以前時計店の店長をしたことがあるので時計のメカニズムには一般の人よりは詳しいので腕時計の使い方について解説させていただきます。
最初に質問者さまのいうミューズというのはリューズのことではありませんか?
腕時計のサイド部分についている時間あわせをするためについているリューズは車に例えればクラッチに相当するものです。クオーツ時計にはすべてモーターとMOS ICと呼ばれる電子回路が組み込まれています。そして重要なのが水晶振動子です。水晶を薄くスライスして電圧をかけると高周波数の振動が起こります。この高周波の振動が時間を計る元となります。高周波の振動は電子信号となってMOS ICに伝わり、モーターから伝わった回転動力が電子信号に基づいて細分化され、歯車に伝わり時計の針を動かす仕組みになっています。リューズを引いて時計の針を止めるのは、モーターの回転動力が歯車部分に伝わる接続を遮断することになります。時計は中の電池を抜かない限りモーターが回り続けるので、リューズを引いて針を止めても電池の消耗期間は変わりありません。リューズを引いたり押したりしても、リューズは車でいうところのクラッチですから時計が悪くなるわけではありません。
ただし、車のクラッチと同じで半クラッチの状態(時計のリューズでいえば中途半端に引いた状態)を長く続けると接続部分が磨耗して悪影響がある、ということはありえます。
以上のことを踏まえて上記1の場合と2の場合を検討すると、
1 夜など使わないときにリューズを引いても時計内部では電池からの電流は流れ続けており、電池消耗を防ぐことはできないのであまり意味はないということになります。
それどころか時計内部の歯車を止めてしまうので歯車と歯車の間に微細な眼に見えないほどのゴミが入り込みやすくなり時計にとってよくないことになります。
まあ、歯車はいくつも組み込んであり、歯車同士がかみ合っているわけですから歯車の磨耗を防ぐという意味ではプラスになるようにも感じられますが、歯車を止めた場合はプラスよりもマイナス面の方が大きいです。なにしろ時計の歯車は拡大鏡で見なければ見えないほど小さくて眼に見えないほどの非常に小さいゴミが歯車と歯車の間に入り込んだだけで動かなくなるからです。
2 リューズを引いたり押したりしてからといって時計に悪影響があるわけではありませんが、長時間あるいは長期間リューズをひいたままにしておくと先ほど説明したような理由で時計には悪影響があります。このように考えるとリューズを引いて時計を止めるのはメリットよりもデメリットの方が大きいという結論になります。リューズを引くということの意味はお分かりいただけましたか?