自動車産業と似たようなことが起こるはずなんですが
自動車産業のことを知らない人には
さっぱり意味がわからないんですよね。
事業統合をするなら、事業が何から成り立っているのか?
そこから考えましょう。
だいたい企画,設計,製造,流通,営業,販売,サポート
という感じに分解して考えることができます。
Lenovoは中国で生まれた企業で、日本市場への参入は
IBMが衰退するパソコン事業を切り捨てる際に
その事業を売ってもらって、ThinkPadシリーズの知名度と共に
日本市場に定着していきました。
ですから、当時は単独のLenovoのパソコン事業は
国内に数社のパソコンメーカーを持つ日本市場に
参入して成功を見込めるだけの力が無かったと考えられます。
そして、ThinkPad事業は、米国企業であるIBMの日本法人にあった
ThinkPadの設計部署がLenovoに移るカタチで
ThinkPadの伝統を受け継ぎながら、低価格化で市場を拡大し
現在では、NECの米沢工場で、一部モデルを生産しています。
でも、営業,販売IBMから継承したものでは無いでしょうし
企画もLenovo本体が主導権を持っているはずです。
NECは、ThinkPadのようなブランド力を維持できなかったために
米沢工場でThinkPadを作るようなことになったのでしょうし
現在は、Lenovoブランドと共通製品がNECブランドで売られたりもしているらしいです。
あまり興味が無いので、実際に比較してみたことはありませんけどね。
自動車産業では、骨組みやエンジンなどを共通化しながら
エクステリアやインテリア、つまり外装や内装だけを
ブランドごとに違えるような戦略が広く行われています。
トヨタカローラ店とトヨタスプリンター店における
カローラとスプリンター、あるいはレビンとトレノみたいな例もあれば
フォルクスワーゲンとアウディの多くの車種の例もあります。
ですから、骨組みやエンジンは同じ工場で作られつつ
外装や内装は、別で、最終組み立ても別だったり…
あるいは同じ工場で仕上げられたりもしているはずです。
もちろん、世界の各国に、製造拠点があって、容易に把握できるものではありません。
パソコン業界も、部品単位ではどこから来ているのかわかりにくいものですし
最終組み立ての工場としても、米沢のNECや、島根の富士通とか
製造拠点があるのであれば、Lenovoと統合されることによって
富士通ブランドのLenovo設計のPCが米沢で製造されたり
富士通の工場でNECやLenovoブランドのものが製造されることもあるかもしれません。
そのへんは、話がまとまってしまわなければ、はっきりとしたことは言えません。
でも、たとえばThinkPadの例で見れば、IBMから発売されたのは
PentiumM世代のものまででしたから
その後の、デュアルコア化や64bit OS対応といった新しいトレンドによって
わりとすみやかに、IBM時代の製品は陳腐化され、現場から消えていったはずです。
富士通製品の、どこが良いから買うのか?その理由にもよりますが
サポート体制がどうなるかわからないのであれば
サポート体制を評価して、今買っても
2,3年後のサポート品質は検討も付かないと考えられます。
そうなると、あえて、様子を見たほうがいいのかもしれません。
製造品質の問題は、少なくともすべての機種において
急激な品質低下がおきることは、たぶんありません。
低価格製品は不安が募るところですが
2,3年後になって、低価格製品の品質が落ちていたら
上級モデルの中古品を買うほうが、安くて高品質…
だなんてことも起きるかもしれません。
今、あわててすぐ買える安いモデルに飛びついても、得は無いかもしれません。
もともとパソコンに限らず、複雑な機械は
購入直後に初期不良に類する故障が多く発生し
その後故障の少ない期間を経て
老朽化で故障が多く発生する時期が来るという
バスタブ曲線と呼ばれる傾向があります。
老朽化していない中古品は、いわば動作確認済品でもありますから
中古品を購入することで初期不良を回避する戦略もあります。
実際、私はノートPCは雑に気軽に扱えるように
安い中古品ばかり使ってきましたが、この20年の間に
IBMないしLenovoのThinkPadを10台くらい使ってきて
初期不良に類する故障には出会ったことがありません。
液晶の劣化か、性能不足、あるいはCPUファンの劣化などで買い換えています。