電子レンジが食品を加熱する原理を使っての冷却は難しいでしょうね。電子レンジとは食品に電磁波を当てて食品の分子(通常は水の分子の共振周波数にあわせた周波数の電磁波で水の分子を)を激しくゆすってやることで加熱する装置です。ご存知かとは思いますが物質の温度はその物質の分子の運動が激しくなるほど高くなるので、分子を強制的にゆすって激しい運動をさせれば温度が上がるわけです。ところが冷却となると分子の運動を抑えなければなりませんので、電子レンジの方式で行うには分子の運動方向と逆に分子の運動エネルギーにあわせた(逆方向に加速してしまっては温度が下がらない)だけのエネルギーを与えなければなりません。ところが物質中の分子はてんでんバラバラの方向に動いているので、この方法で運動速度を落とすことは難しいでしょう。分子の動きを瞬時に解析し必要な強さの電磁波を必要な部分に照射できれば可能ですが、家庭用としてはあまりにも大規模なものになりそうですね。もうひとつの方法としてはレーザーやメーザー(光でいうレーザーのように波長と位相のきっちりと揃えられた電磁波)を利用し冷却しようとする物質の共振周波数より少し低い電磁波を当てて、物質中の分子の動きを抑えてしまう方法がありますが、冷却しようとする物質が複数の物質からなる食品などではある分子にとって冷却効果のある周波数が別の分子にとっては加熱の効果が出てしまうことも考えられますのでこれも難しいでしょうし、これまたひどく大げさな装置になりそうですね。
冷却の方法として面白い物に熱音響冷却というものがあります。これは通常の冷凍機のように冷媒(ガスのこと)やコンプレッサー(圧縮機のこと)などを使用せずに冷却する方法です。興味があれば検索してみてはいかがでしょうか?