菅直人氏はともかく、他については、明治維新からの藩閥政治の名残、というのが大きいです(戦後の岸信介氏は、戦前からの実力者ですし、佐藤栄作氏は、岸信介氏の弟、安倍晋三氏は岸信介氏の孫で、安倍家もまた、戦前から続く政治家一家)
それと、もう一つあるのが、「田舎である」という点です。
これは山口県に限ったことではなく、戦後、特に1960年以降、日本が高度成長時代に入って以降の総理が、田舎の選挙区出身ということからも言えます。
東京都や大阪府選出の総理大臣はいません。海部俊樹氏が愛知県、麻生太郎氏が福岡県選出ではありますが、どちらも県内では郡部に位置する選挙区です。神奈川県三浦市、横須賀市を選挙区とする小泉純一郎氏が、最も都市化された選挙区からの総理かも知れません。
総理大臣になるために必要な要素は、まず、国会議員であること。
そして、国会議員相互の選挙で選ばれる存在なので、国会議員の中でも影響力を持った人間であること。が条件になります。
影響力を持つためにはまず、当選回数を重ねることが必要であり、その他に、金銭的に、人的なネットワークが重要になります。
田舎選出議員の方が、それを作りやすいのです。
というのは、田舎の特徴は、人口の流動が少ないことと、選挙区が広い、というのがあるためです。
多くの田舎では、高齢化が進んでいます。また、農業や漁業など、その土地と結びついた職業の割合が高くなります。こういう人々というのは、その土地にずっといる存在なので、一度、支持者にしてしまえば、次の選挙でも、その次の選挙でも固定票となります。人口が絶えず流動する都市部では、そうはいきません。
それから、選挙区の面積が広い、というのはそれだけ、長い時間をかけなければ選挙区を回れない、ということになります。都市部であれば、選挙区内の主立った土地を1日で回るのもできますが、地方ではそうはいきません。島嶼部などのある場所では、週に1本しか船がない、なんて場合だってあります。そうなると、土地に根付いた、知名度の高い人というのは有利になります。
そして、そういう風に地方で足場が強くなれば、今度は他の選挙区の候補者を応援する、などという形で他の議員への影響力を持つことが出来ます。
また、落選する率が低いわけですから、企業などからの献金というのも集めやすくなります。
そうなると、ますます、影響力が高まるわけです。
つまり、田舎に藩閥政治の名残を残す安倍家、岸家といった名門家があるため、影響力の強い政治家が出やすいのが山口県、と言えるのだと思います。