ブラジルが対ドイツ戦で何が足りなかったのか。
攻撃:ネイマール以外役に立たないのは今大会のブラジルの試合を見ればわかりますが、ではいなくなった時にどこまで攻撃力が落ちていたか。実はそれほど落ちていない。シュート数・枠内率も、大きく下落していない。要するに、シュートを打てる場所までのボール運びは、今大会のブラジル代表は決して劣っていたわけではなかった。そう考えれば、少なくとも攻撃についてはネイマールの有無は「たいした問題ではなかった」と言う結論になるかも。
一方の守備。これは、あくまでも「取られた以上に取り返す」前提のザル守備。これは過去のブラジルもあくまでも攻撃参加が前提の守備陣で構築してきた伝統もあるので、仕方ないとは思いますが。今回は攻撃参加(しか)前提にしなかったことで、日本人大好きの陣形で言うなら2-7-1のような非常に歪な守備の入りしか出来なかった。その2のうちの1人であるチアゴ・シウバ(もちろん相方はダビド・ルイス)が欠けたのだから、ドイツ戦での見るも無残な負けっぷりはむしろ当然。
(これは日本はバカに出来ませんけどね。今大会最大の穴は、日本も両サイドバックだったわけで。面白いように突破されてもなお攻めたがりを失わなかった日本の左右SBも、そろそろ交代の時期に来たのでは?)
ネイマールの穴はさほどではなかった。しかしシウバの穴は大きすぎた。というより、いくら得点第一のチーム方針だとしても(おそらくは地元開催ということで、何より応援する地元サポーターの欲求に配慮した布陣)、実質守備専業をわずか2枚のCBに任せっきりだったのはいかがなものか。正直なところ、チアゴ・シウバが欠けたブラジルなら、コロンビア戦の日本代表をぶつけても「勝ち目はあった」かもしれない。いや、むしろ日本のようにパス回し至上主義ならどのみち無理だったか。
3位決定戦は、両チームともモチベーションどん底。開始早々からブーイングを浴びるブラジルと、そもそも3位決定戦に興味を示さず、コンディションがよくない主力のスナイデルとデヨングを下げていたオランダ。その決着が、よりによってオランダのファーストアタックを”あの”チアゴ・シウバが1発ファウルでPK。もはや能力の有り無し関係なく、両チームとも集中力はほぼ0というのはよく分かりました。あれをベンチで見せられたネイマールの心境や、察して余りあるものです。
ドイツの優勝で幕を閉じたブラジルW杯。わかったことは、ブラジルは開催枠でなければ、そもそも出場できていたのか?と疑問に思うほど、全体的な戦力は大きく落ち込んでいたということ。昔からブラジルは特定少数のヒーローを好んで育てる傾向もあるので、当分ブラジルの凋落傾向は続くと見ます。少なくとも欧州勢が南米開催で優勝したことで、もう欧州に対南米へのコンプレックスは完全に消え去ったというしかなく(序盤でスペインやイタリアが消えたのも、今思えばチーム力を忠実に反映したもの)、欧州vs南米の勢力図は大きく欧州側に傾くことになるのだと予想します。
※南米は欧州トップリーグにとっての人材供給源、という位置づけで落ち着くのでは?
お礼
なるほど、攻撃偏重のブラジルにおいて、少数精鋭2枚看板DFの1枚が欠けたのはやはり対ドイツ敗戦の大きな要因だった、で、3位決定戦の結果は、モチベーション低下により参考にならない、ということですね。(やや飛躍的に要約しますと) 私もTシウバの穴は大きいと感じた一人ですが、3位決定戦の結果はどうにも・・・ じつは、日にちを間違えて3位決定戦を見てないんですが、ブラジルはわざわざネイマールが応援に来たり、オランダが「過去に3位決定戦で負けて後悔した」という先代の言葉を持ち出したあたり、それなりに気合は入っていたのかな、と。 他に、スペイン×オーストラリア戦は双方が消化試合でしたが、あの試合の攻防を見る限り、私としては、たとえモチベーションが下がっても手は抜かない「サッカー選手の本能」を感じた次第でして、ブラジル惨敗の結果をどう見るか、いまだ迷ってるところです。 とりあえず、複数の可能性を残しておきます。 日本は、ブラジル惨敗の結果で目を覚ましてほしいですね。 ありがとうございました。