過去の本を電子化することには、出版社と読者にメリットがあります。
先ず出版社ですが、本のデジタル化やサイト管理などに経費がかかりますが、
「印刷をしない」ということに最大のメリットがあります。
紙の本を出版する際には、「本1冊あたりいくら」という具合にコストがかかり、
販売予測に基づいた部数の印刷をしますが、これには元手(資金)が必要になります。
部数が大きいと元手もたくさん必要になりますし、店に並べて読者が買ってくれないと
本当の利益が出ません。しかも販売予測に到達するまで時間がかかると、元手に利息が
かかり弱小出版社の場合は経営が苦しくなります。また、返品があると、その置き場所
にまでコストがかかります。
電子書籍の場合は、販売予測が何冊であってもデジタル化のコストは同じになります。
販売予測が大きく外れても、リスクはデジタル化コストだけになります。紙の本を印刷
するための元手の確保よりも負担は少ないのでしょう。
次に読者ですが、過去に出版された本を探すのではとても大変です。絶版であれば古本屋
に行かなければなりませんが、古本屋にあるとは限りません。「神田神保町に行けば?」
と思うかもしれませんが、地方に居る方にはあるかどうかも分からないのに東京まで出てくる
のは大変です。
また、新書から時間がたっていると、長い期間店頭には並びませんし、長く置いてくれるのは
都会にある大きな本屋だけで、これまた地方の方には入手困難になります。そうなるとアマゾン
などのネット販売に頼ることになりますが、これまた必ずあるとは限りません。
そういう意味で、入手機会を逸してしまった方や地方に居る方には、電子書籍というのはたいへん
メリットがあります。これは、出版社や著者のメリットにもなります。
印税率にバラツキがあるのは、出版社の大きさや実力、その本の販売予測によって変わって
くるのかもしれません。
焦っているのは、サイト運営に際して、それなりのコンテンツ量を用意しないと、サイトを
立ち上げても見てもらえません。数を揃えるためにも契約を増やしたいのでしょう。
お礼
tokinokotoさん とても丁寧な回答ありがとうございました。 メリットがそんなにたくさんあるのですね。 かなりコストダウンできる分、 著者の印税率が全体に上がるのが自然じゃないかな、 という疑問は残りますが・・・ 時間が解決するのでしょうか。