髪の毛の専門家です。
回答と言っても,私個人の考えですので,そのつもりでいてください。(つまり,異を唱える人がいてもおかしくないと言うことです)
まず,先進国の人々と途上国の人々とを比較します。
先進国の人々の食事は,「飽食」と言われています。
途上国の人の食事は「粗食」と言われる部類に入ります。
飽食の場合,どうしても肉類を多く摂る傾向があり,粗食の場合は,野菜中心の食事になります。
肉類が悪いと言っているのではないのですが,毛穴に詰まって困ったことをする皮脂の材料である油(脂)は,肉類を食べることで必要以上に多く摂取されてしまう傾向にあるのです。
そのためであると言うことも言えると考えいます。
さらに,途上国の人々の場合,皮脂に関連するビタミンEやビタミンB2などの摂取も十分出来ていることも大きな要因だと考えています。
食事に関連したこととしては,途上国の人ほど,微量栄養素(ミネラル)の摂取が必要以上に出来ているという話です。
このミネラルの中で,髪の毛に関連していると言われているのは,銅ミネラル(白髪予防)や亜鉛ミネラルです。
特に,亜鉛ミネラルは,新陳代謝を活発にすることから,髪の毛の生育に深く関わっているのではないかと言われています。
栄養素一つ一つとして回答してきましたが,実は,一番大切なのは,栄養バランスです。
飽食は栄養バランスを崩しやすく,粗食は栄養バランスを崩しにくいようです。
ただし,その国に住む人にとっての栄養バランスですので,私たち日本人が途上国の人と同じ栄養バランスにしたとしても,まったく意味がないことですが・・・。
また,ストレス(精神的ストレス)についてですが,途上国の人々に精神的ストレスがない,または,少ないと言うことは言えません。
しかし,途上国には,動植物が多いことや,また,適度な運動をすることが出来る環境が非常に良く整っていることなどもあり,精神的ストレスを簡単に,かつ,意識せずに解消出来てしまうのだと考えています。(場合によっては,精神的ストレスを意識的に解消しようとすることで,新たな精神的ストレスになってしまうこともあります)
この他にも,人種としての遺伝(「禿の遺伝」ではなく,「禿げやすい体質の遺伝」ですので,間違わないようにしてください)もあることは否定出来ません。
しかし,米英人の中で,禿げだしてから日本食に切り替えた人の中に禿が広がりにくくなったという人がいるようですから,遺伝によるものもある程度は防げると思いますよ。
で,ここまでは,一応,自信ありの回答です。
問題は,通常の生活をしている日本人と日本人のホームレスの方たちの比較です。
確かに,ホームレスの人たちの食事は,日本人の所要量(1日に摂取するべきだと定められている量)だけを考えますと,お世辞にも栄養バランスが良いという食事ではないようです。
でも,少ないなりに,意外と栄養バランスがとれているように感じます。
皮脂に限定して考えれば,その材料となる油(脂)の摂取は,一般の日本人よりは少ないです。
そのため,皮脂と男性ホルモンと反応して出来る「髪の毛の生育を阻害する物質」が出来にくいのではないかと考えています。
また,私たち日本人には,「もったいない」遺伝子というか,「粗食」遺伝子というか,とにかく,少ない量の食事でも活動が出来るようになる遺伝子を持ち合わせています。
もしかしたら,ホームレスの人々は,この遺伝子が発動しているのだとも言えるのではないでしょうか。
そのため,髪の毛が脱毛しにくいように生育しているのだとも考えることが出来ると思います。
そして,「髪の毛が脱毛しにくいように生育」するための鍵は,不衛生な髪の毛のため,脱毛した髪の毛が脱毛していない髪の毛に粘着しているため,脱毛していない髪の毛が支える重量が増えたことに関係していると考えることが出来ると思います。
以前,ホームレスの人の髪をカットする機会があったのですが,そのままカットしたのではクシが通らなかったため,プレシャンプーしたところ,かなりの髪の毛がシャンプーによって落ちました。
本人は,それだけで「頭が軽くなった」と言っていましたが,だからと言って地肌が見えるようなことはありませんでした。
と言うことは,脱毛していない髪の毛が,脱毛して粘着していた髪の毛の分の重量まで支えていたと言うことになるのです。
そして,残っていた髪の毛も,「カットするのがたいへん」というと少し大げさですが,一般のお客様に比べて,太くて硬い髪の毛だったのを記憶しています。
また,その際,興味を覚えましたので,毛穴の様子も見せてもらったのですが,毛穴は深く,角栓(汚れと混じることでグリス状になり,毛穴に詰まってしまった皮脂)があれば広がってしまうはずなのに,それもあまり見受けられず,意外とよく締まっていたのを記憶しています。
まぁ,たった一人のことですから,違う可能性は非常に高いですが,このことから,皮脂の分泌が少ないことと,髪の毛が非常に良く生育していることが言えるのではないかと思います。
とは言え,一般的な日本人である私たちが,途上国の人々やホームレスの人々の生活をすることは,社会的に許されない状況となっています。
ですから,発毛サロンと言っているところのやり方がすべて正しいとは,現段階では絶対に言いませんが,脱毛で悩んでいる人がいる限り,サロンのレーゾンデートル(存在価値)はあると思いますよ。
最後に,「毛が抜ける一番の原因はやはりストレスなのではと思うのですがどうなんでしょう?」について,直接の回答をします。
また,ここからは,現在,そのように考えられてきているという条件で,自信ありです。(つまり,将来変わる可能性を含んでいると言うことでもありますが・・・)
現在,脱毛の原因として,一応,証明されているような状態にあるものが,2つあります。
それは,「栄養の不足」と「男性ホルモンの関与」です。
栄養不足は,ミノキシジル(ロゲインやリアップなどの主成分)という薬品によって証明されたと言って良いと思います。
と言うのも,ミノキシジルは,高血圧症の薬として開発された経緯があり,血圧降下を簡単にするためには,血管を拡張させることだそうです。
血管が拡張しますと,血流量が増加し,その分,栄養が運ばれやすくなります。
つまり,ミノキシジルが有効な「ツムジのあたりから頭皮が見え始めたタイプ」の脱毛症の場合,髪の毛の栄養不足が原因であると言えると言うことになるのではないでしょうか。
そして,髪の毛の栄養不足の原因としては,「食事の栄養バランスの崩れ」や「食事時刻のバラつき」,「睡眠リズムを崩すことも含む,睡眠不足」,「強度の肉体的ストレス(疲労)」,「精神的ストレス」,「喫煙」などが挙げられると思います。
男性ホルモンの関与は,プロペシアという薬品によって証明されたと言って良いと思います。
と言うのも,プロペシアは,前立腺肥大症の治療薬として開発されていた経緯があり,この治療として,男性ホルモンを抑えることが有効なのだそうです。
皮脂と男性ホルモンが混ざることで「髪の毛の生育を強く阻害する物質」が出来ることがわかってきていますので,男性ホルモンが直接脱毛に繋がるのではないのですが,関与していることは確かなことのようです。
と言うことで,プロペシアが有効だとされている「おでこが広がっていくタイプ」の脱毛症の場合,男性ホルモンが関与していると言えるのではないでしょうか。
お礼
^<>^/ すごいですね!プロの回答は・・・でも不思議なものなんですね髪の毛は。雑学としても大変興味深い回答でした。本当に有難うございました。