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【円からユーロへ/ドイツへのお金の持っていき方】
2009年4月または5月に、 ワーキングホリデーでドイツへの渡航を考えています。 ここ最近のユーロに対する円高を受け、 すぐにでもユーロに両替(約100万円)をしようと考えています。 「円高」という流れを最大限に生かし、尚且つドイツ滞在での利便性を考えた場合、 どのような手段が考えられるでしょうか。 皆様のお力を貸して頂けたら幸いです。 どうぞ宜しくお願いいたします。
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ご質問の条件ですと、ユーロ建てトラベラーズチェック(以下TC)を買っておくことが最善解と考えます。その変形としてシティバンク銀行でユーロ建て外貨預金を行い、出発前にTCで引出す方法もあります。 外国為替証拠金取引(FX)で為替差益を得て埋め合わせる方法もありますが、初心者向けではありませんし、最終目的が差益でなくユーロのまま使うことなら最初からTCを買った方が有利です。またTCでなくユーロ現金を買う選択もありますが、言うまでもなく盗難や紛失に対して無力ですので100万円もの資金となると不向きです。 単に(短期旅行の)両替法ということであれば、クレジットカードのキャッシングやデビットカードを用いて現地の現金自動預払機(以下ATM)で引出す方法も有利なのですが、日本円への換算レートは引き出し時点で決まり現在のユーロ高をは活かせないので、検討対象から外れます。 私自身、2年に1回ほど短期旅行ですがドイツに出かけており、シティバンク銀行のTCも活用しております。その経験を踏まえながら回答申し上げますが、その前に為替用語の説明におつき合い下さい。 ・銀行間レート 外国為替市場において文字通り金融機関間の取引に使われるレートで、新聞やテレビが「今日の東京外国為替市場、終値は1ユーロ=134円80銭でした」と報じているレートは特に断わりのない限りこの「銀行間レート」です。一般の顧客はこのレートでの取引きはできず、必ずいくらかの手数料を上乗せして支払います。 ・公示仲値 銀行間レートは常に変動しているため、両替や送金の基準レートとして使うと処理が煩雑になります。そこで各金融機関は銀行間レートを参照しながら「公示仲値」というレートを定め、その日の取引の基準レートとして用います(*1)。 公示仲値と銀行間レートは厳密には一致しませんが、為替取引の有利不利を考える上では同一視して差し支えありません。また公示仲値は各金融機関が独立に定めるため金融機関間で若干ばらつきがありますが、その差は1ユーロあたりせいぜい5銭か10銭です。 ・対顧客電信売レート(TTS) 外貨現金のやり取りを伴わずに外貨を買う取引きで適用されるレートです。具体的には外貨建てTCの購入、外貨預金、外貨建て国際送金などが該当します。TTSは決まった幅の手数料(為替手数料)を公示仲値に上乗せすることで機械的に計算されます。ユーロでは大半の金融機関が1ユーロ当たり1円50銭上乗せに設定しています。シティバンク銀行は1円、三井住友銀行は1円40銭です。 ・外貨現金売りレート 外貨現金の取扱いでは発行国からの輸送コスト、運用に回せないことによる死蔵コスト、為替変動によるリスクが必然的に発生します。そこで外貨現金のやり取りを伴う取引きには「外貨現金取扱手数料」を課すことでコスト/リスク対策をしています。実際の両替ではTTSに外貨現金取扱手数料を加算したレートが「現金売りレート」として発表されます。 1. 一般の銀行でユーロ建てTCを買う ユーロ建てTCの発行レートは大半の銀行が公示仲値+1円50銭です。これに発行手数料が1%加算されます。公示仲値を136円00銭とすると7,000ユーロ分のTCを購入するのに必要な資金は (136.00+1.50)×1.01×7,000=972,125円 と計算できます。 また通信販売業者のセシールがTCを通信販売しており[1]、発行手数料が0.7%と割安です。送料も無料です。レートは三菱東京UFJ銀行のそれを採用しています。決まった券種の詰め合わせ(パック販売)に限られますが、ワーキングホリデーならある程度額面の大きい券種(200ユーロTCあたり)の方がサインの回数が少なく便利でしょう。セシールで7,000ユーロ分のTCを購入した際の費用は (136.00+1.50)×1.007×7,000=969,238円 なので少しだけ安上がりです。 2. シティバンク銀行で外貨預金し、後でTCで引出す 昨今多くの銀行が外貨預金を盛んに宣伝していますが、その大半は外貨での出金ができない商品(=後で日本円に戻して差益を得る目的の商品)です。そんな中シティバンク銀行の外貨預金は、米ドル/ユーロ/英ポンド/豪ドルの4通貨に限り外貨預金をTCで引出せて便利です[2]。引出し手数料は不要ですし、通常は1%かかるTC発行手数料も口座を持っていれば免除されます。 シティバンク銀行における外貨預金時のレート(TTS)は公示仲値+1円なので、結局そのままのレートでユーロ建てTCを手にできることになります。今から預けて出発直前に引出せば多少の利子もつきます(*2)。特に円資金からユーロに振り替えて定期預金にした場合は、初回は優遇金利が適用されます。 7,000ユーロ分のTCを購入するのに必要な金額は (136.00+1.00)×7,000=959,000円 となり、邦銀他行より1万3千円ほど有利です。口座を持っていない場合は発行手数料1%がかかるので (136.00+1.00)×1.01×7,000=968,590円 になります。 シティバンク銀行は確かに有利なのですが、一方で一定の残高(外貨で20万円以上、または円貨と外貨合計で50万円以上)を置いておかないと口座維持手数料(月2,100円)がかかること[3]、日本では支店が偏在していて[4]お住まいの場所によっては利用しにくいことが短所として挙げられます。シティバンク銀行が使いづらいならば、1.で述べたようにユーロ建てTCを買っておくのが次善の策です。 シティバンク銀行における外貨預金およびTCの活用法については[5]で詳しく述べていますので、ご興味があればご一読ください。 3. 現地での手数料の回避法 ヨーロッパではTCの換金手数料に注意が必要です。アメリカならTCをそのまま受取ってくれるお店は多数存在しますが、ヨーロッパではごく一部(デパート、高級店、免税店、観光客相手の店)でしか使えないので、金融機関でいったん現金に換えることになります。そしてその際に1~3%程度の手数料を差し引かれます。 ただし手数料を回避する方法はいくつかあります。よく知られているのは「アメリカン・エキスプレスブランドのTCを買い、現地の提携金融機関[6]に持ち込む」です。シティバンク銀行やセシールのTCがアメリカン・エキスプレスであることは確認済みです。もう一つは、日本でシティバンク銀行に口座を持っているとの前提で、現地のシティバンク支店にTCを持ち込むことです。その際に日本で顧客であることの証明としてキャッシュカード(シティバンクでの呼称はバンキングカード)を提示します。過去にFreiburg, Rostock, Goslar, Trier, Karlsruhe, Ulm, Regensburg, Nuernbergなどの支店でこの方法で換金していますがいずれも無手数料でした。TCを持ち込む客は多くないためか手間取ることもありますが、そこはドイツのお国柄、きちんと処理してくれます。 またワーキングホリデーですと現地の銀行に口座を開くこともあるかと思いますが、「口座を持っていればTC換金手数料無料」という銀行もあります。 4. そのほか (1) フランクフルト空港内では、今のところアメリカン・エキスプレスの提携金融機関を見つけられておらず、シティバンクの支店も存在しません。資金の全額をTCで持ち込むと最初の1回は高い手数料を払って換金する羽目になります。 そこで当座のユーロ現金は日本で準備していくことをお勧めします。ユーロ現金の両替レートが有利なのは三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、ゆうちょ銀行などで、いずれも公示仲値+4円です。金券ショップでは公示仲値+3円のところもあります。シティバンク銀行はユーロ現金の扱いはありません。 (2) シティバンク銀行のキャッシュカードは国際キャッシュカードも有しており、現地ATMで現地通貨を引出すこともできます。しかしユーロを引出した時、そのお金はユーロ外貨預金から引き落とされるのではなく、所定のレートで換算された上で「日本円普通預金から」引き落とされます。よって「円高の時にユーロを買っておく」目的には向きません。しかもその換算レートは公示仲値+約4.0%なので明らかに不利です。ただし手持ち現金が尽きた時の緊急用として持っておく分には悪くありません。 (3) 上記よりさらにレートを追求するなら、外国為替証拠金取引でユーロを(帳簿上)買い付けてシティバンク銀行に国内外貨送金し、TCで引出す方法もあることはありますが、為替や送金の仕組みを理解している中級者以上向けの方法です。慣れていない方にはお勧めしません。 参考ページ [1] http://www.cecile.co.jp/travelers_cheque/ [2] http://www.citibank.co.jp/ja/deposits_investments/foreigncurrency/merits/smart_way_of_using_currencyy.html [3] http://www.citibank.co.jp/ja/bankingservice/servicecharges/average_balance.html [4] http://www.citibank.co.jp/ja/bankingservice/branch_atm/index.html [5] http://oshiete1.goo.ne.jp/qa2317598.html [6] http://home-int.americanexpress.com/japan/tc/wheretoexchange/default.shtml *1 1日に数回改定する銀行もある。シティバンク銀行はまさにその一例。 *2 普通預金では利率はほとんど付かない。利子を期待するなら定期預金にする必要がある。
お礼
Umada様 ご丁寧に長文を頂き、心よりお礼申し上げます。 まさに「これだ」というご回答を頂け、 大いに参考になりました。 これで自信を持って準備を進めることができそうです。 本当に、ありがとう御座いました!!