芸能人とか有名人じゃないんだけど、自分の本の宣伝に行ったら、中学生ごときにしてやられちまった。
あのガキ、書くなって言ったことまで書きやがって!ちきしょ~っ!覚えてろよ~!!
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みなさん、こんにちは~!京陵中・新聞部の春野雨音(はるの・あまね)で~す!
あまねの突撃インタビュー第13回目は、koweeの愛称でおなじみの宇八紘一(うは・こういち)さんで~す!
今回は、先日ベストセラーにもなった宇八さんの本のお話を中心にインタビューしてみましたぁ~!
記者「はじめまして、春野雨音です。今日は宇八さんがお書きになった『リバース・グロウンアップ』という本についてお話を聞きたいと思ってます。」
宇八「どうもはじめまして、宇八紘一です。本名です。なんてね。今日は何でも聞いて下さい(笑)。」
記者「あのー、この本の表紙に『21世紀の経済成長原理~逆転の発想であなたも大金持ちに!~』って書いてあるんですけど、もう少し詳しく教えていただけないでしょうか?」
宇八「あ~これはね、今すごく不景気でしょう?でー、みんな景気を良くしてほしいんだね。それで、景気を良くするためには発想の転換が必要でね、これまでのような利便性を追求するようなやり方の正反対のことをやる必要があるわけ。つまり恐怖とか不幸とか不便とか、そういうネガティブなものをもっと積極的に人々の消費行動の動機付けにしていこうということなんだね。例えば、治安を悪くして防犯業界を活性化するとか、病気やケガを増やして医療業界を潤すとか、一度で済むことを故意に複数の階層に分けて新業種の創出を行うとか、そういうことを促進して景気を良くしようというわけなんです。」
記者「えっ?でもそれじゃあ景気が良くなっても、あんまりうれしくないことが起きるんですよね?」
宇八「あ~いやそれはね、幸福というのは不幸があって初めて、そのありがたみがわかるもんなんだよね。幸福ボケは人間をダメにするんだ。不幸ときちんと向き合うってことが大事なんだ。資本主義経済システムというのは非常によくできていて、その辺の所が実に巧妙に組み込まれているんだね。でも、ジョージ・ソロスの本なんか信じちゃいけないよ。あれは空理空論だからね。ところで、景気には波があるって知ってるかな?キチン波、ジュグラー波、クズネッツ波、コンドラチェフ波、とか聞いたことない?君はまだ中学生だからわからないかもしれないけど、大人たちは君たち子供よりはずーっと頭が良くて、難しくて複雑なことをちゃんと計算した上で社会制度を構築してるんだ。うれしくないことだって、そりゃあ誰にだってあるさ。ここは天国じゃないんだからね。」
―チャッチャッラ・チャチャッチャッ♪チャッチャッラ・チャチャッチャッ♪
(※記者注:ここで宇八さんの携帯電話が鳴りました。)
宇八「あ、ちょっとごめん。はいもしもし~?あー何ーどしたのー?え?この前借りたビデオ?『絶倫重役』?あーごめん、今ちょっと取込み中だから~。また後でかけ直すわー。はーい、じゃねーい。」
記者「あのー、今のケータイの着メロは、何ていう曲なんでしょうか?」
宇八「あー、これはね、ビブラストーンの『ディープなオヤジ』っていう曲なんだけど、これは私のテーマソングだからね。確か『ナショナル』ってアルバムに入ってたかな?」
記者「はぁ…。ちょっとわからないので、後で調べてみようと思います。」
(※記者注:"NATIONAL" / VIBRASTONE 1994年、ポニーキャニオンより発表。)
宇八「で、さっきの話の続きだけど、まぁ、あれだね。人間ってのは苦痛を避けたがるもんなんだけど、痛みというのは生きてる証だからね。とにかく、私が考えたリバース・グロウンアップの原理を今すぐに政策に反映させれば、日本の景気は劇的に良くなる!おそらく来年か、その翌年までには綺麗にV字回復するね。私は今、現内閣の経済財政担当ブレーンの一員だから、次の選挙も自民・公明・保守に投票すれば絶対に景気は良くなるよ。お家に帰ったらお父さんお母さんにそう言っといてよ!あ!そういえばこの前、アメリカのブッシュ大統領と彼の友人たちに会って少しお話する機会があったんだけど、彼らの考え方は非常に明晰で、ああこの人たちは正しいんだなって確信したね。彼らの信条は、まぁ、一言で言うと『アメとムチ』なんだけど、わかりにくく言うと『サン・ロレンゾ島方式』だね。」
記者「いや、わかりにくく言われても困るんですけど。」
宇八「プハハハ!そう言うと思ったよ(笑)!人の心なんて簡単に操れるんだ。『心』ってのは、実は単純な機械なんだよ。君は“わかりやすく言うと『アメとムチ』だ”ということを既に知っていたにも関わらず、私が“わかりにくく言うと”なんてちょっとネガティブな言い方をしただけで、無意識のうちに不快感を感じてすぐさま反発し、私に非難の言葉を浴びせかけるんだ。面白いだろう?こういったことは、リバース・グロウンアップの原理にもしっかりと応用されているんだ。人々の行動をどうやって動機付けるか、人々をどうやって操るのか、ということだね。それにしても、アメリカ合衆国政府は本当に素晴らしいよ!私は、日本政府も早急にこの『アメとムチ』スタイルの政治を実践すべきだと思うね。政府の方針に従わない者は、犯罪者およびテロリストということにして、さっさとブタ箱にブチ込んで強制労働させれば、中国にも負けないくらいの競争力を持った安価な労働力を確保できるわけで、景気回復の一助にもなるんだよ。北朝鮮の件もね、近々日米韓で軍事介入する予定だから。まぁ、その時ちょっとは犠牲者も出るだろうけど、人間いつかは必ず死ぬんだしね。単に早いか遅いかの違いでしょ?運が悪けりゃ死ぬだけさってことだね。華は散るからこそ美しいみたいなね。そういえば、最近よく反戦運動とかやってるけど、社会制度を変えない限り戦争なんてなくなりっこないのに、庶民ってのはアホだから、デモ行進するくらいのことしか思いつかないんだよね~(笑)!」
記者「えっ?あのー、宇八さんは戦争に賛成なんですか?」
宇八「いや、賛成とか反対とかじゃなくてね、やむを得ず必要な場合もあるっていうことなんだ。大人になるとわかるんだけどね。反戦運動なんて、一時的な感情に突き動かされてやってるだけで、彼らには物事を総体的に見ることなんてできないんだよ。それに、彼らの中には真性のアホがたくさんいるからね。この前見た反戦野郎なんて、何て言ってたと思う?“ブッシュとフセインは、どうしても決闘して決着を着けたいっていうんだったら『一本糞対決』でもして、平和的解決を目指すべきだ!NO WAR!!”って言うんだよ。『一本糞対決』って何だろうと思って聞いてみたら、“だから、お互いに一本糞を出し合ってその長さを競い合って決めるって、ちょっと考えりゃわかりそうなもんじゃねーかよ!STOP THE WAR!!”だって。…こんな奴は即刻死ぬべきだと思ったね。あんなアホ連中には、崇高なる政治の使命なんて、おそらく一生わからないよ。次の選挙は、絶対に自民・公明・保守で決まりだね!まぁ、現体制を維持するためには、投票したってどうせ何も変わらないみたいな無力感を与えて、いわゆる無党派層に投票そのものを棄権させるっていう手もあるんだけど、まぁ一応“自民・公明・保守に投票しよう!”って呼び掛けといたほうがいいんだよ。だって万が一、野党なんかが政権取ったりしたら日本は確実に破滅するからね(笑)。」
記者「はぁ…。今日は本当にどうもありがとうございました。ちょっと難しいお話でしたねー。」
宇八「あ~、ごめんね~。まぁ、とにかく本の宣伝よろしく頼みますよ~!じゃあ、私はこれで!」
記者「ありがとうございましたぁー!宇八さんは、今日はもうお家にお帰りになるんですか?」
宇八「あ~いや、あんまし大きな声じゃ言えないんだけど、これからちょっと行きつけのSMクラブに寄ろうかと思ってるんだ。あの妖しげな部屋の中で牝奴隷を縛り上げて調教してると、あ~やっと本当の自分になれた~って、しみじみとそう思うんだよね~。最近は医療プレイにもちょっと興味あるんだけど…、って中学生にする話じゃないよねえ!ごめんごめん(笑)。この話は内緒だからね!記事に書いちゃダメだよ~!」
記者「はぁ。あのー、そういうのって違法とかじゃないんでしょうか?」
宇八「いや、違法じゃないよ!まぁ、違法だったとしても法律なんてザルだからね。抜け道はいくらでもあるんだよ。それにさっきも言ったように、私には政治家や官僚の友人がたくさんいるからね。ちょっと頼めば圧力をかけて揉み消してくれるから大丈夫なんだよ。いやぁ~、しかし、あの絶対的な支配と服従の関係っていうのは、文明というものにおける最も根源的なものだと思うね。私は今の日本に必要なのは、まず規律!そして適正な暴力だと思うよ!まぁ大体、有能な者が無能な者を完全に支配したほうが、世の中ってのはうまく回るもんなんだよね~。ここら辺がまぁ、現実的で妥当なラインだろうって感じかな。あ~でも、このことは絶対に学校新聞には書いちゃダメだからね!いい?今、選挙前なんだから、一応アホな庶民に愛とか夢とか心とか優しさとか構造改革とか、何かこう耳触りのいいことを言って、うまいこと騙さないと票取れないんだから!じゃ!そーゆーことで!自民・公明・保守をよろしくね~!」
こうして、今回の宇八紘一さんへのインタビューは終わりました。
私はまだ中学生だから、政治とか経済とか難しいことはよくわからないけど、宇八さんの話は聞いてて何かちょっと変だなぁ~と思いました。大人になったらわかるのかもしれないです。
あと、最後のほうで宇八さんが“学校新聞には書いちゃダメだからね!”と言った所も、今回はちゃんと書くことにしました。なぜかって言うと、私は、新聞部員として、真実を伝えなくてはならないと思ったからです。
以上、あまねの突撃インタビューのコーナーでしたぁ~!! (了)
平成15年4月1日・エイプリルフール 不条理喫茶・流刑地にて
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しっ、しまった!こんな所に書いたら、よけい多くの人に見られちゃうじゃないか!?
うあああ~っ!もう、お終いだぁ~~っ!!(泣)
お礼
回答有難うございます 今日ゆっくり読ませていただきとても楽しくて 感激しております! これは満点決定!です また回答くださいねーー!