まず、ウクライナの分断は、EUもロシアも望んではいない。
ウクライナの西部はEU寄りだが、ここはたいした産業もなく、引き受けるEUはそんなところの面倒をみるのはまっぴらごめん。
東部と南部はロシア寄りだが、西部がEU圏に持っていかれたらその後東部もEU圏の影響下に入ってしまうのはあきらか。
それから、ウクライナ人も分断は望んではいない。
国が小さくなったら国力も人口も小さくなり、周辺国家からの干渉や経済支配にさらされることになる。
西部はEU寄り、東南部はロシア寄りだが、それぞれの支配下に入る気も属国になる気はさらさらない。
EUもロシアも別にウクライナ人の幸せなんて興味ない。彼らが欲しいのは資源、労働力、食料、領土、利権だ。
そしてそれを狙っているのは、EUとロシアだけではない。
ポーランド、ルーマニア、ドイツ、トルコ等の周辺諸国だ。これらの勢力はEUの後ろにいながら別の狙いも持っている。
その狙いに警戒しているのがイギリスとフランス。EUも一枚岩ではないし、脆い集合体でもある。
ロシアもウクライナの混乱や分裂により、それがロシア南部に波及することを恐れている。せっかく大資本を投下して強行したソチオリンピックもロシア南部の混乱により水泡に帰する可能性がある。
グルジアなどのコーカサスの「反ロシア」勢力やイスラム諸勢力が勢いを増すことはロシアとしても避けたい。
ウクライナの混乱は、日本にとって他人事ではない。
もしウクライナが分断し、EU対ロシアの代理戦争として紛争を起こすことになるのは、当のウクライナ人もEUもロシアもアメリカも望んではいないが、唯一地球上でそれを望んでいる国があるとしたら中国であろう。
欧州の混乱は、東アジアの支配権拡大に有利になるからだ。
ロシアも極東を中国に簡単に明け渡す可能性が高くなる。
現に中国は、ヤヌコビッチ大統領に接近して経済・核の面での協力関係を申し入れた。
親ロシアのヤヌコビッチ政権だが、ロシアとの交渉道具として中国というカードを使った。そのことがロシアの逆鱗に触れ、今回のキエフ暴動をロシアは黙認したと思われる。
ウクライナの混乱は、単にひとつの国の混乱に収まらず、世界的規模の混乱に発展する可能性もあるし、その兆候はすでに現れはじめている。
お礼
有難うございます。 EUとロシアは、どんな裏工作しているのでしょうか。 とても興味があります。 デモ隊の中に、お互いのサクラがいたりして(^^;)