(長文で失礼します)
歯肉より下の部分は歯ブラシなどの清掃器具が入りにくいので汚れが溜まりやすくなります。しかしこれは歯でも人工物でも同じです。
歯は虫歯になりますが人工物は虫歯にはなりません。
だったら人工物の方が持つのではないか…このような考え方もあります。インプラントが良い例ですね。
しかし、人工物は歯肉との親和性が無く、常に剥がれた状態になりますが、天然の歯なら密着するので予防性が高くなる…このような考え方もあります。
継続歯などでは歯肉より一段高く根を残して強度的に高めると言う考えは昔から授業で教えている方法です。
ただ、どちらがより良いかという事になると明確な判断は仕切れません。いずれにしてもキチンと磨かなければダメになるのは同じ事だからです。
なので歯医者の方針に納得できるか、どうかで決めればいいだけです。
根を矯正的な方法や外科的に引き出して冠をかぶせる方法は昔から行なわれています。これは上の根拠のうち、後者の考えに基づくものです。
現在保険では適応症に入っていないので、手術は自費診療になります。
ただ、これにも二つの考え方があって、歯を引き出す病名と冠をかぶせる病名は別の病名なので、引き出す方だけが自費で、それ以降は保険でも可能だというものと、全部を自費で行うと言う考え方です。
同一病名では自費と保険を同時に行ってはいけないと言う法律はありますが、術後2ヶ月を超えて冠をかぶせるのなら、問題はないとも言えます。これまでこのような方法に対する国の解釈がないので、判断は分かれることでしょう。
(ただ、国の評価はあまりに低すぎる上に、制約が酷すぎて責任持って治療する事が困難になっているので、この条件で保険で冠を作る歯医者は現在では、ほとんどないと思います。)
費用に関しては独禁法により相場や統一料金を作ることは禁止されており、自費の負担金は医院ごとに決めなければなりません。従って、やってくれる医院と費用をあらかじめ問い合わせるしかありません。
ただ、根の長さは変らないので、引き出すと言う事はその分歯を支える根の深さが減るという事になります。
土に棒を立てた事を考えると分り易いですが、地面の下で支えている部分より上の部分が大き過ぎると倒れてしまいます。
なので、どの程度までなら大丈夫かと言う事は担当医の判断に委ねるしかありません。
また、糖尿は歯周炎のリスクを高める要因でもあるので、術後の経過にも心配がありますが、術後のメンテナンスおよび糖尿の改善には人一倍の努力が必要です。
しかし、ドクターストップがかかるほどの重症でなければ、手術そのもののリスクは担当医に任せて心配ないでしょう。一応内科の担当医にも意見を求めるべきだし、知識のある歯医者なら、そのように勧めるはずです。
後はメンテナンスをしっかり教えてくれ、やってくれる歯医者かどうかを考慮した上で判断しましょう。もちろん患者さん自信の努力も必要です。
ちなみに似たような方法に「歯内骨内インプラント」と言う方法があります。これは歯肉付近の歯を残して骨の中の部分をインプラントにする方法です。最近はインプラントの成功率が向上して症例も減っていますが、以前は盛んに行なわれていました。
治療方法は一つではありません。いろいろ説明を受けて、医学的な観点や経済的観点から判断されればいいと思います。