インフルエンザウイルスはA型、B型、C型の3種類ありますが、それぞれ「別のウイルス」と言って良いくらい構造が異なります。というより分類上はそれぞれ別のウイルスです。属レベルで互いに異なります。「A型」とか「B型」などと呼ぶのは昔の名残で、現在は正しくは「インフルエンザA(orBorC)ウイルス」です。
ま、慣習どおり「~型」という言い方をして書きますが。
この中でC型はほとんど変異しない安定的なウイルスなので、大きな流行は起こさず(生涯免疫がつく)、小児にくらいしか病気を起こさないと言われています。
つまり、流行病として問題になるのはAとBのインフルエンザウイルスです。
A型には主な「亜型」の種別が2つあり、それがHA亜型とNA亜型です。HA亜型は現在16種類、NA亜型は9種類存在するので、A型インフルエンザウイルスとしてはその組み合わせで16×9=144種類が存在します。
この中で現在ヒトの間で流行しているのはH1N1、H3N2の2亜型です。昔はH2N2とかH3N1の流行があった時代もあったのですが。
この2亜型と、B型の3種類を混合してワクチンは作られます。
ただ、インフルエンザは常に変異しているため、同じH1やH3亜型でも、常に抗原性が変わっています。
なのでワクチンは、サーベイランスデータからこの冬に流行するウイルスのタイプを予測し、それに近いタイプの株を種にして製造されます。
というわけで、去年罹っていても今年のと型が違えば去年の免疫は有効ではない、ということです。
ここでの「型」というのは、H1とかH3という亜型ではなく、ましてA型とかB型という型を意味していません。
同じH1とかH3の中の、抗原性の変異による"タイプ"を意味します。
ちなみにワクチン接種の効果は半年足らずですが、自然感染でしかも発症していれば、もっと強力な免疫がもっと長期間続くでしょう。
でも、タイプが違えばそれもあまり意味がない"場合も"あります。
お礼
とても詳しい説明ありがとうございました。