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抗生剤の飲み切りについて教えてください(耐性菌対策)
耐性菌の問題から、出された抗生剤は飲みきるようにという指導が一般的ですが、「服用開始から(もしくは症状の好転から?)何日間以上飲み続けるように」というガイドラインはあるのでしょうか。 具体的に気になっているのは、子供の急性中耳炎です。3日分処方されて、症状が消失していれば「もう飲まなくていい」と言う医師が大半でしたが、「念のためあと3~4日間飲み続けてください」と言う医師も過去にいました。 そもそも急性中耳炎は抗生剤を服用しなくても対症療法だけで様子を見ていれば95%は自然治癒するという報告があるそうなので、今後はできるだけいきなり飲ませたりせず、鎮痛剤と頻回の経過観察で様子をみたうえで服用を検討するようにしようと思っているのですが、今回は家人が深く考えずに飲ませてしまいました。家人によると、3日分の薬が切れた今日、主治医から「もう飲まなくていい」と言われたようです。 何が原因でそうなったか忘れてしまいましたが、アメリカでは一度抗生剤を処方されると、何が何でも(副作用が出ても)10日か2週間服用させられた気がするのですが、日本では3~4日が一般的な気がします。 この程度で大丈夫なものなのでしょうか。
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Jagar39です。 >でもいつ、自分や自分の大切な家族がその「免疫学的弱者」になるか分かりません。そういう意味で、私は警戒していました。間違っているのでしょうか。 警戒すること自体は間違っていませんが、「自分が現在感染・発症している病因菌」に対して警戒することに意味があるとは思えません。 つまり、「その感染症に対して抗生物質を服用しないことによって重篤化するリスク」と「その感染症に対して抗生剤を服用することによって耐性菌が生じるリスク」を比較すれば、比較にならないくらい前者のリスクが高いでしょう。 多剤耐性菌は、例えば全世界で1万カ所で発生しているとすれば、それぞれの場所で生じて、つまりノーマルの細菌が薬剤耐性を獲得しているわけではありません。 MRSAにしても、そのメチシリン耐性の遺伝子は数種類しかなく、それらが全世界に拡大していると考えられています。 細菌は、分裂増殖に依らなくても、ある遺伝子を隣接した別に細菌に"オプションパーツ"のような形で受け渡しすることが可能です。そしてそれは別種の細菌にさえ可能なのです。現にバンコマイシン耐性のMRSA(VRSA)のバンコマイシン耐性遺伝子はVRE(バンコマイシン耐性腸球菌)から遺伝子を獲得したと見られているそうですし。 例えば、Aという種類の細菌がaという薬剤耐性遺伝子を獲得し、Bという細菌がbの薬剤に耐性を獲得すると、これらとはまた別のCという細菌がaとbに対する耐性遺伝子を獲得する、ということが起き得るわけです。 ですが、これらの薬剤耐性遺伝子がある種の細菌に集合していくといったことは、始終起きているわけではないでしょう。細菌の薬剤耐性の獲得自体は日常的に起きているわけですから、もしこれらの薬剤耐性遺伝子が容易に集合するのであれば、今頃全世界のあらゆる菌があらゆる抗生物質について耐性を獲得しているはずです。 ま、薬剤耐性は獲得するのも日常的ですが、失うのも日常的に起きてますから、個々の薬剤耐性獲得が必ずしも多剤耐性菌の出現に結びついているわけではないでしょう。 >でも、現時点では効果的なコントロールは行われていないように思われます。 まるきり無策というわけでもないのですが。まあ効果的とはとても言えないですけど。 効果的なコントロールということになると、何より技術的に極めて困難ですし、ガイドラインが仮にできたとしても医療の末端までそれを徹底するのは、また極めて困難でしょうね。 今のところは人間領域と獣医領域でなるべく使用薬剤が重複しないようなガイドラインができたことと、とりあえず薬剤耐性菌についてのモニタリングが獣医領域で始まっていることくらいでしょうか(金のかけ方がぜんぜん足りないとは思いますが)。人間領域でどのようなコントロールがされているかは、私はさほど詳しくありませんが。 この問題に関しては人間の医療と獣医領域は別問題、では決してありませんから。菌はヒトも動物も関係ないですし。 まあこの問題に関しては、臨床医も「素人同然」です。多剤耐性の対策には「新薬の開発」も含まれますし、少なくとも国単位で取り組まないとコントロールはできないでしょうし、多剤耐性菌の多くが外国由来であることを考えると、全世界規模でやらないと本質的な解決には至らないでしょう。 また、将来的により効果的なガイドラインができてきたとして、それが医療の末端に至るまで徹底する体制ができてきたとして、それでも「患者が自分の判断で医者の指示と異なることをする」という不確定要素は残りますし。 質問者さんのように、医者と相談して意志決定をされるのであれば良いのですが、そうでない人の方が圧倒的に多いでしょうから。 >私は、子供が著しく不快でさえなければ、 とりあえず、抗生物質の出現以前は、細菌感染症によって現在とは桁違いの人が亡くなっていた、ということは心の片隅に留めておいてください。 結核は抗生物質の発明以前は不治の病でしたし、中耳炎ですら「場合によっては死ぬこともある病気」だったわけです。 一患者としては、抗生物質を使うリスクと使わないリスクは、比較するのも愚かしいほど後者のリスクが高い、と思います。もちろん「本当は必要性が薄いのに処方されてしまう」ということもあるのでしょうが、それを含めてですら、そう思います。 まあ別に「処方されたら全て飲むべし」と言っているわけではないのですが、大人だと自分の症状で「別に飲まなくてもいいや」とある程度判断できるのですが、子供はちょっと難しいですね。 私にも子供がいますが、幼い子供は平気そうな顔をしていても実はかなり重症だったり、実際その時は軽症でも進行が早くて悪化に気づいてから手を打っても遅かったりすることも多々あります。 なので子供はなおさら「抗生物質を服用しないリスクの方が高い」と私は思っています。
私が獣医師なのはNo.2で明言しています。 でも、ここは質問者さんの質問に回答する場であって専門家が議論する場所ではありませんから、少なくとも略称の使用については慎重にすべきでしよう。特にPVLなんて学術雑誌に投稿する場合でも、いきなり何の説明もなく使うことが許される略称じゃないですよ。Panton-Valentine leukocidin(PVL)と最初に記述しなくてはなりませんよね。 さて、CA-MRSAについては、アメリカでは非常に報告が多いものの、日本ではまだ増えてはいないと認識しているのですが、異なるのでしょうか。 "CA"の定義にもよりますが。私は遺伝的に従来の院内感染によるMRSA(HA-MRSA)とは異なる株、という認識です。少なくともCDCが報告・分類しているものはそのはずですし、薬剤感受性のパターンや遺伝子型も異なっているという認識なのですが。 それとも日本では単に「市井で採れるMRSA」という意味でCA-MRSAと呼んでいるのでしょうか。それとも、この"私がCAと認識していた"タイプの菌がもう日本でも増えているということですか? また、CA-MRSAは院内感染型のHA-MRSAと異なる遺伝的背景を持っているのですが、少なくともPVLなどの毒素遺伝子が、この薬剤耐性関連の遺伝子と連鎖しているという認識はしていませんでした。 現に、もう20年近くになりますでしょうか、日本でMRSAの院内感染が初めて深刻になり、多数の死者を出したMRSAは、遺伝的背景も典型的なHA-MRSA(当時はCAがアメリカで発見されたばかりだったので、HAとCAに分類するなんて発想はまだなかったが)だったのですが、その大部分がPVLを持っている株だったと聞いています。 これ以上詳しく書くと、一般の方には説明しづらい専門用語を出してこなくてはならないので、こんな細かいところには触れていなかったのですが、つまりこういう理由で、「MRSAの病原性はただのブドウ球菌」という表現を選択しました。"ただのブドウ球菌"にも毒素を持っているものはたくさんあり、多剤耐性と病原性の間には直接の関連はない、という意味です。 ま、これはむろん細菌学にはほぼ素人の私の認識なので、多剤耐性の遺伝子と病原性に関与する遺伝子(多くは毒素遺伝子)が"連鎖"していれば、私の認識不足ということになるのですが・・・ まあそれほど真剣に勉強しているわけでもないので、認識不足は多々あるとは思っているのですが・・・(でも、ここで回答する前には一応調べ直してはいるのですがね) 元の質問とはずれてしまっているのですが、後学のためにももし間違いがあれば指摘してください。
- USB99
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Jagar39さんは、獣医さんなのでしょうか? > つまりMRSAの病原性は"ただのブドウ球菌"です。 最近はそうも言えなくなっています。市中で検出されるMRSA(CA-MRSA)はPVLなどの毒素を高頻度に持っています。幸い、当院の付近で検出されるCA-MRSAはPVLを持っている確率は極めて少ないのですが、米国でCA-MRSAが恐れられるのはそういう理由があります。 また、PC-Gは今でも感染性心内膜炎の場合などは問屋さんを探してでも投与する事があります。感受性さえあればとても有効です。もっとも感受性がわかってde-escaltionする場合に限りますが。
Jagar39です。 多剤耐性菌は基本的に病原性はオリジナルの菌と変わりません。つまりMRSAの病原性は"ただのブドウ球菌"です。 それが重篤化することがあるのは、免疫学的弱者である老人や病人、免疫不全症の発症者等に感染した場合です。なのでもし、この世に抗生物質がなかったら、薬剤耐性を持たない"ただのブドウ球菌"しかこの世にないことになるのですが、老人や病人はこれらの菌に感染または日和見感染したらやっぱり発病することに変わりはありません。 なので本質的には同じことなのだ、と思っています。 MRSAが問題になるのは、免疫学的弱者が多数集まる病院という場所が現代医療の主戦場であることと、そのような免疫学的弱者には抗生物質以外の有効な治療法がないのに(抗生物質なしでも治癒するような人には、そもそもこんなザコ細菌は病気を起こさない)、その肝心の抗生物質が効かない、ということによるものです。 なので多剤耐性菌のリスクは患者(免疫学的弱者でない健常な(?)患者)にとっては、基本的に「自分の健康上のリスク」ではなく「社会の問題」です。 ですから、「耐性菌ができるのが怖いから抗生物質を服用するのを控える」ことは、社会全体のリスク管理上はほぼ意味をなさず、自分の健康上のリスクだけを増大させることになる、と思っています。 つまり細菌の薬剤耐性のコントロールは、社会全体で高度な専門知識を駆使しながら行うべきものであり、そうでなければ意味がない、ということです。 抗生物質が多用されるのは、何と言っても最も威力があるからです。 他の療法と抗生物質投与では、外国から武器を持って攻めてきた軍隊に話し合いで帰ってもらおうとするのかミサイルをぶち込むのか、というくらいの違いがあります。 薬剤耐性は抗生物質を使用する上での宿命みたいなものですから、なんとか耐性菌の出現を阻止するようコントロールしながらうまく付き合っていくしかない、と思っています。
No5です。 医療に関しては素人です。 誤解を招くような回答をしていたようでお詫びいたします。 No5の回答で言いたかったことは、 MRSAと聞いただけで、まるで難病の原因と捉える人も多いので、 (MRSA→バンコマイシン必須) 「必ずしも、そういう訳ではありません。」 ということだけです。 免疫力の少ない方が多剤耐性菌に感染した場合の対処が難しいことは 事実ですし、また多剤耐性の結核菌など聞くだけで怖くなるような菌が いることも事実です。
Jagar39です。 MRSAがバンコマイシン"しか"効かない細菌、とは書いてないですよ。アルベカシンやリネゾリドのことまでは書かずに省略してしまっただけです。 また、メチシリンに耐性を持っている黄色ブドウ球菌のほぼ全てが多剤耐性型であり(少なくとも私はメチシリン"だけ"に耐性を持っているS.Aの報告は聞いたことがありません)、MRSAが問題になっているのは「メチシリンに耐性がある」からではなく「多剤耐性だから」ですので、それほど不適切な説明をしたとは思っていないのですが・・・ 現在のガイドラインでは、MRSAに対してはバンコマイシンかアルベカシンを第一選択薬として使用することになっているはずですし。 それはそうと、先の回答は特に「医者に黙って自己判断している」などという考えて書いたものではありません。あくまで一般論として「医者とよく相談してください」と書いただけです。 お礼を見て思い当たった次第で・・・失礼しました。 ついでに他の方へのお礼にもコメントしますが、ペニシリンについては最古の抗生物質で長年使われているものですし、少なくとも獣医領域で治療に抗生物質を使う際には、ペニシリンは最初から効くことはあまり期待していないです。効けば儲けものくらいの感覚です。 メチシリンという抗生物質は、いわばそのペニシリンの改良版なのですが、現在日本ではほとんど使われていないはずです。なのでMRSAも単に「メチシリンに耐性」というだけでしたら、別に問題ない話なのですけどね。 「最初は対症療法だけで経過観察する」というガイドラインを作っても、もしそれで重篤化して裁判沙汰にでもなれば、「そもそもそのガイドラインが不適切」ということになりかねないでしょうね。 やはりその症例そのものに対しては、多少なりともリスクが大きくなる選択ですから。 それと先の回答で「多剤耐性菌は常在菌ばかり」と書きましたが、実は例外もあります。 人の食中毒の原因菌であるサルモネラ菌の中のいくつか(一口にサルモネラ菌といっても2000種くらいあります)に多剤耐性型が見つかっています。これも20年ほど前からアメリカで問題になっていたものが日本にも入ってきたような形ですが。 なので臨床分野でも、菌分離にかける検体数を増やして薬感もやって欲しい、と思っています。
お礼
詳しくありがとうございました。 なんだかJagar39さんの回答を読んでいると、「耐性菌恐るるに足らず」な気がしてきます。まあ、多くの人から検出されるということなので、実際、健康であれば問題ないのでしょうが。 抗生剤に限らず、薬を飲むのってなかなか大変です。子供に薬を飲ませるのは、それ以上に大変です。私も子供も、調子が悪い時はひたすら寝てしまう性質だし、元来いいかげんな性格で・・・恥ずかしながら、「1日3回、3日間」、これだけのことをやり遂げるのは至難の業です。 中耳炎なら必要に応じて鎮痛剤だけもらっておいて、その後は「頻繁に足を運ぶから、しばらく薬無しで様子をみれないでしょうか」とお願いするのが、実情にいちばん合っていそうな気がします。最近の開業医の先生は、夜8時頃まで診てくださるので、朝と様子が変わってきても、すぐに対応してもらえて本当に助かります。 >なので臨床分野でも、菌分離にかける検体数を増やして薬感もやって欲しい、と思っています。 いつも思うのですが、結果が出るまでの期間が将来的にもっともっと短くなればいいですね・・・。培養に時間がかかってしまうのは仕方ないですが、「検査しても、結果が出るのは1ヵ月後」と言われたこともあります(特殊な菌だったら、という意味なのかも?)。 1ヶ月もあとでは、「とりあえず」の経験的な抗生物質で治まってしまっている場合がほとんどですよね。遺伝子検査は、今後これにかわり得るのでしょうか。以前、破格の値段で検査できるチップを開発した!というニュースを見たのですが・・・早く実用化されるといいなーと思います。
重箱の隅をつつくような話しで申し訳ないですが、 MRSAとは必ずしもバンコマイシンしか効かない菌でもありません。 メチシリンに耐性を持っているだけです。 子供が良くかかるトビヒの 何パーセントかはMRSAによるものですが、通常バンコマイシン以外の いくつかの抗生剤に感受性があります。 それはさておき、耐性菌ができて得することは何一つありませんので、 服薬は医師や薬剤師の言うとおりにするのが一番です。 耐性菌を 作る方法としては、いろいろな抗生剤を適当に飲んだり飲まなかったりを 長期にわたって繰る返すというのが効果があると思います。 不要な際に抗生剤を飲まない、飲み始めたら一応飲みきる、いろいろ 種類を変更しない、などが考えられます。 でも、結局のところは 医師の指示に従う。 指示に納得がいくまで説明を受ける。 納得のいく 説明が受けられないなら、医師を変える。 というのが鉄則だと思います。
お礼
抗生剤を飲むか飲まないかくらいは相談していたのですが、飲むにしても、その日数までは話し合ったことがありませんでした。今後はきちんと確認したいと思います。 ありがとうございました。
- USB99
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HPを貼り忘れました
- USB99
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急性中耳炎についてはHPを見てもらえばいいかと思います。 (日数についてはP32のあたり) 抗生物質の投与には2つの意味があります。一つは医学面ですが、もう一つは訴訟対策です。頭頚部の感染症は時に重篤な病態に陥ります。そのときに抗生物質を処方していないと裁判で不利になるという考えです。普通の医師にとって20年後、30年後の耐性菌の心配よりとりあえず、目の前の患者さんがつつがなく経過し、万が一の場合でも自分が訴えられ裁判にならないようにする方が大事です。 ちなみに、当院での感受性試験では中耳炎の起因菌(肺炎球菌、インフルエンザ菌など)の感受性は10年前とそんなに変わっていないですね。市中のMRSAとカルバペネム耐性緑膿菌は増えましたが。
お礼
抗生物質の日数について、初めてきちんと知ることができました。ありがとうございました。
補足
訴訟対策・・・そうですよね。そういう問題もありますね。 ただ、「まずは対症療法だけで様子をみる」というガイドラインができていれば、万一の訴訟の際も、「当初から抗生剤を処方しなかったのは不適切だった」と判断されることはないように思いますが・・・既に耐性菌が蔓延してしまっている日本の状況では、そうもいかないのでしょうか。 ひとつうかがいたいのですが、急性中耳炎の合併症というのは、「治りが悪くて」引き起こされるのでしょうか。それとも、急性中耳炎とほぼ同時に起こることもあるのでしょうか。
獣医師です。細菌については専門ではないのでたいして詳しいというわけではないのですが、一般の方よりは詳しいはずです。 まず用語ですが、MRSAは「どんな抗生物質も効かない菌」ではなく、バンコマイシンが有効とされています。そのバンコマイシンも効かなくなったNRSAは「バンコマイシン耐性MRSA」とか「バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)」と呼ばれています。 さて、本題の中耳炎の話ですが、5%のリスクって考えようによってはけっこう大きいと思うのですが。20人いれば1人は重症化するという数字ですから。 抗生物質の普及以前は、急性中耳炎は内耳炎や硬膜外炎を併発して重篤化することも多く、死亡することもけっこう多かった病気です。 安易に抗生物質を使用する問題ももちろん大きいのですが、それでも現代の多剤耐性菌による人的被害と抗生物質の普及以前の細菌感染症による人的被害では、比べものにならないほど後者が大きかったのも事実です。 少なくとも素人判断で"安易に"服用したりしなかったりするのは好ましくないように思います。医師とよく相談すべきでしょう。 抗生物質の投与期間ですが、これも一概にはどれが正しいとは言い切れません。 ただ、現在問題になっている多剤耐性菌は、MRSAやVRSA、VREや多剤耐性緑膿菌に至るまでほぼ全てが「常在菌」です。 つまり、元々これらの細菌を叩こうとして抗生物質が投与されたのではなく、他の細菌を叩くために投与された抗生物質が、これらの常在菌に耐性を与えたわけです。 抗生物質を投与する際は、確かに投与期間が長い方が「目的の細菌」を叩くには有利なのですが、反面常在菌に対して計算外の事態を招くリスクは大きくなります。 現に、現在のMRSAを始めとする多剤耐性菌は、ほとんどがアメリカで発祥した菌ですから。 「目的の細菌」に対しても、投与期間を長くすれば確実に叩けるというわけでもありません。殺菌的に効く抗生物質ならまだしも、抗生物質の中には静菌的に効くものも数多くありますから、それで菌が死滅して完全に体内から駆除されるというわけでもないのです。殺菌的に効くものもやはりどれだけ投与しても完全に菌が駆除されるとは限りません。 とすれば、普通に考えると投与期間をやたら長くすることは、常在菌と目的の病原菌の両方に対して、耐性を獲得させてしまうリスクが大きくなるように思えます。 なので私は3日間という投与期間は、少なくとも10日間などという長期投与よりは適切だと考えています。 ただの風邪に条件反射のように抗生物質を投与するのは私もどうかと思いますが、中耳炎については素直に抗生物質を使用した方がトータルではリスクが少ないように思います。 いずれにしろ、ご自分の判断だけで決めるのではなく、医師とよく相談して意志決定されることをお勧めします。
お礼
誤解があるようですが、もちろん医師とよく相談するつもりです。 特に「飲まない」という選択をする場合、当然のように経過観察も慎重を要するわけで、「飲む」場合よりずっと医師との連携が必要ですから、自己判断などできようはずがありません。 ところで、耐性菌は「常在菌」が問題だったのですね(!)全く知りませんでした。ありがとうございました。
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お礼
>なので多剤耐性菌のリスクは患者(免疫学的弱者でない健常な(?)患者)にとっては、基本的に「自分の健康上のリスク」ではなく「社会の問題」です。 ・・・現時点では、そうかもしれません。でもいつ、自分や自分の大切な家族がその「免疫学的弱者」になるか分かりません。そういう意味で、私は警戒していました。間違っているのでしょうか。 >つまり細菌の薬剤耐性のコントロールは、社会全体で高度な専門知識を駆使しながら行うべきものであり、そうでなければ意味がない、ということです。 でも、現時点では効果的なコントロールは行われていないように思われます。少なくとも町医者では、ただの風邪でポンと抗生剤を渡されるのが普通です。それらの抗生剤が、高度な専門知識が駆使された結果、「なんとか耐性菌の出現を阻止するようコントロールしながらうまく付き合っ」た結果、処方されたものだとは到底思えません。 飲みきりについても、医師の怠慢か薬剤師の怠慢か、特に口すっぱく指導はされません。実際、今回の中耳炎でも、医師からも薬剤師からも説明はありませんでした。前回風邪をひいたときもそうです。その前も、その前もそうでした。そんな状態ですから、少なくとも私の周りでは、いったん飲み始めた抗生剤は飲みきらなければならないことを知っているのは少数派です。 「耐性菌対策はプロが、組織的に行わなければ意味がない」「だからそれまでは何の危機意識もいらない」は正論だとは思いますが、こんな現実では、いつまで経っても社会は変わらないように思います。私のような素人のひとりひとりが、「本当に抗生剤は必要なんですか?」と疑いを持つことから前進することもあると思います。 私は、子供が著しく不快でさえなければ、何が何でも、一刻も早く治ってほしいとは思わないです。薬を飲ませるにも、それなりの労力がいりますから、薬を飲まなくても、子供がさほど苦しまなくて済み、経過観察のための通院回数が増える程度で済むなら、そのほうがよほどありがたいです。 そういう需要もあるのですから、一律に処方するのではなくて、慎重な医療を提供してほしいです。