低い声は鍛えられませんが、幸い、高い声は鍛えることが出来ます。
いきなり身につけるのは難しいです。合唱団に入ったりして、二年くらいたつと、できるようになります。
真っ先にやるべきなのは、普通の人は、本来の音程より低めに歌っており、暗く聞こえるという点に注意すべきでしょう。歌う時は、ちょっと高めに音を外しているかな?くらいでちょうどいいです。
で、一応、以下に理論だけ説明しておきます。
まず、腹式呼吸は必須です。女性なら特にそれを意識し、深く息を吸い込むようにしてください。両手をわき腹にあてて、スーハースーハーと呼吸を繰り返すと、お腹が下だけではなく、左右に広がってくれば、いい感じです。歌う前に、10分ほど、深呼吸で横隔膜を動かしておくのは、効果的な準備法です。
腹式呼吸と横隔膜のコントロールは、広いホールにマイクなしで大声を届けさせるオペラや合唱のような時に特に力を発揮するのですが、マイクを使うことが前提のPOPSであっても、なめらかでゆっくりな曲の場合に音程を安定させたり、少ない呼吸回数で長いフレーズを歌えるようになる等のメリットがあります。(わたしなど、ゆっくりしたテンポの歌を歌うと、脇腹の筋肉がつることがあります!ゆったりした曲を安定させたいなら、横隔膜を張りっぱなしで、テンポの良い曲で大声を出したいときは、横隔膜で空気を押し出すように)
イメージ的には、背中やわき腹に入った空気が頭の上に抜けていくような感覚で、空気の流れをコントロールしましょう。
次に大事なのは、「絶対にのどは閉じないこと」です。例えば高いイの音を出すのに、のどをしぼるようにしてキーッと出すことがあるでしょう?でもこれをやっていると、苦しくありませんか?歌っている本人が苦しいものは、聞いているほうにも聞き苦しいのです。のどはつねに開けっ放しにして、腹筋で空気の流れをコントロールして空気を押し出せば、きつくない美しいイ母音の高音が出せるようになります。のどを開けっ放しにするコツとして、口のなかにピンポン球が入っていることをイメージして、口の中の上の部分(軟口蓋)が上に開いているようにすれば良いと思います。
声というのはのどだけで作るものではありません。のどが作るのは貧弱な声だけで、それを鼻と頭頂部に響かせることで、大きな声になるのです。歌う際、最初は鼻にかけるくらいの歌い方をしてください。それが出来るようになったら、鼻が響いているのを頭頂部の響きへとつなげていくのです。最終的には、頭の中で音が鳴っているのではなく、頭の上の空間が勝手に歌っているかのような感覚になれば、完成です。
普段、バンド活動や合唱で、いつもから声を鍛えているという人でもないと、最終段階に到達するのは難しいと思います。