その手のお悩みは、たいていの場合、発声がきちんとできていないためです。
歌を歌うと、表現を変えてみたり、思いを込めたりと、いろいろ工夫すると思いますが、その前に、発声というものが歌では大事な前提になっています。
よく「肺活量を鍛えないと…」というコメントを聞きますが、別にスポーツ選手のような肺活量がないと歌えないことはありません。
カラオケ程度であれば、肺活量という点についてのトレーニングは特別考えなくてもよいでしょう。
「ボーカルは、いろいろな意味で、管楽器と同じです」。
ボーカルに取り組む方にすぐに役立ちそうなことを簡潔に書きます。
1.たくさん息を吸って、たくさん吐く。
練習するときはとにかく、息の量をたくさんにして、大きな声で練習してください。
単に大きな声で歌うことに慣れていないというだけでも、声は出ません。
1曲の中には、小さな声で歌う箇所もよく出てくるかと思いますが、ある意味では、小さな声で歌うほうがかえって難しい意味もあります。
2.ブレス(息継ぎ)をしっかりする。
息の量をたくさんにしたくても、息が続かないとできませんので、ブレスが案外、とても重要です。
一般的な曲では、2~4小節くらいに1回の頻度でブレスを入れます。
2小節がどれくらいの早さか、好きな曲を聞いて確認してください。
結構、しょっちゅう息継ぎしなければならないんだな、と思うかもしれません。
2小節でブレスしたくても、歌が後ろにどんどん続いていて、吸っている暇がないというときは、一瞬の早業で、「ハッ」と息を吸います。
振動のように、一瞬でお腹がふくらむ形です。
この作業がうまくできるように、練習してください。
また、ロングトーンが安定的にできるように、練習してください。
3.腹から声を出す。
いわゆる腹式呼吸と呼ばれているやつです。
次の4.と5.をうまくできるようにするための前提となるので、やはり大事なことです。
4.声帯をしっかり振動させる。しかしのどに力は入れない。
息の量が十分であることが前提で、しっかり震えているということを意識しながら歌いましょう。
震えているけれども、のどそのものに力を入れてはいけません。
簡単にのどが壊れます。
5.体の胸から上を全て共鳴に使う。
横隔膜から、気道、のど、口の中、鼻の中を、管楽器のような気柱を意識して、しっかり共鳴させる。
(このため、声の音色は体の造りにも依存するので、個人差が出ます)
口はしっかり開いて歌います。
よく、のどを開いて歌えとか言いますね。
頭のてっぺんから声を出すつもりで、とも言いますね。
鼻の中も大事です。
よく共鳴していると、息の量が同じでも、通る音に聞こえ、音圧も上がっています。
聞いた感じが大きく変わるはずです。
6.十分に休憩を取りながら練習する。
30分ほど練習したら、同じくらいの時間、休憩を挟みましょう。
長時間ぶっ通しの練習は、のどに良くありません(ポリープなどの病気の原因にも)。
7.練習をしてから本番に臨む。
継続的に歌っている人のほうが、やはり歌えます。
練習すると、のどの状態が良くなります。
この状態は、一日の中でも大きく変化します。
練習しないと、声も落ちます。
人前で歌う本番のようなものがあって、例えば夕方ごろに歌うのなら、その日の朝に小一時間くらい歌っておくだけでも、声の出方が全然違っていると思います。
8.マイクを使う場合は、マイクに音をきちんと入れる。
マイクは少し角度を変えたりするだけでも音を拾う能力が大きく変わるので、注意しましょう。
5.で述べた気柱が、空中でマイクまでつながっていると考えてください。
つまり、マイクまで共鳴させることを意味します。
9.遠くに音を飛ばすことを意識する。
山で「ヤッホー」と呼びかけるつもりで。
つまらないことのようですが、聴衆がいる場合、案外大事なことです。
ファルセットとか、地声とか裏声とかミドルボイス、ヘッドボイスというふうに、いろんな用語が飛び交っているのですが、あまりはっきりとした定義が定まっていないままに使われている部分があります。
(学問的にはファルセットは声帯の特定の使い方での声のことではあるのですが)
ま、高音を出したいというふうに理解します。
ですが、高音でも低音でもある意味では同じで、上で述べたように、しっかり息を吐いて音を出すということです。
息が漏れるような、かすれた音では、大きな声は出ません。
もう一つだけアドバイス。
自分では声が出ていないと思っていても、聞いてる人にとっては、そうでもないこともあるかもしれません。
バンド仲間などから客観的なコメントをもらいましょう。
お礼
なるほど、、、 とてもわかりやすい説明ありがとうございました!m(._.)m