優先席というのはあくまで「思いやり」を促すためのものであって、「専用席」とは違います。思いやりをもって席を譲る、譲ってもらったら感謝の気持ちをもって座る、というだけのことです。障害者だからといって他の乗客(外見にはわからない内部障害者や妊娠初期の方、体調の優れない方もいるでしょう)を一喝してまで座ってよい、というものでもありません。
というわけで、優先席の本来の目的から考えると、思いやりの気持ちがみんなに浸透すれば、優先席は必要ないということになります。一方、いくら優先席を設けても思いやりの気持ちは向上しない、だから効果がないので必要ない、という見方もあるでしょう。この場合、「優先」席に効果がないので「専用」化すべき、という見方もあるでしょう。実際、1950年代には日本にも「老幼専用車」のある電車が走っていましたが、長くは続きませんでした。
専用車両を設ける場合、もし15両編成の15号車を専用車両にしたら、体の不自由な人や具合の悪い人はみんなそこまで頑張って行かないといけないのでしょうか。1~14号車の乗客は、みんな席を譲ってくれなくなるかもしれません。普段15号車を利用していた一般の乗客は15号車から追い出されるので、14号車がすごく込むかもしれません。はたまた、1両編成・2両編成の列車や路面電車だったらどうしますか。それに「電車の」優先席とはひとことも書いていませんね。バスの場合はどうしますか。
というように、見方はさまざまあります。いろいろな視点で考えることが大事だと思いますがいかがでしょうか。