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なぜスーツは交互に着ると長持ちするのか
スーツは2着を交互に着ると長持ちすると言いますが、それはなぜなのでしょうか。 革靴ならば、汗が一晩では乾き切らないからという理由があるようですが、 スーツ(特に夏場の薄手タイプ)であれば一晩あれば乾ききるのではないでしょうか。 また、生物ではないので置いておくだけでダメージが回復するとも考えにくいです。 となると、 交互に着ることで使用期間が長くなることを長持ちしていると勘違いしているだけなのか、 気づかないだけで実はスーツも一晩では乾ききっていないのか、 革靴とは別の理由があるのか……? ご存知の方、よろしくおねがいいたします。
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多くのスーツに使われているのはウール、つまり羊の毛ですが、あのような状態 になってもまだウールは”生きている”のです。 【1】羊毛には可とう性と可塑性という相反する性質があり、それは熱と水分を加える ことにより生地が変化し、曲線、そして曲面となり、立体となっていくのです。 そしてまた新たに熱や水分を加えない限り、その形を保つ性質があるのです。 【2】日本は気候的に、世界の先進国の中で最もウールによるスーツ作りが難しい国 でもあるのです。なぜかと言うと、夏場と冬場の温度差並びに湿度差が全く異なり、 例えば冬場の厳しい寒さの中、しかも空気が乾燥した時期に着用されるスーツは ちょうど今の高温、高湿度の時期に縫われているのです。逆に夏場の時期用のスーツ は冬場の乾燥した時期に縫われています。(これは既製服の話ですが。)ウールは 水分を含み、高温になると生地がどんどん伸びていく性質があるのです。 【3】さらにウールには自然のエアコン効果があり、夏場の蒸し暑い時期には繊維が 広がり、空気の通りを良くすると共に、身体の熱を外へ逃がそうとする性質があり ます。水分も繊維量が同じ程度ならばウールの方が綿よりも倍くらいの水分を含む 事が出来、しかも含んだ水分を繊維のウロコ状の部分が開き、そこから水分を蒸発 させる際に体温も同時に奪っていくので、涼しく感じるのです。冬場は逆に外気が 冷えると繊維が縮まり、体温を逃がさないようになるのです。 【4】日本の夏場の気温と湿度で一日スーツを着ていると、完全に服にこもった熱が 冷め、水分が乾き切るのに”72時間必要”とされてます。つまり、月曜日に着用した スーツは、早くても次に着るのは金曜日だということです。水分が抜け切らずに高温 の中で着用すると、つまり高温の湿った状態の中で生地が擦れると、ウールの傷み がとても早まるのです。 【5】話を戻しますが、72時間休ませている間に、可とう性、可塑性の性質を生かし、 元の形に戻ろうともするのです。 同じスーツを毎日続けて着ることは、以上の理由からスーツの寿命を縮める行為と なります。現代のスーツの生地は昔の生地に比べて軽く薄く、耐久力の点では劣る のです。よって理想的には毎日仕事でスーツを着られるのであれば、二週間分の ローテーションに必要な10着持つという事が目安となります。もしくは、5着のスーツに それぞれスペアパンツをお求めになれば、10着のスーツを持つのととほぼ同様の 効果が得れることになります。 革靴も同じことで、一日で片方の靴がコップ一杯分の水分を含まされています。 靴も日本の蒸し暑い気候であれば、一日履いたならば3日間は休ませたいところ です。靴についても最低3,4足所有してローテーションすることも必要なことです。
お礼
スーツが乾ききるまで72時間も必要とは驚きです。 2着に変えただけでも一晩置くだけよりはかなりの差がありそうです。 複数着を用意することを真剣に検討したいと思います。 とても丁寧なご説明、ありがとうございました。