青木繁賞の今年の受賞者を聞いて不機嫌になった理由
昨日、朝刊を読んでいたら、青木繁賞の受賞者のインタビューが載っていた。山口大学を退官した生物学者で、蚊の研究で有名で、77歳で、自然科学とアートを融合させた絵を目指していて、各地の賞を総なめにしている、とかそういう記事。
青木繁賞はひとことで言えば「油絵の芥川賞」で、新人画家の登竜門みたいな賞なのだけど、77歳でしかも画家プロパー(という言い方もあいまいだが、四年制美大を出て、絵描きとして精進してきた人)ではなく、本業以外で趣味としてやってきた人があのような賞を取ったことは、わたしのような全くたいしたことない画学生もひどく面白くなかった。絵を描くこと本業で、東京芸大だとかどっかのそこそこ名前の知られた美大を出ていて、絵の先生をやりながらずっと描いているような人が賞を取ったなら別になんとも思わないのだが、全く本業でない人、絵はあくまで趣味にすぎん人が、一番目立つ賞をさっさと取っていく、油絵の世界っていったい・・・という感じなんだよね。
わたしレベルでも不機嫌になるのだから、芸大だとかヨーロッパの美術学校だとかに留学してまで芸を完成させたような、若い連中はさぞかし面白くなかろうと思われる。というか、絵をずっとこつこつとやってきたヒト、地味な訓練からやっている人の「絵を選ぶ基準」と、ああいう大型の公募展の審査委員になる美術評論家(東大京大の文学部を出た大学教授が多い)が「絵を選ぶ基準」が、実はかなり違うのではないかと思わざるをえない。
もちろん「絵は自由」だし、公募で勝つことだけが、絵の世界で偉いということにはならないのだが、青木繁賞である。受賞した生物学者の絵をネットで見たが、ジェイペグ画像なのでなんとも言えないけど、少なくとも日本の画学生が「こういう絵が描けるようになるためには、自分も地味な訓練を投げ出さないで頑張るしかない」と思うような画風ではない。わたしが高校生だったら「こういう絵を描かないと青木繁賞とか小磯良平賞が取れないのなら、厳しい絵の先生についてデッサンからやるのって、完全に無駄じゃん」と絶対に思うだろう。そしてデッサンもクロッキーも投げてしまう。
自分のブログからコピペしたものが主なのでため口で申し訳ないけど、皆さまはどのように考えてこのようなストレスをスルーしていらっしゃるのでしょうか。ご意見くださればありがたいです。