マナーとは「法で規定されない善悪の感覚」であり、国 (社会) によって人々の習慣が異なるようにマナーの感覚も様々だろうと思います。
例えば (私はニューヨーク郊外に 10 年余、フィラデルフィアに 1 年、住んでいたのですが)「扉を開けたら閉める前に後ろを確認し、後から人が来るようであれば扉を開けたまま支えておく」という行為は私が生活していた地域では極普通の行為であってマナーとすら感じたことはなかったのですが、日本からアメリカに行った最初のうちは「良いマナーだな」と感心したものです。
また (これは男性でないと解らないかも知れませんが) トイレで「朝顔 (小用便器) の後ろに並ばずに朝顔が見える洗面所の位置から並ぶ」という習慣にも感心したもので、私は日本に帰ってもアメリカ式の並び方を実践しています・・・そのため、他人に横をすり抜けられて脂汗を流すことも多いのですが(笑)・・・。
きちんと並んで順番を待つという行為は日本ではバスや電車の乗降口などで当たり前の光景なのですが、確かにアメリカではバスや電車の乗降口でそのような光景をみたことはあまりありません。
タバコのポイ捨てに関しては日本よりも劣悪でしょう・・・歩道も車道も広い上に都市部は毎晩道路清掃車が巡回している国なので目立ちませんが、そもそもタバコのポイ捨てに罪悪感を感じる社会ではありませんので(笑)・・・。
犬の糞に関してはアメリカではマナーの問題ではなく法の問題になります。
日本の「禁煙区域での喫煙は 2 千円の罰金」と同様に「犬糞の不始末は $300 の罰金」というように法で規制される上に法外な(笑) 罰金を課している公園では誰も犬糞を見過ごしはしませんが、住宅地ではさせ放題でしたね。
夜中の騒音は当たり前でした・・・特にヒスパニック系住民の多い区域では週末の晩は朝まで乱痴気騒ぎしているところがありましたし・・・「喧しいっ!」と銃を持って飛び出してくる隣人が出てくるまでは無法状態です(笑)。
また 11 年余りアメリカで暮らして会話を交わした千人を超えるアメリカ人の中で「爆弾を仕掛けられた」などの通報によって飛び出したレストランに後で料金を支払いに戻るなどということをする人がどれほどいるだろうかと考えると、多分 1 人もいないだろうなと思います。・・・「日本人は震災時に飛び出したレストランに支払いを済ませに返っている」という話はアメリカ人にとっては確かにニュースになるでしょう。
日本人と外国人の感覚 (習慣) の違いは案外身近なところでも観察できるものですよ。
例えば、東京駅の地下総武快速線上りエスカレーター (これはものすごく長いエスカレーターです) を下から観察していると、成田空港から来た外国人がふと後ろを振り返ってあまりの恐ろしさに顔を青冷めさせている光景をよくみかけるものです。
東京近郊では「エスカレーターは黄色い線の内側に乗って、子供は手を引いて真ん中に乗せるように」とわざわざ絵図と音声で案内しているにもかかわらず「左側に止まって乗り、右側は追い抜く人のために空けておく」習慣ができあがっているのですが、外国人にはそんな習慣があることなど判りませんのでふと後ろを振り返って「この野郎、邪魔だっ!どけっ!・・・と言いたいけれど外人さんじゃなあ」とうらめしそうに睨み付ける日本人の顔顔顔・・・を見て怯えてしまうんですよね(笑)。
「何で皆怖い顔をして私達を睨み付けているのだろう?」という疑問に対する回答をエスカレーター終点までに得られた外国人は慌てて端に寄るのですが、正しい回答に辿り着けなかった外国人は「ニッポン怪奇百景」の 1 つ目として「縦に並んだ数十人の日本人に睨み付けられる」というトラウマを深く刻みつけられることになります(笑)。
まあ総じて「日本人がマナーと考える事柄について言えば日本人はアメリカ人よりもマナーが良い」と言え「アメリカ人がマナーと考える事柄についても日本人のほうがマナーが良いと言えるものが多い」ことも否めないのですが、「In Rome, Be Roman (郷に入ったら郷に従え。所変われば品変わる)」で日本人も現地の慣習を知らぬが故に「旅の恥はかき捨て」にしてしまうことが多いものですから、国外における日本人のマナーまで「良い」と言い切れるものではないでしょう。(金払いが良いので歓迎されますが、マナーが良いので歓迎されているわけではないと思います)
お礼
DQNが増えたよね