しばらくすると、臭いがしなくなるという事ですし、その臭いはカビ臭と思われます。
車のエアコンも、構造的には家庭にあるエアコンと同じですので、あなたのご自宅にあるエアコンのフィルターを取ってみて下さい。中にフィルターとほぼ同面積の、アルミニウムの薄い板が幾重にも折り重なって出来ている、『エバポレーター』という部品が見えると思います。
エアコンは、このエバポレーターを冷やしたり熱くしたりして、冷風・温風を出す仕組みになっています。
では、なぜカビ臭が発生するかというと、このエバポレーターが冷たくなると、夏にコップに冷たい氷水を入れてしばらくすると、コップ外面に水滴が付着するのと同じ現象が起き、エバポレーターの幾重にも折り重なったアルミニウムの板の間に、水滴が大量に付着します。
(余談ですが、この水滴は、ドレンホースから車外へ落とされます。冷房している時、ポタポタ水が落ちるのは、この水です。)
そして、そのままの状態でエアコンをOFFすると、車内の温度も上昇し、湿気の多い風呂場の様に、エバポレーターにカビが発生してしまいます。
このカビが発生した状態で再びエアコンをONすると、エバポレーターに付着しているカビの胞子が、風と共に放出されるのです。
しばらくすると臭いがしなくなるのは、エバポレーターに付着したカビの胞子が、初めは大量に放出し徐々に減少する事と、エアコンを入れてしばらくすると、エバポレーターに水滴が溜まり、カビが生えている部分を覆ってしまう事で、臭いがしなくなったと考えられます。
さて、この臭いを防ぐには、『カビを発生させない事』です。
もし、あなたがこの先新車を購入されたら、少し面倒かも知れませんが、夏場エアコンを入れたら車を止める20分位前に、エアコンをOFFし風のみ強風で出し、エバポレータに付着した水滴を蒸発させ、乾燥した状態にするのが良いと思います。
短時間で済ませたい時は、温度調節ダイヤルをMAX HOT(エアコンはONのまま暖房する)にし、5分程で一気に乾かすという方法もあります。
とにかく、乾燥した状態ではカビは発生しないのです。(これは家庭用エアコンでも同じです。)
では、あなたの車の様にすでにカビが生えてしまった場合は、店でエバポレーター内部のカビを洗浄除去してから、前記の乾燥作業を毎回行うしかないと思います。
でも、それはかなり面倒ですし、暑くて大変でしょうから、現実的な方法としては、エンジンをかけたら冷房をいれ、カビ臭さが無くなるまでは窓を開け、カビの胞子を車外へ放出するのがいいと思います。
余談ですが、フィルターがカビている場合を除き、このカビ臭にエアコンフィルターの交換は、全く効果が無いです。
理由は、もうお分かりかと思いますが、カビはフィルターに付着しているのではく、空気がフイルターを通過した後に通る、エバポレーターに付着しているからなのです。