『何故に有名な曲は18××年位までのものばかりで、19××や20××というものがないのか』と言う部分についてですが・・・、それは、19××年以後の曲が「現代音楽」と呼ばれるタイプの作曲法で作られるようになったからです。
古代は別として、中世からバロック、古典派と呼ばれる頃までは、音楽家はただ雇い主の気に入るように曲を作らされるだけの存在でした。しかしベートーベンの頃になると、自分は単なるサラリーマンではなく芸術家だ!と自己主張する人々が現れます。彼らがそれまでに無い新しい表現として、ロマン派と呼ばれる作品群と作曲術を作り上げて行きます。
「現代音楽」とは、そのようにして芸術家としての意識が高い人々が築き上げてきた技法に乗っ取った、様々な意味で非常に高度な音楽です。
しかし"非常に高度"であるが故に、逆に様々な欠点も持ち合わせてしまってもいるのが、この現代音楽です。
例えば、高度な理論体系に基づいて作曲されている為に、それらを頭で理解できる知識人や、職人技を堪能できる玄人以外の人々にとってはただ訳の分からないヘンな音楽でしかない・・・と言う一面が有ります。またあくまでも音楽理論を優先させる作りのため、理解できる人も理解できない人もハッキリ言って聴いて楽しくない、人の気持ちに訴えかける事を忘れてしまったかのような印象を与える曲が多い事も事実です。
そんな状態なので、経営的な判断も加わって、いわゆるチャレンジャーな演奏家(楽団)以外からはややもすると演奏事態が敬遠されてしまったり、と言う事も有ったりします・・・。
「良い曲なのかもしれないけれど、自分には到底わからないし、好きにもなれるような感じじゃない。だいたい気軽に聴けるような所じゃやってないし・・・。」
たとえ内容が有ったとしても、そんな印象の曲ばかりが増えてしまった・・・。それが、比較的新しいクラシック曲に誰もが「知ってる!」と言えるほどのものが少ない最大の理由です。
ただチャレンジャーな聴き手(爆)の一人として、この状況は正直に言ってとても勿体無いような気がします。ですので申し訳ないのですが、オススメの19××曲の中に、あえて現代音楽とされる曲も含めさせていただきました。これらから耳を慣らして行けば、きっと近現代の曲も楽しめるようになるはずです。もしもこの中にまだ未聴の曲がありましたなら、いちど軽い気持ちで触れられて見てください。決して損はさせないはずですよ♪。
・シベリウス「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」1905年
(ひたすら北欧的なロマンチシズムを奏で続ける、現代音楽の語法とは無縁な曲です)
・ストラヴィンスキー「ヴァイオリン協奏曲ニ調」1931年
(軽量級ですが、舞踊的なリズムが楽しい隠れた名曲です。)
・ベルク「ヴァイオリン協奏曲」1935年
(可愛がっていた少女の死に触発されて書かれた、物悲しくも美しい曲です。)
・ラヴェル「クープランの墓」1917年
(とても典雅で、しかし豊かな曲です。気分良く適度に盛り上がり、熱とは無縁な魅力を持ちます。)
・プロコフィエフ「キージェ中尉」1933年
(間抜けです、とても間抜けな曲です^^;。もっともその原因は、この曲が彩った物語の方に有りますか゛。)
・バルトーク「管弦楽の為の協奏曲」1943年
(勢いと言い緊張感と言い表現力と言い、まさに20世紀音楽を代表すると言って過言ではない一曲です。)
・ヤナーチェク「シンフォニエッタ」1926年
(トランペットの響きが非常に印象的な、とてもクリアな雰囲気の曲です。)
・メシアン「トゥーランガ・リラ交響曲」1948年
(電子楽器やガムランの音階を使って、普通のクラシックのイメージとは違う響きを創っています。)
・ショスタコーヴィチ「交響曲第10番ホ短調」1953年
(重く暗い曲ですが、本物のインパクトが有ります。古い時代の交響曲とサウンドの聞き比べをするのも
一興です。)
お礼
どうもありがとうございます。早速、ヴァスクス、ルトスワフスキ-あたりを捜して聴いてみます!