たぶん、かなり深いところまで知りたい方ですね。
Q/タイトルの3つは、どのように違うのでしょうか?
A/電話回線とは、ISDN、アナログ電話、ADSLを用いたIP電話などなどの電話用の回線のこと。(厳密には携帯電話にも電話回線はある)
ISDNとは、Integrated Services Digital Networkの略。総合デジタル加入者線(正確には総合デジタル通信網)のこと。現在用いられるISDNはN-ISDNといわれNarrowband Integrated Services Digital Networkの略(狭帯域ISDN)
速度は最大64Kbps×2倍となる。
通信方式はデジタル方式を用い、0と1の2進で信号をやりとりします。ITU(国際電気通信連合)で国際標準化(ITU-TU)された通信技術(G.961)で、日本のISDNは国内ではINSと呼ばれ、世界で最も拡張されたISDNとなる。ADSLの天敵でもある。ISDNの利用には、デジタル専用の電話機か、ターミナルアダプタと呼ばれるアナログ信号をデジタルに変換する機器が必要。
信号帯域は、0~320KHzを用い、信号は全てデジタルで回線上を送受信される。
ちなみに、既に回答があるB-ISDNはN-ISDNをブロードバンド(広帯域)にしたもので、光ファイバ網が必須。
ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)は、既に回答がある非対称のデジタル加入者線ですが、デジタルでも、ISDNと同じデジタル技術は使っていません。詳細は以下の質問から・・・
ここからは長いです。
Q/ADSLでは、一つの波に複数のビットを割り当てるとのことですが、文献を読んでもイマイチよく分かりません。教えていただけると嬉しいです。
A/電話の仕組みはどうなっているかご存じですかね。電話というのは、自分の声を直接電気信号に換えて、送るのでアナログといいます。アナログとは、映像を映像、音を音として扱う技術。レコード、カセットテープ、VHSビデオ、普通の地上波テレビ放送もアナログで、電話機もアナログ電話とISDNのデジタル電話があります。分かり難いかな?
まあ、一番のアナログの技術は手紙や口頭で話を相手にします。それが、電話回線で電気を使って言葉をそのままの形で送る場合や、テレビの電波にするなどの方法になっただけです。ちなみに、何故電気や電波に声が載るのかというと、元々、声は、「Tone」(ここが重要)という音階という信号の集まりですから、電気にも乗るのですよ。
さてここまでは理解できましたかね。
さて、本題のADSLですが、その前にもう一つある。
アナログのモデム技術です。ADSLではなく通常のアナログ電話回線を用いて、通信する技術です。最大56Kbpsの通信技術です。
ADSLはデジタルとありますけど、アナログモデムを拡張しただけです。だから、この原理が分かれば分かります。
アナログのモデム技術は、通信する時にパソコン内のデジタル(0と1の集まり)の情報をアナログに変換する作業をし、音階としてデータをFAXを使ったことがあれば分かるでしょう。FAXを受信したときに誤って受話器で受けるとピーヒュルルルルという音がします。これは、デジタルの信号を音に換えた結果を受話器で音のまま出力したためです。
アナログモデムでは一度に遅れるビット数は56kbitとなります。そして、使う信号帯域(電話回線の中でデータを送るのに使う信号の高さ、声の高さと同じようなものです)は4KHz以下(電話は3,4KHz)です。
さてと、本題のADSLです。
一度に大量の情報を送受信できることで有名なADSLは、アナログモデムの原理を使ったものです。アナログモデムを基に、送る信号は全てToneに変換し、アナログの音に変換します。ただし、一度に送る信号帯域は、4KHz以下だったアナログモデムに対して、ADSLでは1,5Mbpsでも525KHzまでの信号帯域を使います。
ただし、一度に525KHzまでのToneを作り送るのではなく、4KHz(56Kbps相当)のToneを何十~何百と作り、それを525KHzの信号に載せることで、高い速度を出せるようにしたのが、ADSLです。
(ちなみに8MのADSLでは1104KHzとなる)
一つの波に複数のビットを割り当てる(直交振幅変調方式<QAM>)というのは、簡単にはこんなところかね?
要は使っていなかった、部分やこれまで使い切れなかった部分にも信号を載せ、送れるようにしたということです。
ちなみに、ADSLではただ単に、上の技術だけでなく、変調というデジタル信号をアナログに変換して回線に載せる伝送ビット集約技術の速度も多少高めています。(要は大きな波を一つではなく小刻みに小さな波をたくさん作り、大きな波よりロスを少なくしたくさんの信号を送る)
最後に、帯域幅をADSLが登場するまで広げなかった理由もあります。高い信号帯域は、ISDNのデジタル線でもそうですが、不安定なのですよ。特に高いほどですね。何故かというと、外からの他の信号と混信しやすいことと、電気の信号を用いるため、必ず同軸ケーブルでないと通信できないため光信号などの光ファイバなどより刺激に弱いのです。
ISDNはデジタル信号で外からの信号の影響を受けにくいので、それほど影響は受けませんが、それでもアナログの3,4KHz信号より減衰が激しく、長距離の回線には対応できません。ADSLの場合はそれがもの凄いもので、最大でも通信できる距離は7Km前後が最大。
ちなみに、一つ補足ですが、ReachDSLの最高速度が1,5Mとおっしゃっていらっしゃる方がいますが、ADSLの1,5Mbpsより低速で800Kbps前後です。
Reachは減衰率を抑えるために信号帯域幅を1,5MのADSLより抑えていますからね。実質最高速度は1,5MのADSLより遅い。これは、電話局の交換機から遠い、長距離世帯向けのDSLサービスで、最大8km前後までそこそこの速度でインターネット通信が使えるようになるという物です。
Q/電話回線でのインターネット接続と、ASDLでの常時接続で,本質的に違う点、同じ点はどのようなところでしょうか?
A/電話回線とは一般のアナログモデムでの通信ですかね。これは既に回答があります。
お礼
本当にありがとうございました。 とても、参考になりました。