「先天性耳瘻孔(じろうこう)」は胎児のときに体の器官を形作る段階で、耳たぶや外耳道などのもとになる耳介隆起という部分が完全に融合しなかったことが原因で起こりますが珍しい病気ではなく、一説には50人に1人程度この症状がみられると言われています。
大抵の場合は耳の付け根の前の皮膚に針穴くらいの小さな穴があって、皮下の浅い所に、長さ1~3センチの細長い袋状のものがあります。(両側に耳瘻孔があることも少なくない。)
通常は症状が無いことも多いので自分に耳瘻孔がある事に気づかない人もいます。
穴の中はどうなっているのかというと管状になっていて(瘻管と呼びます)、内腔(くう)の表面は組織的には皮膚と似た構造ですから皮脂腺や汗腺が存在するときもあります。瘻管の形は単純な棒状の場合と、タコ足状に複雑に枝分かれしている場合があります。
先天性耳瘻孔は感染のないときは全く無症状のことが多いのですが、穴の中に細菌が感染するといやな臭いがする白色か黄白色の分泌物が出てくる場合があります。感染を起こすと、瘻孔周囲に発赤腫脹(ほっせきしゅちょう=赤くはれる)、疼痛(とうつう)などが生じます。感染が起きた場合は病院に行くと抗生物質が処方されますが、感染を繰り返すような場合は再発防止のために手術を勧めます。
切開排膿(切って膿みを出す)はできるだけ行わない方がよいのですが症状が強い時はやむを得ず切開をすることもあります。しかし、切開を繰り返すことは避けて下さい。切開だけで完治することはありませんし、かえって後の手術治療を難しくしてしまいます。
手術ではくぼみにかかわっている部分をすべて取り除くことが大切です。少しでも取り残すと細菌感染を再発する恐れがあるので手術を受ける段になったら、耳鼻科や耳鼻咽喉科の先生に充分相談してください。
※根本的に治す方法は、手術しかありません。
普段の生活での注意事項ですが、日常的に症状が無いなら放置しておいても問題はありません。
穴の周囲を押すと、人によっては脂肪のようなものがニョロニョロと出てくることがありますが(これは単なる分泌物の場合が多いです)細菌感染の原因になりますから自分で強く押し出したり、汚れた手で触らないよう注意してください。子供の場合はこの穴が気になってシャーペンの芯を押し込んだりする(穴の中がかゆくなると言っていました)ことがあります。また、何もしなくても膿む人もいますので、おかしいなと思ったら病院に行ってください。
※小さなお子さんの場合は手術をせずに様子をみるケースの方が多く、1歳未満の乳幼児では手術しないのが一般的です。
補足
詳細をありがとうございました。