単純に、会社は「利益を求めるもの」であるという定義になっています。
利益は何かというと、単純にこういうことです。
何らかの活動をすることで、誰かがお金を払ってくれる場合があります。これを売上と言います。
パンを作るとしましょうか。
食パンをつくるとして、できたパンを並べたら誰かが1個200円で買ってくれたら、200円が売上です。
この活動をすることで、費用がかかります。これを経費といいます。
パンを作るなら、小麦粉やバターや牛乳や玉子を仕入れなければいけません。これに100円かかったとします。
利益というのは、売上の200円から必要経費の100円を引いたものであって、100円ということになります。
実際にはこれは粗利と言います。
本当は、電気代やガス代、水道代等もかかっていますし、お店をするならお店の地代もかかっていますので、利益=純利益はもうすこし減ります。
また、ネタをこねるのも伸ばすのも焼くのも店に並べるのも販売するのも全部自分ならいいのですけど、係をわけて平行に作業したほうがいいに決まっています。
だから人を雇うのであれば、この人の給料を考える必要が出てきます。
で、利益の追求とはなにかというと、今の例でいえばこういうことになります。
そのパンを1日100個作ろうと考えます。ひと月30日作るなら3000個になります。
粉も玉子もバターもたくさん仕入れます。
大量に仕入れるんだから、お値段を勉強してくれないか、と交渉します。
大概、コミット値引きといって、値引きをしてくれます。
1個だけつくるのに100円かかってたものが、80円で済むかもしれません。
そうすると、1個あたりの利益は20円増すことになります。
3000個なら6万円の利益が得られました。
だったら、パートで従業員をいれて月6万円以内の給料で雇えば、前に全部自分がやっていたことを一つは減らせて、その分やれることが増えることになります。
仮に店番をお願いしたら、商品をならべることとレジを頼めるじゃないですか。
さて、さっき粗利として考えたものが6万だったので、この人を雇ったのでゼロになりました。
このとき、純利がゼロになったとみなします。
すこし自分に時間ができたので、今のパン以外の新たなレシピを研究し、新製品を開発します。
たとえばヨモギパンだとか、アンクリームデニッシュだとか。
これをすると、来たお客さんが複数買っていってくれるという現象が発生します。
食パンとアンクリームデニッシュ2つ、というような買い方をしてくれたら500円の売上になるかもしれない。
もちろん、食パン以外の作成にも原料費はかかりますけど、それぞれが利益を稼ぎますから、利益は20万超えるかもしれません。
パートさんの給料ひいても14万の純利が出ています。
ここでまた人を雇うのもいいけど、毎月14万のお金を確保できるなら、リースで10万程度のパン焼き釜なんかを購入可能です。
これは前のオーブン式のものと違いたくさん同時に焼けるし、ピザも作ることができる。
この釜をいれることにより、レシピがまた増えます。
クロワッサンが焼けるようになります。またカタチを工夫したウナギピザとかとかのおもしろメニューも展開可能です。
こうなってくると、お得意さんが友達を引っ張ってくるようになります。
口コミの力は大きく、50万の利益が出るようになりました。
6万のパートさんの給料、10万のリース料を引いても34万純利が出ているという話になります。
そこそこの修行をしたパン職人を雇ってもいいんじゃないですか。
この人に35万払いましょう。そうすると当初は1万円の持ち出しになりますけど。
職人さんが入ってくれたおかげで、パンの生産が人任せにできるようになりました。
常連のお客さんの意見なんかも聞いて、コンチネンタルドーナツだとかメニューも増やせました。
厨房側と店側両面に働き手がいると、大体1日10万円程度の売上にはなります。
ひと月300万になったら、原価が4割のままとしても180万は利益になっています。
だったら店のほうの人間をもっと充実しましょう。
開店時間を朝7時から夜8時までにする。朝食のために買いに来る人、昼用に持っていく人までターゲットに入れます。
そうすると、2,3交代の要員が必要になります。
また、厨房のほうもサブ役の人間が必要でしょう。
人件費に100万計上しましょう。でも利益はまだ80万ある計算になります。
経営や計画の余地がでてきたのです。
店の広さが10坪ぐらいで通りから奥まったところにあります。
もうすこし表舞台で店が開けないかと考えます。
あるいは、ショッピングモールというようなところに出せないかと考えます。
当然そんなお金はさすがにありませんけど、いままでの帳簿と、今後の展開計画を書類化したものをもとに信用金庫なんかに相談をすれば、開店資金は貸してもらえます。
1千万借りたとして、このお金はどう返せるでしょうか。
1号店でいま80万純利が出ています。
店をもうひとつ増やしたら、また80万の純利が出る可能性はあります。
160万あるなら、100万ずつかえして10か月で完済可能だという計算になるでしょう。
ここで、金利だとかほかの費用は割愛して話しています。
ではその10か月なりの期間がすぎたらどうなるか。
160万の純利は完全に確保できることになります。
こういう風に展開するのが商売です。
パン屋で話したのは、架空の話として聞こえないで売上と利益の関係が説明しやすいからです。
だけど、視点をちょっとずらして。
売上が全くなければ利益もないことになります。
でも売上を上げることが利益を上げることに即連動するわけではありません。
不良在庫だとかを抱えている場合は、利益を度外視して安売りをすることで在庫を減らすということもありそれも会社の仕事のうちです。
売上は計上できますけど、赤字になるという話です。
ただ、赤字になるとしても不良在庫を片付けられたら会社は身が軽くなります。
在庫というのは資産ですから、あるだけで決算時に重荷になり、企業評価を落としますから。
こういうことを、表向きではなく「潜在利益の開発」などと言ったりすることがあります。
潜在利益の開発というのは、全く新製品を開発するときなどにも言います。
売れるかどうかもわからない、電話に余計なパソコンみたいな機能をつけたスマートフォンなんて、誰が買うんだと思った人はいたと思いませんか。
Appleがやっているんだ、macが売れないから。自殺行為だね、みたいに影ぐちを言った人は私の周辺にも何人にもいました。
私自身も、商売としてはいかがなものかと思いましたよ。
機能自体は大変におもしろいけど、相当高価な値段になってしまうだろう。
いまケータイですらうまく使いこなせないという人がいるのに。
さらに複雑なものというのは、頭の柔らかい十台の連中ならほしがるだろうけど、その年代は金がないし、とおもいました。
ケータイが出たばかりの時、成り上がり者みたいなうさんな連中が駅だとか道でこれ見よがしに歩きながら通話していた光景を覚えていましたから。
なぜかあのときは必ずケータイは歩きながら話していた。
それが、いざ発表され発売されたあとはどうか。
当初は市場は静かだったけど、あの大ヒットです。
そんなに古い話じゃないんですよ。
あの「あまちゃん」で、三陸ではじめてスマホを買ったのが琥珀磨きの勉さんで、以後スマート勉さんといわれた、というギャグがあった程度の古さです。
こういうことが、公式には「潜在需要の発掘」といい、陰では「潜在利益の開発」と言われることです。まあバクチですね。
お礼
ありがとうございます。