度々お邪魔します。
先日回答したものです。アメリカ在住とは知らず
失礼しました。海外公演でご覧になったのですね。
どうも狭い了見で考えてました。日本に居ても
北海道や九州の方もいらっしゃるのに早々、銀座に行けと言うのは難しいですよね(笑)
自宅にCSからVTRに撮った平成10年の「棒しばり」があったので台詞を拾ってみました。
次郎冠者は勘九郎さんで太郎冠者が現在の三津五郎さんです。
芝居のどの辺りの台詞がよろしいのか判らないので
取り合えず、途中から
曽根松兵衛(大名)が出掛ける前の
台詞を拾ってみました。
旧仮名使いで判りづらい所もあるかと思いますが、
こんな感じです(長唄は聞き取れなかったので
入れていません)
(松兵衛が山1つ越えた所に出掛ける前に家来の太郎冠者と次郎冠者に酒を飲まれない様思案します。まず太郎冠者を呼び次郎冠者を陥れる相談をした後、2人は次郎冠者を呼び出します。松兵衛は踊りを披露し次郎冠者が棒を取りに行きます)
松兵衛 「やい、やい太郎冠者、これへ来い、これへ
こい」
太郎冠者「は、は、は」(松兵衛に近付きます)
松兵衛 「この布を渡すほどに必ずぬかるな」
太郎冠者「ぬかる事ではござりません」
(次郎冠者が棒を持って2人に近付き)
次郎冠者「も~し、も~し、棒を取ってまいりまし た」
松兵衛 「その棒か・・なかなか・・早う使って
見せてくれい」
次郎冠者「私は、若年より棒を好みまいて、
県(あがた)此方(こなた)で稽古いだい ておきましたが、中でも私のは鹿島流で
ござりまする」
(次郎冠者が鹿島流の棒の手を披露します)
次郎冠者「こう持って、出まするから、
はや、心得がござりまする。
向こうから打ってまいれば、ヤッと、
こう受けまする」
松兵衛 「もっとも良い手じゃ」
(次郎冠者は棒の手を続けながら)
次郎冠者「払いますると、また、入れまする」
(蕎麦を打ったり、うどんを打ったり
長唄が入ります。次郎冠者は更に続け・・)
次郎冠者「出た太刀なら引かねばなりません。
引いたところを・・」
(長唄が入り・・)
次郎冠者「打って、打って、打ち萎(なや)いでやり まする」
松兵衛 「さてさて、潔い事じゃ」
次郎冠者「まず、これが棒の表(おもて)でございま する」
松兵衛 「・・はて・・まだ、何とやら・・
あ~それそれ我御寮(わごりょう*おまえ さん)夜の棒とやらを使こうて
見せてくれい」
次郎冠者「は・・」(太郎冠者の方をにらみ・・)
「やい!夜の棒の方まで申し上げたが!?」
太郎冠者「たかだか、申し上げた!」
次郎冠者「申し上げたとあれば、是非がござりませ ん。されば、使こうてご覧に入れまする」
(夜の棒の披露をします)
次郎冠者「夜の棒とまいて斯様(かよう)でござりま する」
「向こうから打ってまいれば・・と、こう
受けまする。また、後ろから切って参れば
ヤッと、こう払いまする。
とかく、あと先にさえ心をつけております れば、怖い事も恐ろしい事も
ござりませぬ・・・」
(長唄が入り、次郎冠者は両手を棒に縛られてしまいます)
次郎冠者「私は覚えがござりませぬ、私は・・」
(必死に抵抗しながら・・)
太郎冠者「やい!次郎冠者!よいじゃ、よいじゃ、
よいじゃ~・・はて、よいなりの
よいなりの、うふははは・・とても
戒めらるるなら、こう、戒められたらよ い」
(と、次郎冠者を騙していた太郎冠者も両手を後ろに
縛られ・・)
太郎冠者「私めは覚えがござりませぬ、いや、い や・・」
次郎冠者「でもさても、よいなるの、よいなるの、
とても戒めらるるなら、こう、戒められた らよい!うふははは・・!」
松兵衛 「やいやい、両人の者、それがしが山1つ
県(あがた)へ参るほどに、よう留守を
せい!」
(松兵衛は酒を2人に飲まれる心配はないと
大手を振り出掛けようとしています)
太郎冠者「何として、この体(てい)でお留守が
なりましょう」
次郎冠者「ひらに、許させられい~!」
太郎・次郎「許させられい~!!」
(松兵衛はお構いなしに出掛けていきます)
松兵衛 「行って・くる・ぞ・よ!両人ともに
よいなりの、よいなりの・・
あはははは・・・」
・・・と、家来を残して松兵衛が出て行く所まで
拾ってみました。所々間違いがあるかもしれませんが
許して下さい。これから先が面白いんですよね!
もしご希望ならこの先も拾いますので申し付けて
下さい。暇な時やりますから(笑)
ご存知かもしれませんが、この舞踊は狂言の
「棒縛」から来ていて、太郎冠者が出てくる舞踊は
この他に「釣女(つりおんな)」というのもあって
これも、面白いですよ。
それから「身替座禅(みがわりざぜん)」
という物があります。これも笑えます。
歌舞伎を観る人が増えるのは嬉しい事です!
日本に帰って来たら是非ご覧になって下さい。
お礼
Seizamさま 大変詳しくお答えくださり、どうもありがとうございました。わざわざテープ起こしをしてもらい、お手数をかけてしまいとても恐縮です。でも拝読させていただくうちに独特の口調がよみがえってくるようで、楽しかったです。このお話の続きのせりふ起こしはSeizamさんの貴重なお時間をいただくのも恐縮なので、結構ですよ~。十分味わうことができましたので!どうもありがとうございました。