何故、サッカーの強豪であるカメルーンやナイジェリアではなく、南アフリカなのか。 それはアフリカ大陸における経済支配体制に深く係わっています。
これまでアフリカ大陸においてFIFAが開催した世界大会は、1999年のナイジェリアに於ける世界ユースだけでした。 これにさらに、来年ナイジェリアで開かれるジュニアユースが加わります。
試しに開催した1999年の世界ユースでしたが、参加各国の評判は芳しいものではありませんでした。
現在のアフリカで基礎インフラが一番整備されているのは南アフリカ、続いてジンバブエです。 この両国には依然として、ヨーロッパ系の白人が数多く住み、経済の実験を握っています。 さらに彼らは、ヨーロッパと密接に繋がっているのです。
アフリカ各地にある企業やホテルの経営者に依然として白人が多く、彼らの多くは南アフリカに住んでいます。 ですから、南アフリカの住むヨーロッパ系の白人がアフリカ全体の経済の実権を握っているともいえるのです。
彼らは、中間管理職としてインド人を雇用しています。 白人の経営者が現地人従業員と直接話をすることは先ずありません。 現地人スタッフや労働者の雇用や人事管理は全てインド人の管理職が責任を持って行っています。 現地の政府との折衝も管理職が行っています。
南アフリカは気候的にもヨーロッパに近く、季節もはっきりしています。 彼ら白人の経営者はインド人の管理職スタッフを呼びつけるだけで、滅多に現地に赴くことはありません。
世界各国を招いて、ワールドカップ大会を無事に開催出来る国は、今のところ、アフリカではこの国しかないというのが現状です。
これまで夏季オリンピックは26回開催され、うちアジアで3回行われています。 しかし、アフリカでは未だ一度も開かれておりません。 その意味では、2010年の南アフリカ開催は画期的な英断と言えるでしょう。 しかし、政情不安等不安定要因が依然として残っており、万一の時には日本が代替開催地となる可能性があります。