麻酔科医です。
自分が全身麻酔の説明をする際、患者さんからこのような質問をされた時は「(全身麻酔中に意識があるということが)必ず無いとは言えませんが、確率はかなり低いと思います」とお答えしております。
全身麻酔に使用するお薬は、意識を取る麻酔薬にせよ、痛みを取る鎮痛薬にせよ、ほとんどの薬が患者さんの血圧を低下させます。しかし、普通の患者さんに普通に使用する場合はもちろん、ちょっとくらい状態の悪い患者さん程度なら、血圧を上げるようなお薬を併用したり、点滴の量を増やしたりすることで安全に麻酔を行なうことができるのですが、患者さんの状態が悪すぎたり、不測の事態が発生したりして極端に血圧が低下してしまった場合には、麻酔のお薬を使用することができなくなります。そのような場合、「体が動かないのに、意識があった」「痛みを感じた」ということは、起こり得ます。もちろん、麻酔薬を入れることができないくらいの血圧低下など、そうそう起きることではありませんが、「可能性としてはありうる」ということです。
他に、麻酔中に麻酔器という麻酔の機械が壊れてしまったり(ほとんど無いとは言うものの、「壊れない機械」なんてありませんし、実際私も過去数度経験があります~この場合は、迅速に対応できたために患者さんが目を覚ます前に機械を交換することができました)、機械の操作を誤って麻酔薬の量が少なくなってしまったりということがもしあれば、その場合も同様の事態は起こり得ます。
これは、麻酔のみならず全ての医療行為について言えることですが、「絶対、100%確実」という事はございません。しかし、それがなるべく100%に近くなるように、我々医療従事者は努力いたしております。その点、ご理解いただければと思っております。
なお、精神安定剤に限らず、一部の薬剤を長期間使用することで、麻酔薬が効きずらくなるという事は確かに起こり得ますが、そもそも麻酔薬の効果自体に患者さんの個人差がありますし、我々麻酔の専門家が行う全身麻酔に関しては、「効くまで増量し、効きすぎることのないよう減量する」ようなさじ加減を行っておりますので、その点はご安心ください。
以上、まずはご参考まで。
お礼
とても詳しく書いていただき有難うございました。 血圧は元々高い方なので低くなりすぎる事はなさそうだなとちょっと安心しました(苦笑)