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温水洗浄便座の清潔度

 「トイレを使うとき、温水洗浄便座なしの生活は考えられません。一方、特に職場や公共施設では衛生面に一抹の不安が残ります。温水洗浄便座はどれほど清潔なのでしょうか?」=東京都調布市の男性会社員(45)

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  • SANKEI1
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■断トツの普及率  温水洗浄便座はもともと米国生まれの介護用品だが、普及率は現在、日本が断トツだ。内閣府の消費動向調査によると、世帯普及率は平成3年度の14%から昨年度は69%と約5倍。いまや21世紀の”神器”ともいえる生活必需品だ。  日本トイレ研究所の上幸雄副代表は「日本では歴史的に排泄(はいせつ)後に臀部(でんぶ)を水で洗う文化はなかったものの、温水洗浄便座が持つ清潔なイメージが現代日本人特有の清潔志向と合致し、普及率、技術とも突出した」と説明。一方、欧米では「ビデがあり、そもそも欧米人は日本人に比べ、大便が硬く排泄回数も少ないため普及していない」という。  普及の背景に日本人の衛生観念があるのは間違いないが、リサーチ会社「アイシェア」のネットアンケートによると、温水洗浄便座を「利用しない」と答えた人も17・3%存在する。「衛生面」を理由に挙げた人は28・6%で、利用しない理由の2位になった(1位は「そもそも不用」)。  そんな衛生面で気になる調査結果が、東海大の松木秀明教授や片野秀樹研究員(公衆衛生学)らで作るグループの研究で判明した。  この研究は本来、介護現場を対象に、洗浄水の飛沫(ひまつ)で飛散する汚物が、臀部をどれだけ汚染するかを調べるのが目的だった。その一環として、ノズルから噴出する洗浄水そのものの水質調査も実施したところ、厚生労働省の水道水質基準を超える一般細菌が検出された。  グループによると、神奈川県の一般住宅80カ所と公共施設28カ所の計108カ所の温水洗浄便座から洗浄水を採取。その結果、一般住宅では水道水質基準の平均で約31倍、公共施設では約11倍の一般細菌を検出した。これは一般的な公営プールの水質基準の5~15倍の量だ。さらに一般住宅の4カ所で大腸菌が、1カ所で感染症の原因となる緑膿菌が見つかった。  しかし、従来、洗浄水の貯水タンクは密閉されているため、細菌は繁殖しないとされてきたはずでは-。  片野研究員は「ノズルの先端やすき間から細菌が侵入し、タンク内の温水で増殖したのではないか。タンク内は塩素が揮発され、菌に適した環境下にあったと思う」と推測する。  ■改善促す契機に  気になる健康への影響だが、松木教授は「そもそも便や腸内には無数の菌が存在し、一般の人々に影響はない。ただ、高齢者や痔(じ)など臀部に持病がある人にはある程度の注意が必要だが、過敏に反応することはない」と話す。  この調査に、上副代表は「温水洗浄便座の開発初期も、『衛生上問題があるのではないか』との指摘があり、ノズルを流水で洗浄する技術が開発された。菌が検出されても騒ぐ必要はないが、メーカーには改善を促す契機になる」と話す。  一方、メーカーなどで作る温水洗浄便座協議会は、「これまで約4000万台が生産されているが、感染症などの健康被害は一件も報告されていない」と安全性を強調。「タンクに水が逆流することは構造上ありえず、タンク内で菌が繁殖する可能性は低い。研究ではノズルにもともと付着していた汚物から菌が検出されたのではないか」と疑問を呈した。  温水洗浄便座の代名詞といえる「ウォシュレット」を生産するTOTOも「開発段階のテストで大腸菌などが検出されたケースはない」と強調。一方で「温水洗浄便座には、水道水をタンクにためて温めて使う貯湯式と、使用時だけ温めて使う瞬間式がある。近年はタンクのない瞬間式が主流。貯湯式の場合、長期間使用しない際には水抜きするなどの対策を奨励している」と語った。  ことさら衛生面で不安を抱く必要はないが、少なくとも清潔好きの日本人には、温水ではなく冷水を浴びせた結果といえそうだ。(宮原啓彰)     ◇  ◇  産経新聞はマイクロソフトのポータルサイト「MSN」内に設けられた『相談箱』と連携し、「社会部オンデマンド」を始めました。日常生活や日ごろ触れるニュースの中で感じた疑問点などをお寄せください。取材のプロである社会部記者が徹底調査し、報告します。窓口は、MSN相談箱(http://questionbox.jp.msn.com/)内に設けられた「産経新聞『社会部オンデマンド』」▽社会部Eメール news@sankei-net.co.jp▽社会部FAX 03・3275・8750。

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