充填して熟成させるという方式を採用しています。
この樽を作る職人はいまだに健在です。
日本ではお酒や醤油などの発酵食品を作る際に使われる樽がステンレスなどに変更されてしまい大型の樽を作る技術は継承されませんでした。
発酵に携わるいわゆる杜氏の技術は現在も継承されています。
これと同じことがヨーロッパのチーズ職人の継承に見られます。
職人技に共通する「作りこみ」という精神は欧米とは違い日本では多くの産業で受け継がれています。
携帯電話などに使われる一枚のステンレス板を深く絞り込んだケースなどは日本の職人のお家芸です。
鋼板を加熱して冷却する際に鋼板は反りますが、これを積極的に利用して三次元にカーブした新幹線の先端が作られています。
職人の勘に頼った技術です。
鉄道車両の乗り心地を維持するためにメンティナンスの度に車輪の表面を0.1mm以下の精度で磨き上げるということもやっています。
これも職人の手の感触が頼りです。