「レントゲン」は「人の名前」です。放射線の分野でいえば、エックス線を発見した物理学者の名前です。よく、放射線技師も(仕方なく)一般的に「レントゲン」という言葉を用いていますが、正しくは、「単純エックス線撮影」です。
電球から被写体に光が当たって向こう側のスクリーンに影を落とすと同じ方法で、エックス線管球から、被写体にエックス線がスクリーン(フィルム)に当たることで撮影できるという意味では「影絵」です。
これは大まかなスクリーニングに用いられます。
「CT」は上と同じ原理(エックス線が体に当たってどれだけ吸収されたかを反映している)を用いて、コンピューターで計算して、身長の方向と垂直な面を基本画像として画像を作り出します。その意味ではいわゆる「輪切り」になりますが、新しい機械ではMRIと同様、(輪切りの画像からですが)任意の断面が作成できますし、いわゆる三次元画像(立体画像)も作成できます。
「MRI」は元々は物質を調べる「NMR」という機械に、座標軸(位置)が加わった物です。基本は、磁石を用いて水素原子の状態を見ています。
CTのような「輪切り」が基本画像ですが、任意の断面での撮影が可能です。
「CT」は解像度がよいものの、エックス線吸収の度合いを見ているだけでもあるので、形態的な物(形・場所・病変があると周りとの関係など)の把握が得意です。石灰化の度合いや、造影剤を用いた染まり具合から統計学的に腫瘍の種類の推定が出来たりもします。
「MRI」はCTより解像度が悪いですが、元々の「物質を調べる」検査の性質を受け継いでおり、CTよりは腫瘍の状態が推定が出来ることもありますし、脳は、MRIの方が格段に診断率が上がります。MRIでは骨は写らないので、骨軟部の病変には特に有用です。また、出血の時期なども推定できます。さらに、「流れている物」の信号を拾い上げることも出来るので、頚部や脳の血管は造影剤を使用することなく撮影できるので、脳ドックに使用されたりします。(MRA)
検査の適応のことも含めて、CT/MRIの利点と欠点を理解した上で、臨床医は目的に合わせて検査を依頼しているのです。(患者さんにとってその施設において侵襲の少ない検査からというのが基本的な流れではありますが)