再びNo.2です。追加でご説明させてください。
ドレスシャツにポケットが無い理由については、上着に対し、
シャツがいわゆる”中着”でもあり、基本的には下着であったこと
によります。また、かつてはVestヴェスト着用が当然であったため、
懐中時計をはじめとしてヴェストのポケットを利用すればよかった
わけです。
ヴェストが初めて着用されなくなったのは、第一次世界大戦の際
英米において物資節約の一環としてです。結果として出てきたのが、
上下ツーピースのスーツなのです。それによってジーンズをはじめ、
労働者階級が着用するスラックス以外にはベルトループはなかった
ものなのですが、上流階級、ホワイトカラーの人達の洋装においても
ベルトループ付きのスラックスが出てきたという次第です。
特に当時は第一次大戦における”戦争特需”によって米国が経済的
に大きく発展、成長した時代でもあり、当時のアメリカ成金が
フロリダはじめ、キューバなど中南米の島々に別荘を構えはじめた
時代でもあり、暑さをしのぎ快適に過ごすために彼らはドレスコード
よりも個人的な快適さ、心地良さを優先し、それに英国人とは異なる
合理的な思考がヴェストを省略させ、代わりにシャツの胸にポケット
を付けさせたとも言えるかと思います。
もうひとつ、熱帯地方にて米英の軍隊がその機能上、必要性から
ミリタリーシャツに胸ポケット(多くの場合左右両方に)を付ける
ようになったという事実もあります。
こうした事実は残念ながら日本であまり語られることはありません。
知人のピアニストの方は、もしかして欧州に留学などはされておられ
なかったのかもしれませんね。
重ねて申し上げますが、無理にこのような話をされることもないか
と思います。その方のプライドを傷つけるだけでしょうし、芸術家と
しての独自性、創造性、プライドというものはとても大切なものだと
思いますので。
お礼
興味深いお話をありがとうございます。 服装にしても、音楽にしても、歴史があり、変遷には必ずその意味があるのですよね。 女性のドレスなどは、娘に用意する上で少しは調べたり、お店を回ったときに勉強させていただいていますが、 男性のフォーマルは夫の冠婚葬祭意外分かりませんから、 前々からステージを見るたびにどのような基準で選ぶのだろうと常々思っていました。 勉強になりました。ありがとうございました。